≡ 世界の人口は2050年までに90億人に達し、十分な食料を確保できるのか ≡
= 「無人島に持っていきたい食べ物」が話題になったなら =
- ちょっと思い出してみてほしい -
- 宇宙でほんの数種類の食べものしか手に入らない暮らしを強いられるかもしれないということを -
ここに一つの未来図がある
【この企画はWebナショジオ_2014年4月~2014年12月期、35回記載に追記・補講した】
(文=Mary Beth Albright/訳=北村京子 / イラスト:涯 如水)
◇◆ 3Dプリンタからレタス栽培まで、宇宙で食料調達するNASAの挑戦 ◆◇
NASAは昨年、本物そっくりの食べものを作ることができる3Dフードプリンタの開発に、12万5000ドル(約1300万円)を助成した。これは宇宙ステーションの長期滞在者や、未来の火星移住者が使うことを想定したものだ。
プリンタを使って宇宙で食事を作るなんて、まるでSFのように聞こえるかもしれないが、その詳細はNASAの公式サイトにもちゃんと掲載されている。
宇宙では地産地消が欠かせない
宇宙への移住競争はすでに始まっており、オランダの非営利団体による火星移住計画「マーズワン」は、2025年までの移住開始を目指している。
この肥沃な地球の上でさえ、2050年には90億人が食べていくのは難しいことを考えると、水のほとんどない惑星で食料を調達するのがどれほど困難かは想像に難くない。先月、民間会社の補給機が約1トンの食料を含む荷物を国際宇宙ステーション(ISS)まで輸送した。同様の輸送事業に対して2016年までに同社に支払われる経費は、20億ドル(2000億円)近くにのぼる。
たかだか地球から400キロしか離れていないISSまでの輸送でこれほどの経費がかかるのに、5600万キロかなたで待つ火星の住人まで食料を送り届けるとなると、相当の労力を要することはまちがいない。宇宙でも地球と同じように、地産地消を実現したくなるのは当然だ。
遠くまで食料を運ぶ代わりに、現地で食料を調達するために資金を投資するのだ。研究開発がすすめば、地球の食料の未来にも新たな可能性が見出せるかもしれない。
◇◆ Veggies in Space: Astronauts Sample Freshly Grown Lettuce ◆◇
・・・・・・ https://youtu.be/D_723qwjULM ・・・・・
3Dフードプリンタへの投資は、そうした宇宙での食料調達の一環だ。宇宙で暮らす人々は、長い間、同じ人たちと顔を合わせ、同じ景色を眺め、食料も同じ種類のものを食べ続けることになる。3Dフードプリンタはそうした単調な食事にバラエティを与えてくれるだろう。
NASAは、とれたての新鮮な食べものを宇宙飛行士に提供する方法も模索している。今年、ISSで開始された実験「Veg-01」では、専用に作られた個別の苗床を使い、レタスを育てている。
宇宙飛行士たちが6月に収穫した最初のレタスは現在、冷凍保存されているが、追って地上で分析にかけられる予定だ。宇宙レタスが食用に適しているのか、それとも宇宙で育つあいだに、嫌なにおいや毒のようなものが生じているのかは、そのときに判明するだろう。
いっぽう地上でもカナダ・オンタリオ州にある研究施設で、宇宙で食用植物がもっとも健康かつ効率的に育つ光の波長を探る試験が行われている。人間が長期間、ほかの惑星で暮らすためには欠かすことのできない実験だ。
ゆたかな惑星生活のために
こうした研究は、決してごく少数の選ばれた人々のために行われているものではない。研究で得られた成果を地上で実用化できれば、それは宇宙で活用するよりも、はるかに役立つ可能性がある。
もし、従来より効率的な農業や、水の管理、廃棄物処理の方法が開発されたなら、その活用の幅は計り知れない。たとえば屋内栽培における効率的な照明を見出すだけでも、都会の廃ビルを活用した作物の栽培など、現在開発が進められている革新的な代替農法の発展につながるだろう。
もし今度、「無人島に持っていきたい食べ物」が話題になったなら(わたしなら桃、ピザ、とびきりおいしいサラダ)、ちょっと思い出してみてほしい。いまのわれわれが驚くほど多様な食べものを口にできるのに対し、あなたの子どもたちは将来、宇宙でほんの数種類の食べものしか手に入らない暮らしを強いられるかもしれないということを。
しかし時間と資金を投入し、研究を続ければ、宇宙で生活する未来がきっと拓けるにちがいない。 (文=Mary Beth Albright/訳=北村京子)
・・・・・・明日に続く
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_ 3Dプリンタで製作した水耕栽培セット _
・・・・・・ https://youtu.be/tBpWoI_aSO0 ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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