長くて27分以上、深さにして560m以上 鳥類でいちばんの潜水能力
-65℃の氷原上で身を寄せ合い、雪しかない絶食状態にて繁殖地で抱卵するオス
卵が孵化する約120日間で体重は40%以上減少、再び海洋に戻る途中に死ぬオスがいる
オスだけが抱卵するコウテイペンギン、その潜水戦略を解き明かす塩見こずえ
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美、塩見こずえ(調査) & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 塩見こずえ(11) / 第5回 オウサマペンギンもオオミズナギドリも =2/2= ◆◇
最後に。
インタビューをしながらふと気づいたのだが、塩見さんはこの連載でこれまで話を伺った中では、もっとも研究キャリアの浅い若手研究者である。去年までは学生さんで、今ポスドクの1年目。
だから、はっきりと科学論文の形で表に出ている業績はまだ少ないのだが、別の意味で刺激的な話を伺えた。
学生が自分の研究領域に出会い、テーマを定め、研究し、論文を書き、新たに派生した疑問を追う。研究者が独り立ちするには、いろいろなパターンがあると思うのだが、そのサイクルが回り始める一例を、比較的にライヴに近い形で見せていただいたと思うのだ。
塩見さんは、自身のウェブサイトで、こんなふうに述べている。
──知りたいのは、動物にとって世界がどんなものであるかということ。動物にとっての主観的な世界を知ることは難しいけれど、行動という一番外側に現れるものをじっくりじっくり調べることによって、この問いの答えにどこまで迫れるかに挑戦してみたいと思っている。
そして(興味の)ツボとして、「動物の移動、decision-making(意思決定)、時間生物学、認知行動学」を挙げている。
塩見さんは、こういった「方向性」にどうやってたどり着いたのか。「南極でペンギンの研究をしたい」と直訴した大学4年生の時点で、それだけ焦点が結ばれていたとは思いにくい。
塩見さんは、笑いながら答えた。
「ええっと、いつぐらいだろう。ひょっとすると、博士課程に入ってからとか、かもしれません。それぐらいまで、動物行動の何に興味があるのか、自分でもあんまりわかっていないままやっていて、それでも、だんだん絞られてきたというか。興味がはっきりしなかった時期は、自分でもそれでいいのかなって思ってましたけど、研究自体は面白かったんですよね」
「バイオロギングの実験をする前からこう、ここに自分は興味があるんだと自覚していたわけじゃないですね。さあ解析をしなきゃみたいな状態になったときに、あれこれ試していて、オオミズナギドリにしろコウテイペンギンにしろ、移動における意思決定ですとか、そういうくくりでやるのが好きなんだと、気づき始めたんです。それをはっきり言葉にできるようになったのは、論文執筆し始めたころかもしれませんね」
というわけで、このあたり、ぜひ、研究者を志す学部学生や高校生に読んでいただきたいところ。
世の中には、かなり若い時期に「これ」と決まったテーマ、方向性を持っていて、ひたすらその道に進む人は、たしかにいる。でも、ぼくの感触では、そういう人たちは、どちらかというと少数派だ。また、「これ」と決めていても、ちょっとしたきっかけで別のことに興味を持ち、初志とは違う方面に自分の専門分野を形作った人もよく見かけるし、そもそも、自分のテーマ自体、なかなか見つけられないことも多いのだ。それこそ、我々は「選択肢の多い」世界に住んでいるのだから。
塩見さんは、ペンギンが好きだったり、目の前の研究が好きと思いつつも、興味の焦点を絞り、言葉にできるようになるには博士課程、それも博士論文執筆に取りかかる頃までかかった、という。
なにはともあれ、好きと思えることをやってみる。その方向に突き進んでみる。その結果、焦点が絞れ、自分のテーマがはっきりしてくる。そういう道筋が、研究の道にもあることは覚えておいてよいと思う。
おわり
次回は、新企画“睡眠・眠らなくなった日本人”に続く・・・
■□参考資料: ペンギンは海のハンター? (5/5) □■
__水中での意外な生態や驚異の潜水能力とは__
ペンギンが深く潜れる秘密…
▼筋肉と血液に多くの酸素を貯められる : 人間も筋肉や血液に酸素を貯める事が出来るのですが、ペンギンは人間が貯める量の約3倍多く貯める事が出来ます。人間と違ってかなりの酸素量を蓄えた状態で水中に潜ることが出来るので、長い時間水の中で息を止めることが出来るのです。
▼体温を意図的に下げることが出来る : 実は体で熱を作り出す時にも酸素が使われます。そのため高い体温を維持しようとすると必然的に多くの酸素が必要となります。南極の冷たい水の中で高い体温を維持しようとすれば更に大量の酸素が必要になってくるのですが、それを避けるためにペンギンは自分の体温をグッと下げて冷たい水中でも無駄に酸素を消費しないように工夫をしているのです。
ちなみに564mまで潜ったり27分間息を止めたりと驚異的な記録を叩き出しているペンギンですが、あくまでこの記録はペンギンの生態を観察している上でたまたま測定出来た結果となります。
「今から測定するから協力して!」とペンギンにお願いをして測定させてもらった結果ではないので、ペンギンが全力を出したらきっとこれを上回る結果になるでしょう。ペンギンが本気を出したら一体どんな記録が出るのか…その結果はペンギンたちにしか分からないのです。
Penguins Huddle To Keep Their Eggs Warm https://youtu.be/6uYzC7tq9RM
ペンギンの潜水能力のまとめ…
・ペンギンの骨は密度が高くて重い / ・翼には頑丈な骨が入っていて泳ぐ時に大きな推進力を生みだす / ・表面の羽毛には温度を調節する機能が付いている / ・ペンギンの体型は泳ぐ時に効果を発揮する / ・ペンギンは深海まで潜ることが出来る / ・体の様々な機能を使って長時間潜り続けることが出来る /
非常に興味深いペンギンの生態でしたが、今回紹介させていただいた水中での生態はあくまでほんの一部。地上に住む人間が確認できた範囲なので、ペンギンに秘められた生態はまだまだたくさんあると思います。
生涯の7割を水中で過ごすペンギンの生態を人類が全て解き明かすにはまだまだ時間がかかるかもしれませんね。
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◆ 皇帝ペンギンの営巣地と南極点への旅 ◆
動画のURL: https://youtu.be/5_fWBsLfYmM
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