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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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システム=”代替現実”_知の学究達=250=/ 藤井直敬(13/14)

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もしも目の前の光景がホントかウソかまるっきりわからなくなってしまったら――

予め用意した「過去」の映像を「現実」と差し替えて・・・・

何が現実かをカンペキにわからなくする装置がついに開発された

その「代替現実」システムを発明した藤井直敬!!

【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂

(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆藤井直敬(13) / 第五回 代替現実であんなことやこんなことも =3/3= ◆◇

「それは前から言ってまして……メンバーを1人ずつ撮影しておいて、その子は目線をずっとこっちに合わせてくれてる、とか。劇場に行っても、なかなか目線は合わないじゃないですか。だけど、そのコンテンツを買うと、自分目線でずっと歌ってくれるっていう。CD3000枚買うよりも遙かにいいでしょう(笑)」

 確かに……異存のある人は少なかろう。

 しかし、SR装置を身につけて体感したことがあるぼくは、やはり一抹の不安を感じずにはいられない。

 目線をこちらに向けてくれるのはよい。AKBに限らず、好みの歌い手が、こちらを見ながら歌ってくれたらさぞかし感動的であろう。

 しかし、人間の欲望には果てがないので、きっとそのあと、握手したいとか、ごく普通に感じると思うのだ。

 そこで、お目当ての歌い手が歌い終えて、こちらに歩いてくる。そして手を差し伸べてくれる。SRは触覚を再現できないけれど、こちらを見ながら手を差し伸べるところまでは簡単にできる。

 そこでこちらも手を差し出したら、しっかりとした質感と熱をもって握手してくれたとする。これはもう感激だ。

 ただ、そこでSR装置を頭から取り外すと、実は握手してくれているのは、藤井さんか脇坂さんだったり、などという想像をついしてしまう。いや、現実にコンテンツごとに研究者がついてまわるのは不可能なので、馬鹿らしい想像なのだが、SRシステムの現実にゆさぶりをかける部分を強く印象づけられたぼくはつい考えてしまい、苦笑するのだった。

「まあ、来年の今頃お話しすると『こんな実例が出てきました』みたいな話ができると思います。今ちょうど、SRシステムをお披露目できるところまで到達したというところですから、本当にこれからなんです」
 と藤井さん。

 というわけで、SRシステムは、今後、注目である。

 と同時に、企画募集中であるようなので、実現したいアイデアと財源のある方は、ぜひ、藤井さんに連絡をとってみるとよい。

 代替現実、SRシステムが、実験の分野では、人間の認知・心理への理解を深め、実用の分野では医療などに役立ち、エンターテインメントでも多くの人の幸せを増してくれるものとなってほしいと願う。

次回は新企画“塩見こずえ:コウテイペンギンの潜水戦略”に続く

■□参考資料: VRに隠された壮大なる野望とは (2/3) □■

=人類に1個フェーズを突き抜けさせる男 藤井直敬 / 文:武田篤典=

ともあれ、そういう実験を藤井さんは人間でやりたいと思った。脳になにか刺すわけにはいかないので、それは脳波やMRIで計測するとして、問題は外部からの、他者からの刺激をどうするか。

「そこで"現実って完全に再現できない"と気付いたんです。例えば、僕が被験者に対して"おはよう"って言うという社会的な刺激を与えると、被験者はどう反応するか。それを検証するには、一定の条件のもとで、完全に同じ"おはよう"が与えられないとダメですよね? それってプロの俳優さんでも無理でしょう。

人間が毎回毎回、完全に同じことを繰り返すなんて不可能なんです。声のトーンや大きさとか高低とか目線とか違ってしまうと、被験者の行動が変化したとき、その理由が、刺激が違うからなのか、刺激の種類が異なっているからなのか特定できなくなってしまう。それでは完全な実験とはいえない」

スタートは、すべての被験者に対して、その時々の状況によって変化することのない同一の社会的刺激を与える実験環境を用意することだった。

「それでVRの技術を使ったデバイスを開発し始めたんです」

「社会脳」の研究からVRデバイスに!

それが、2007年頃のこと。

「最初はCGのアバターでやる方法を考えていました。でも全然ダメ。当時のCGって笑っちゃうようなレベルでまったく使いものにならなかった」

CGによって任意の社会的な刺激をつくり出すには、あまりに「つくりもの」臭かったのだろう。人の脳の反応を知るための実験で、被験者が最初から「つくりものである」と認識してしまっては、台なしだ。まったく同じような刺激を再現しながら、ちゃんと現実に起きていることのように見えなくてはならない。

「で、ある時、うちの研究員が"こういうカメラがあるんだけど、買ってください"と。360度カメラのことを教えてくれたんです。"こういうふうに使えばうまくいきそうな気がする"って。で、買ってやってみたら、うまくいった(笑)」

そうしてエイリアンヘッドというものが生まれたという。

"こういうふう"とは、どういうふうだったのか。

まさにその名のとおりの巨大なデバイス。ここにはHMDとライブカメラ、ヘッドホン、方位センサーが組み込まれていて、要は、現在市販されているようなHMDと同じような仕組みができた。けれど肝心なのは、藤井さんの研究室に設えられた特別なスペースで、藤井さんと一緒に体験するという点。

被験者が藤井さんと部屋に入りデバイスを装着すると、ディスプレイにはライブカメラの映像が映っている。当然、目の前の風景が見える。で、藤井さんが部屋から出たタイミングで、録画済みの360度映像に差し替えるのだ。まったく同じ部屋で、さっきと同じ服装の藤井さんが映像で登場し、話しかける。被験者は、映像に向かって普通に会話をする。カメラを向けられるとポーズをとる。これなら現実を、再現可能な仮想現実とこっそり切り替えることができる。

まさに、狙いどおりの実験環境ができたのだ。

・・・・・・明日に続く

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◆ HoloLensで VRの先のMR(Mixed Reality:複合現実)体験 ◆

 

動画のURL: https://youtu.be/3nuUx2RwOM0 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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