もしも目の前の光景がホントかウソかまるっきりわからなくなってしまったら――
予め用意した「過去」の映像を「現実」と差し替えて・・・・
何が現実かをカンペキにわからなくする装置がついに開発された
その「代替現実」システムを発明した藤井直敬!!
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆藤井直敬(11) / 第五回 代替現実であんなことやこんなことも =1/3= ◆◇
SR(代替現実)はなにやら大きな射程がありそうだ。開発した藤井さんや脇坂さんはそう感じているし、ほんの少し体験したぼくにしてみても、大いに納得する。
CGによるVRで到達するには困難なレベルで、現実感・リアリティ・存在感といったことをかなり自在にコントロールできる。「ディスクジョッキーならぬ、リアリティジョッキーみたいなことを出来るようになる」と表現したのは、若き研究者である脇坂さんだった。
そして、チームリーダーの藤井さんは言う。
「とりあえずできちゃいましたので、何に使えるか、何に使いたいか、皆さんよく見て考えてくださいと言っているのが今の状態です」と。
だから藤井さんたちが取材を受け、SRシステムの大体のところを取材側が理解すると、「こんなことに使えるのではないか」という話題によくなるそうだ。
そこでぼくたちも、「企画会議」を急遽開催することにした。
最初に一点だけ懸念をのべておくと(前回も述べたが)、現実感を操作するSRは悪い面もあるのではないかということ。かつてアニメ「ポケットモンスター」でちょっとした光刺激がてんかんの症状を引き出すことが問題になったように、例えば特定の精神疾患を持った人がSRを体験するのは危険なのではないか、など。
藤井さんは、そういう部分は慎重にいくべきと合意しつつも、「実は、精神疾患の治療に使えるかもしれないんですよ」と述べた。
「精神疾患で妄想を抱く人に、SRで現実を操作してさらに妄想的なありえないものを見せるというのは倫理的な問題があるかもしれないですが、逆に健常なドクターにそれを体験してもらうことはできるわけです。ある精神科の教授がここでSRシステムを体験して、終わった後に『ああ、離人症ってこうなんだとはじめて分かった』と言っていました。自分は確かにここにいて、いろんなものを見て経験してるんだけれども、自分の主体は後ろにいてそれを見ているという、一種のやらされている感覚」
なるほど、治療する側が、現実感に失調をきたす精神疾患の状態を体験するのには意味があるかもしれない。
「さらにいうと、PTSDの治療があります。例えば津波がトラウマになっている人たちにパノラマ映像を見せる。あくまで本当には起きてないことをわかった上で追体験させて、トラウマを減らすっていうような治療法です。ただ、SRをそのままぶつけるのはまずいですよね。本当に津波が来たと感じてしまいかねない」
というわけで、現実感を操作するSRは、精神医療の世界で、なにがしかの使い方がありそうだが、注意してかからなければいけないようだ。他の分野でも、逐一、注意すべき点はあるだろう。
それをふまえた上で、藤井さんが目を向けているエンターテインメントのコンテンツの話をしよう。素直に何が実現できるか考えるなら、大変楽しいのは間違いない。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料:もう1つの現実を体験する「代替現実システム」を開発 (4/4) □■
-全く新しいインタラクティブメディア体験システムの登場/背景-
さらに興味深いことに、被験者がSRに気付いた後、SRの種明かしを説明する過去シーンを提示すると、70%の被験者はその説明を現実だと信じて、SRの状態を引き続き維持することもできました。(図2d)/<上記詳細解説参照>。
その後、もう一度ライブシーンで種明かしを行うと、被験者は自分の体験が現実なのかSRなのかの区別が段々出来なくなりました(図2e)/<上記詳細解説参照>。そのような状態が続くと、ライブシーンを過去シーンと信じることも、その逆のようなことも起きます。つまり、SRシステムを用い、そのシーンの内容を操作することによって、被験者の主観的な体験を現実と信じさせたり疑わせたりすることが自由にできることを意味しています。
SRシステムでは、ライブシーンと過去シーンが主観的に「地続き」に等しく体験できるため、体験者の主観的現実を操作する全く新しい仕組みといえます。これまで、フィクションの世界だけで語られてきたアイデアをSRシステムで実現することができました。
今後の期待
今後、研究チームは、SRシステムだけで実現可能と思われる環境を用いて、そのときの脳機能、心理状態、心拍などの生理状態を調べることにより、ヒトのメタ認知の仕組みを調べていきます。デジャビュのように1度しか起きないような出来事を何度も体験させるというのも一例です。また、普通とは少し異なる物理法則に支配された世界を体験させることも可能です。例えば、過去映像の再生速度を操作すればスローモーションの世界になりますし、バスケットボールのシュートが100%決まるようなありえない状況、別の言い方をすれば「世界の確率性」を操作して、その異なる世界でヒトがどのように適応するのかといったことを調べることも可能になります。
また、SRシステムは、現実を任意に操作出来ることから、心的外傷後ストレス障害のような心的疾患に対する新しいタイプの心理療法としての展開も考えられます。また、「そもそも現実とは何か」といった、哲学上の問を探求するためのツールとしても利用可能だと期待しています。
さらに、SRシステムはそれ自体が新しいインタラクティブなメディア体験装置として利用可能です。過去を現実と思い込ませたり、あるいは現実と過去を重ね合わせ、両者が区別できない状態を体験させたりするのは、これまでにない全く新しい表現手法で、次世代ヒューマンインターフェースの到来が期待できます。
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◆ inVRsionによるShelfZone®VRショッピング体験-英語版 ◆
動画のURL: https://youtu.be/-2UT2KcnJiE
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
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