もしも目の前の光景がホントかウソかまるっきりわからなくなってしまったら――
予め用意した「過去」の映像を「現実」と差し替えて・・・・
何が現実かをカンペキにわからなくする装置がついに開発された
その「代替現実」システムを発明した藤井直敬!!
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆藤井直敬(09) / 第四回 代替現実で、ちょっと悟りの境地まで =1/2= ◆◇
SRシステムは、もともと人間を対象にした実験の条件を整えるために構想された。
出来上がってみると、あまりにうまく人を「騙す」ため、実験のために使うだけではなく、様々な可能性を秘めていると、開発者である藤井さんは感じるようになった。
しかし初期の目的である科学的な実験のための装置としての側面を忘れたわけではない。
藤井さんにSRのシステム開発を提案した研究員の脇坂さんが、まさにこの装置を使って「デジャヴ」の研究をしているという。デジャヴは、よく「既視感」と訳される。何かを前にした時、体験したことがある、見たことがあると感じるのに、それがいつどんな状況だったか思い出せなかったり、どう考えても見たことがあるはずがないことが分かっていたりして、混乱することを指す。
研究のねらいについて、脇坂さん自身から説明してもらった。
「1回しか起きないような出来事──例えばコーヒーがこぼれて服の特定の場所にシミをつくるとします。そういうのって、2度同じ場所には起きないじゃないですか。それをSRシステムの中で5分のブランクを空けて2回経験させると。からくりを知らない人は、5分前に見ているので、その先どういうふうになるのかイメージがわく。にもかかわらず、今、2度繰り返し起きるはずのないことが起きているという、困った状態になるわけですよね。そうすると、デジャヴに入るスイッチのような状態がつくれる。記憶と今経験していることがぶつかっちゃうというか、区別できなくなるような状態。それを僕は、デジャヴとほとんど同じと思っているんです」
もっとも、ここまで手の込んだ演出をしなくても、ぼくが経験したような簡単なSRのデモンストレーションでも、何が現実なのか分からなくなる混乱の中で、ふとデジャヴの状態に入っていく状況を作り出せる手応えを得ているという。研究の下準備は充分に整っているようだ。
とはいえ、科学研究は慎重に進められるものだし、実際にデータがまとめられ、適切に分析され、論文になるのはまだ先のことだろう。
それよりも、チームリーダーの藤井さんが述べるように、どのようなSRのコンテンツを開発して活用していくか、ということの方が、当面は課題として前に出てくるかもしれない。
ぼくとしては、ここで一抹の不安を感じ質問せざるをえなかった。
というのも、代替現実SRは現実を揺さぶる力を持っており、使いようによれば、それこそドラッグのような反応を引き起こしてしまうかもしれないと感じるからだ。
「たしかに、使い方はいろいろ気をつけなきゃいけないかもしれないですね」と藤井さんは言った。
・・・・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料:もう1つの現実を体験する「代替現実システム」を開発 (2/4) □■
-全く新しいインタラクティブメディア体験システムの登場/背景-
目の前に広がる風景や、周りを行き交う人々…。通常私たちは、これらが「本当は、物理的に目の前に存在していないのかもしれない」とは疑ったりしません。目の前の現実は確かなものであると強く信じています。もし、つじつまが合わない何かおかしなことが目の前で起きても、私達は現実を疑うということはせず、「気のせい」や「思い違いのせい」にします。最近の心理学実験では、明らかに現実には起きないような出来事を体験した場合でも、強引につじつまを合わせて自分を納得させるという傾向があることが明らかにされています。
実は、まったくつじつまが合っていなくても、現実だと思い続けるということを私達は日常的に体験しています。夢がそれに当たります。夢の中ではおかしなことが沢山起こりますが、夢を見ている最中に、そのおかしさに気がつくことはあまりありません。それと同じく、統合失調症の症状の中には、幻聴や妄想のように、まったく辻褄の合わない出来事でも、本当に起きていると信じてしまうというものがあります。
体験している出来事を実際に起きていると信じて解釈する仕組みや、「あれ?」と疑うときに働くメタ認知と呼ばれる心の働きや思考の解明は、ヒトの高次認知機能を理解するにあたって非常に重要なことです。そのためには、実際に起きている出来事をありのままに体験していると被験者に信じこませたまま、こっそりと体験内容に変更を加えるように自由に現実を操作する手法が必要となりますが、これまで技術的な限界があったため、従来の研究は限定された範囲にとどまってきました。
例えば、バーチャルリアリティー(VR)技術を使えば、人工的に作った世界を高い臨場感とともに被験者に体験させることができますが、そもそも体験内容が人工的なものだということは分かってしまっているため、現実を疑う「あれ?」というメタ認知の働きは立ち上がりません。上述のJohanssonらの研究では、手品のテクニックを駆使して現実操作を実現していますが、「種」が分かってしまうとその後同じ手法は通用しない、などの問題があります。
研究チームは、予め用意しておいた過去の映像を使って、“現実”のシーンをこっそりと差し替える(substitute)ことを代替現実(Substitutional Reality; SR)と呼んでいます。SRを題材にしたフィクションとしては、「マトリックス」や「インセプション」といったSF映画が有名です。フィクションの世界でしか語られなかったSRを実現することができれば、新しい心理・認知実験手法として用いることができ、今まで踏む込むことが出来なかったメタ認知を含むヒトの複雑な高次脳機能へのアプローチが可能になることが期待できます。
・・・・・・明日に続く
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動画のURL: https://youtu.be/4RDq0jtjaWc
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
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