ゲリラ豪雨・竜巻・落雷・ひょう_大きな被害をもたらす突発的な悪天候
狭いエリアで起こる激しい天気は、“雲の王”とも呼ばれる積乱雲が原因だ
“気候変動に伴う極端気象に強い都市創り”という防災対策上、切実で現実的な研究
主にゲリラ豪雨や竜巻の予報技術の確立に取り組む真木雅之
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆真木雅之(02) / 第1回 ゲリラ豪雨、竜巻、ひょう、雷は予報可能?=2/2= ◆◇
さて、ゲリラ豪雨に象徴される極端気象が、きわめて局所的なスケールで起き、人命を含む大きな被害をもたらすことがある。しかし、これまでの天気予報の観測網では正しく検知できないほど局所的すぎて、対応できずにきた。
そこで、真木さんたちは、都心にできる積乱雲を集中的に見る稠密(ちゅうみつ)観測なるものを敢行している。
「今、わからないのは、個々の積乱雲のふるまいや、いつ発生するのかという部分なんですね。そこがプロジェクトの中でメインターゲットになっています」とのこと。
では、そのターゲットになっている積乱雲そのものについて、まずは既知の部分を押さえておくべきだ。真木さんに解説していただいた。
「まず積乱雲というのは、簡単に言えば、強い上昇流があって、そこで雲が成長する条件が整った時にでき、さらに強い雨が降る現象だと言えます。ただ、いろいろな形態があります。大きく分けて3つくらい。ひとつの積乱雲だけのシングルセル。それがいくつも集まった、マルチセル。そして、巨大なひとつの積乱雲、スーパーセル……」
真木さんは、ひとつひとつ図を示しながら語った。シングルセルやマルチセルは、被害をもたらす激しいものと、それほどでもないものがある。一方、スーパーセルは竜巻や強烈なひょうを伴う激しいものだ(それが定義の一部にもなっているようだ)。
日本ではスーパーセルはそれほど多くなく、むしろ、シングルセルやマルチセルでの被害がしばしば起きる。
「普通のシングルセルの積乱雲で、一番よく見られる標準的な積乱雲は、寿命が20分くらい。シングルセルでも、それよりも長い時間、30分以上持続し降ひょうや突風を伴うものをパルス型と呼んでいまして、これが被害をもたらします。一方、マルチセルにはクラスター(かたまり)になったものと、ライン状になったものがありまして、ライン状のものは激しい雨が降るスコールラインをつくる場合があります。今年の7月中旬に九州北部で被害をもたらした豪雨は、バックビルディング型という進行方向の後方に次々と新しい降水セルを発生させるスコールラインによるものでした」
シングルセルとマルチセルの比較で言えば、後者の方が被害をもたらしやすい。ライン状になるマルチセルは世代交代をしながら長く持続するので、単体の積乱雲がもたらすよりもはるかに大量の雨を降らせる。特に、進行方向の後方に次々と新しい積乱雲を作る場合(バックビルディング型)、同じ場所を繰り返し新しい降雨が襲うことになりやすく、恐ろしいほどの総雨量になる。
もっとも、ここまでくるとかなりの大きさの気象現象なので、現状での天気予報で対応できる。7月に起きた九州での豪雨も、メディアでは繰り返し注意喚起されていた。それでも、人命を奪う激烈な被害になってしまったわけだが。
一方、シングルセルや、マルチセルでも小さくまとまったものは、現状の天気予報では小さすぎて予報が難しいので、真木さんたちの研究の領分になる。2008年の神戸市や豊島区雑司が谷、2010年の板橋区など、人命を奪った局所的なゲリラ豪雨は、まさに予測不能なものとして、積乱雲がいきなりの降水を地上にたたき付けた。
真木さんたちの研究は、自身が開発に関わった観測技術のブレイクスルーに支えられている。
その中核的な観測のハードウェアが、MP(マルチパラメータ)レーダだ。
次回は“第2回 ゲリラ豪雨が観測できる魔法のレーダ”に続く
■□参考資料: 異常気象 (『ウィキペディア(Wikipedia)』) □■
異常気象とは異常高温、大雨、日照不足、冷夏などの通常とは異なる気象の総称
定義 : 気象庁では、「過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候」を異常気象と定義している。世界気象機関では、「平均気温や降水量が平年より著しく偏り、その偏差が25年以上に1回しか起こらない程度の大きさの現象」を異常気象と定義している。
エルニーニョ現象や、これに南方振動を含めたENSOは、異常気象の原因となるとされているが、エルニーニョ/ラニーニャ現象は数年の周期で起こるものであり、「エルニーニョ/ラニーニャ現象=異常気象」ではない。後でも述べるが、異常気象の原因=エルニーニョ/ラニーニャでもない(エルニーニョ/ラニーニャを含む含まない関係なく、様々な条件が複雑に複合的に絡み合って起きる)。また、気象庁の異常気象レポートでは、「過去に経験した現象から大きく外れた現象で、人が一生の間にまれにしか経験しない(過去数十年に1回程度の頻度で発生した)現象」ともしている。
「異常気象」は、英語の"extreme weather","anomalous weather"とほぼ同義であり、極端な気象、稀にしか起こらない気象という概念だとされている。
しかし異常気象の発生自体は当たり前の事象であり、地球が存在する以上は必ず一定量発生するものである。単に人間の寿命がせいぜい百年程度で、近代気象学に関わる文献が過去数百年〜千年程度でしかないため、本来的には地球上で“普通”に発生し得る天候であっても、観察者である人類の寿命・歴史にとっては“異常”と定義したといえる。
異常気象と時間スケール: 自然変動の周期はさまざまであり、1日周期の太陽放射(気温の日変動)から季節変化、十数年周期の太陽黒点活動、数十万年周期のミランコビッチ・サイクルまである。また、それにしたがって地球全体や地域的規模の気候の変動の周期も数日〜数十万年の実にさまざまなものがある。
周期の長いものや短いものは「30年あるいは25年に1度」という異常気象の判断基準に合わず、変動の山や谷にあるときは現在から見れば異常気象であっても、当時の状況では異常気象ではない、ということがある。こういったことから、異常気象であるかどうかという判断は、そのときに用いるものさし(時間スケール)に大きく左右される。
○○-----○○-----○○-----○○-----○○
◆ 【20分でわかる!温暖化のホント】 ① ◆
動画のURL: https://youtu.be/Zsw2TJ006mc
・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・
=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/779bcb4086f403f804a2a9202b072461
後節へ移行 : http://blog.goo.ne.jp/xxxx/225/xx
----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------
【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com
【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/
下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行
================================================
・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
================================================