2050年までに、サッカー世界チャンピオンチームに勝てる人型ロボットチームを作ろう!
小説『銀河のワールドカップ』のモチーフにもなったそのシミュレーションリーグ
1997年にスタートした「ロボカップ」大会、「チーム・ヘリオス」が完全優勝を果たした
ロボカップ サッカーシミュレーションリーグ 秋山英久・中島智晴
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文・写真・動画=川端裕人 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 秋山英久&中島智晴(11) /第5回ロボットが人間とサッカーをする日は近い=1/2= ◆◇
さて、主にロボカップ・シミュレーションリーグの話をしてきた。
しかし、ロボカップの大会そのものは、それだけでは終わらない。
いずれ、プレイヤーの意思決定を司る人工知能が、シミュレーションリーグから巣立ち、今よりもずっと完成度の高い人型ロボットに搭載される日がやってくる。その日のために、実機の開発と競技も様々なカテゴリーに分かれて行われている。遠大な目標に向けて、全方位展開なのである。
実をいえば、ぼくがロボカップに出会ったのは今回のメキシコシティではなく、2004年ポルトガルのリスボン大会だった。同時期にサッカーのユーロ選手権が同国で行われており、ぼくはそちらを見に行ったのだが、試合がないある日、ふと街角で「ロボカップ」のポスターを見つけ「もうひとつのサッカー選手権」にふらふらと入り込んだ。
鮮明に覚えているのは、当時からシミュレーションリーグは、今ほどではないにしろそこそこサッカーらしい戦いを繰り広げていたこと。思えば、この時、秋山さんも中島さんもすでにロボカップに参戦していた。シミュレーションの仕組みを日本語で説明してもらった記憶があるから、ひょっとすると知らずに接触していた可能性はある。
しかし、今強調したいのは、むしろ実機の方だ。
その時、アリーナで競技をしていたヒューマノイドのリーグは、実に単純なものだった。ゴール前に小さなロボットを立たせ、PKのようにボールを蹴らせる。つまり、サッカーの基本である「蹴る」という動作をさせるだけでめいっぱいのようだった。
動画: ロボカップサッカー ヒューマノイドリーグ https://youtu.be/Had40btrNEI
//// ユーロ選手権と同時に行われていたロボカップ2004年ポルトガル・リスボン大会のヒューマノイドリーグのロボット。
当時はボールを「蹴る」だけでめいっぱい。 /////
その一方で、AIBOリーグ(4足歩行リーグ)というのがあり、目を引いた。一世を風靡したペットロボットのAIBOを使って、サッカーをするのだが、こちらの方がよほど試合らしかったっけ。
とにかくその時には、こんなんじゃ「2050年までに人型ロボットが、世界一のチームに勝つなんて無理!」という感想を抱いた。
ところが、わずか8年後、2012年のメキシコシティ大会を見て、印象が180度変わった。「これ、いけるんじゃないか」とにわかに思ったのだ。
なぜって……8年前にはボールを蹴るのがやっとだった人型のロボットが、なんと3対3で試合をしていた!
動画: AIBO サッカーリーグ https://youtu.be/GShYrNQqI1o
AIBOリーグの後継として立ち上げられた標準プラットフォームリーグ(共通の2足歩行ロボットを使ったリーグ)だ。ロボット同士がぶつかりあい競り合って、しょっちゅう転倒するのだが、それでも試合は成り立っていた。長足の進歩といえる。
小型のオリジナル人型ロボットのリーグでも、やはり3対3の試合をしていた。こちらはハードもソフトも自前で開発しており、ロボットサッカーの実質的最前線と思えた。なにしろ、ただ「蹴る」だけから、「ボールを追う」「蹴る」「守る」「倒れたら立ち上がる」といったことが出来るようになっているのだから。
動画: ロボカップサッカー 標準プラットフォームリーグ https://youtu.be/OYm_9ifChFc
明日に続く・・・
■□参考資料:「ロボカップ」を通して見える「人間とロボットの協働社会」(5/5) □■
=ロボカップの発案者の一人、産業技術総合研究所の野田五十樹氏へのインタビュー=
――将来的にロボカップを通じた技術進化で、どのようなことをロボットができるようになるとお考えですか?
野田 レスキュー(救助)、アットホーム(家庭)、インダストリー(産業)で進化が起きると思います。レスキューでは、人間がたどり着けない瓦礫の下に潜って人を助けられるようになるでしょう。さらに、意思疎通が可能になれば、工場で人とロボットが隣り合って仕事ができたり、要介護者に寄り添ったりできるロボットが開発され、人間の負担を減らすことができます。要介護者を寝たきりにさせないように、外出に付き添うことができれば、要介護者の健康維持にも貢献できます。
――期待の一方で、「人工知能が人間を超える」だとか「人工知能に支配される」と心配する声もあります。
野田 最近よく人工知能が人間を抜き去る「シンギュラリティー」(技術的特異点)という言葉がメディアで見られますが、研究者としては、いったい何をもって「抜き去る」とか「超える」と言っているのか疑問に感じます。まず、人間の知能とは何なのか、ということが研究者の中で解決できていません。そもそも、人間の知能とは計測できるものなのでしょうか。人間の脳がやっていることが「知能」だとするなら、人間の脳が最高の存在なので、どうやっても超えられないわけですから。
――いまの私たちは「シンギュラリティー」を必要以上に恐れすぎているということですか?
野田 コンピューターが人間を上回った前例はすでに多くあります。現代において電卓はあって当たり前の存在ですが、計算能力だけに注目すれば、すでに人間の能力を「抜き去って」います。グーグルマップにしても、みなさんマップの指示になんとなく従って動いていますが、それは「支配された」ということなのでしょうか。これは一例ですが、仮に本当に「支配される」危険性を感じた時でも、使わないという手段が残されています。
人工知能の発達で新しい道具が手に入り、なにかしら人間の行動や世の中の形が変わる可能性はありますが、人工知能の親分のようなものが出現して、「お前たちを支配する」なんてことは、映画の中だけの話だと思いますよ。 TEXT:河野正一郎(POWER NEWS)
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◆ ロボカップサッカー中型リーグのパスありカットありの頭脳戦 ◆
動画のURL: https://youtu.be/8y919eElo3w
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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