2050年までに、サッカー世界チャンピオンチームに勝てる人型ロボットチームを作ろう!
小説『銀河のワールドカップ』のモチーフにもなったそのシミュレーションリーグ
1997年にスタートした「ロボカップ」大会、「チーム・ヘリオス」が完全優勝を果たした
ロボカップ サッカーシミュレーションリーグ 秋山英久・中島智晴
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた】 を基調に編纂
(文・写真・動画=川端裕人 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 秋山英久&中島智晴(08) / 第4回 本当の賢さとは「自ら賢くなれる」こと =1/3= ◆◇
チーム・ヘリオスは前述の通り、2012年のメキシコシティ大会で、「宿敵」である中国チームを倒し、見事に優勝を果たした。前年の雪辱を遂げたことになる。
では、前年と今年では何が違ったのだろう。
それを問うと、秋山さんは、まず、さらに前の年、2010年に起きたことから説き起こした。この年のシンガポール大会で、チーム・ヘリオスのエージェントは大きな変化を迎えたのだという。
「エージェントといっても要はプログラムなので、もしこういう状況だったらあそこに向かってドリブルをするとか、大量の条件分岐を書かざるを得ないわけなんですね。しかし、それを際限なくやってたら、恐ろしい量のプログラムになって人間が把握できなくなりますし、きちんと動く保証もない。じゃあ、どうするかというと、やっぱりその場で考えさせられるものは考えさせないといけない。将棋なんかで先を読んで、今この手を指したら、この先こういう展開になるからこの手はよさそうだとか、そういう評価をするわけですけど、それと似たようなことをサッカーでもやってみようとしています。この仕組みを完全に取り入れて、劇的に変わったわけです」
2010年シンガポール大会では、この新しいエージェントの考え方が大いにはまって優勝を収めた。
しかし、翌年のトルコ・イスタンブル大会では、中国のチームに決勝戦で敗れてしまう。その時の様子もこちらで見ることができる。
動画: ロボカップジュニア世界大会準々決勝前半e^πi+1 vs Iran-HELLI https://youtu.be/8eENPoPfn7Y
いったい何があったのか。
「──基本的にプレイヤーのスキルで完全に負けてました。1対1の個人の能力。それ以外でいうと、攻撃の連携部分ですね。あちらがどう実現してるかはわからないんですけど、我々はその場でプレイヤーに考えさせるという方針なので、必ずしも同じパターンができるとは限らない。その場で考えて、プレイヤーが自分がうまくいきそうだと思ったものを実行するにすぎないので、絶対的な形というものはあまりないんです」
「──それに対して、あちらのチームはある程度、こういう場合はこういうふうに動けとか、決めごとを徹底していくレベルのつくり込みをしていたと思います。パスを受ける動きとか、明らかにそういうのがきちんとできているので。キッカーが蹴る前にもう走り始めて、あとはマークを外すために1回反対側に走ってから最終目標の方向に走っていくとか、そういう動きまでやっていました。連携のつくり込みでは圧倒的にまだ負けているんですね」
秋山さんの説明を受けて、中島さんがさらに解説してくれた。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料: 「ロボカップ」を通して見える「人間とロボットの協働社会」 (2/5) □■
=ロボカップの発案者の一人、産業技術総合研究所の野田五十樹氏へのインタビュー=
――サッカーにはプレーヤー同士のコンビネーションが欠かせません。
野田 重要な研究テーマが、そのチームワークです。人間は単体では弱い生き物ですが、集団で社会を形成することによって、地球上でここまで繁栄してきました。人間がなぜ社会を形成できたり、チームワークを組めたりするのかは、実は人工知能の開発において大きな壁です。こうした点を解明できれば、人間とロボットの協働が可能になります。
チームワークを考えられるロボットが実現すれば、さまざまな生活シーンや産業などで活用できます。その開発のために、サッカーは最適な研究の題材だと判断しました。現在、ロボカップには世界から数百のチームが参加していますが、サッカーだけではなく、レスキュー部門、家庭用部門などのカテゴリーが増えています。
失敗の原因を突き詰めて技術は進化する。
――ロボカップのサッカーでは、小型、中型、大型、二足歩行型など、ロボットの形態別にいくつかのリーグを分けていますが、それぞれどのような狙いがあるのでしょうか?
野田 技術的に幅広いことにチャレンジしたいという思いもありますが、予算や環境面の問題があります。小さなロボットは大きなロボットよりも安価で数も多くつくれるため、チームワークの研究に向いています。一方、大型のロボットは高価で、広い競技場がなければチームワークの研究ができません。そのため、大会当初の中型リーグでは、人間が使うサッカーボールと同サイズのボールをどうやって正確に蹴るかという研究に注力していました。
――大会が始まった当初から、サッカーとして試合は成立しましたか?
野田 正直、最初はひどいものでした(笑)。97年の第1回大会では、試合開始の笛が鳴ったのにロボットがピクリとも動かず、観客から「いつになったら試合が始まるのか」と質問されたこともありました。研究者の間では有名な笑い話です。
――「やはりロボットでサッカーは無理だ。大会をやめよう」などという話は出なかったのでしょうか?
野田 それはありません。私たち研究者にとっては「なぜこうなったのか」が技術進化を生む材料になります。動かなかったロボットは、カメラがボールの色を捉えることで、それがボールだと判断する仕組みでしたが、照明の当たり具合でボールの色が変化し、うまくカメラで捉えられなかったことが原因でした。その点を改善することで、翌年の大会ではある程度サッカーらしい動きができました。
――失敗が技術進化を生むのですね。大会を重ねるなかで、技術はどのように進化していますか?
野田 ボールの軌道を計算して正確に蹴る、という技術が進化しています。現在ではボールを浮かせる「ループシュート」や、動きながらの正確なパス回しが可能になりました。また、重要な点として、ロボカップを開催すること自体がロボット研究の転換点になりました。 ・・・・・・明日に続く
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◆ RoboCup2007 TeamOsaka ◆
動画のURL: https://youtu.be/uii0PKXtbPM
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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