Quantcast
Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2016

消滅危機の日本語を守る_知の学究達=203=/木部暢子(04/mn)

$
0
0

アイヌ語、八重山語、与那国語、沖縄語、国頭語、宮古語、奄美語、八丈語

ユネスコの発表によれば、これらは消滅の危機にある日本の「言語」だ

このユネスコの警鐘と連動する形で共同研究プロジェクトを立ち上げ 

日本の消滅危機言語を守るリーダーを務める木部暢子

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 木部暢子(04) / 消滅危機の日本語を守る_知の学究達 ◆◇

◆ 第2回 方言は「汚い言葉」? =2/2= ◆ 

 そういえば時代的に近い1960年代を描いたノスタルジー映画「ALWAYS三丁目の夕日」に登場するヒロイン、六ちゃんは青森からの集団就職という設定で、東京でも方言丸出しで生活していた。ああいう例は、むしろ少なかったのだろうか。

 なにはともあれ、木部さんがよく知る鹿児島では、方言の「高齢化」が進んでいる。

「70代ぐらいの人でしたら、方言がすらすら出てくるんです。地域によって違いますが、60代ぐらいになると、鹿児島市ですと、バイリンガルで、共通語と鹿児島弁と使い分けてます。で、私みたいなよそ者が話しかけると、やっぱりまず出てくるのは共通語ですよね」

 そして、「30代以下は分からない」という状況になる。

 こういった悲観的なことを語りつつ、木部さんの表情はどこか柔らかい部分をつねにたたえていた。これはぼくの勝手な推測なのだが、長年関わってきた方言への思い入れなのかもしれない。

 そこで、鹿児島弁そのものについて、聞いた。

 実は、ネイティヴな鹿児島の言葉は、同じ九州の人でも、「何を言っているのか分からない」と言わしめるほど、特別だと聞いたことがある。では、いったいどんな言葉なのだろうか。もちろん、言語(方言)としての全貌を語ってももらうのは短い時間では無理だ。むしろ、木部さんの心に思い浮かぶものとして、どんな鹿児島弁があるのだろうか。

「ええっと、そう言われても沢山ありすぎて……」と木部さんは、遠くを見た。

「分かりやすい例として……最初びっくりしたのは、鹿児島では犬はワンワン鳴かないって言われたんです。ワンワン泣くのは人間だって」

 なるほど、人間がワンワン泣く(ワーンワーン泣く)のは分かる。じゃあ、犬は?

「犬は、ワンワンじゃなくて、ゴッゴッですって。まあ、そう言われると、確かにゴッゴッって聞こえないことはないですよね」

 もっとも擬声語、擬態語は、現実の音を自分の持ってる音声の枠の中のどれに当てはめて聞き取るかという問題。それが「標準語」的な「ワンワン」とは違ったという話だ。興味深いが、もう少し奥深く、鹿児島の人たちの地域性だとか、生活実感に即した表現もあるのではないか。

 木部さんが、唐突に言った。

「ヨカハダモッゴワスナ」

 え? と思う。

 何が何だか分からない。

「わたしが好きな言葉です。「はだもち」って肌のかんじ、皮膚感覚ですかね。暑くもなく寒くもなく、いい季候になりましたねという挨拶で、春と秋、とくに春によく聞く言葉なんですよ」

 よか、はだもっ(はだもち)、ごわすな。

 よい、はだもち、ですねえ。

 すごしやすい陽気ですね。意味としてはそんなところだろう。

 でも、そこに皮膚感覚がくっついている。

 たしかに、素敵な表現だ。

 今は失われつつある、地域にねざした美しい言葉。

 なんだか、ぼくは胸がきゅーんとしてしまったのだった。

次回は“第3回 今もありありと思い出すぼくの「言語喪失」体験”に続く

■□参考資料: 「いま何もしなければ」なくなってしまう(1/4) □■

木部暢子(きべ のぶこ)

福岡県生まれ。国立国語研究所・時空間変異研究系教授。「消滅危機方言の調査・保存のための総合的研究」共同研究プロジェクトリーダー。九州大学大学院文学研究科修士課程を修了後、鹿児島大学法文学部教授、学部長などを経て現職。『方言の形成』(共著、岩波書店、2008)、『これが九州方言の底力!』(共著、大修館書店)などの著書がある。

言語の記録保存と継承保存

世界の言語の約半分が「いま何もしなければ」今世紀中になくなってしまうと言われており,例えばユネスコは,そのような消滅危機言語が日本には8つあると報告しています。この報告に含まれないほぼすべての地域言語(中央語である日本語標準語以外の言語・方言)も,だんだんと使う人がいなくなっていて,消滅の危機に瀕していると言えます。言語変異研究領域では,このような日本各地の地域言語を保存するための研究を行っています。

言語の「保存」と聞いて,みなさんはどんなことを想像するでしょうか。私たちがおこなっている二つの「保存」についてお話しします。

言語の記録保存

最初に思いつく方が多そうなのは,言語の「記録保存」の方でしょうか。博物館に言語の記録資料を残すイメージです。私たちは,消滅の危機に瀕している言語の話者が健在なうちに,体系的かつ総合的な言語の記録を残す研究を,日本国内40地点で行っています。

体系的な言語の記録を残すために,まずその言語の全体像―その言語が持つ音,語や句・文をつくるための文法規則,句や文が実際の文脈の中でどのように解釈されるのか,といった体系的な記述が記載される参照文法を書くための調査を行います。

また,言語の全体像を理解するためには,総合的な言語の記録が必要です。参照文法と合わせて,例文や音声資料付きの辞書,音声や映像資料から文字化され逐語訳が付された談話資料,さらに最近では詳細な文法情報を付したコーパスも総合的な言語の記録に含まれます。

言語が消滅してしまったり,世代間継承が途絶えてしまったりしていても,このような記録があれば復活・復興させることが可能であることは,ヘブライ語やハワイ語などの例からもわかります。逆に,質・量ともにじゅうぶんな言語の記録がなければ,一度失われた言語は二度と知ることができず,次にお話しするもう一つの保存も非常に困難になります。

言語の継承保存

私たちは,言語の「記録保存」と並行して,「継承保存」のための実践研究も行っています。生きた言語は人間の頭の中にあり,個人の寿命を超えて次世代に継承されていくものなので,博物館に言語の記録が残るだけでは,生きた言語を残すことはできません。

日本国内の消滅危機言語,例えば琉球諸語はおおむね,60歳以上の人たちが日常的に話していますが,学齢期の子どもたちは話すことも聞いて理解することもできず,世代間継承が断絶していると考えられます。このような消滅危機言語の「継承保存」とは,世代間継承を再開させ維持することを意味します。 ・・・・・・明日に続く

-☆-☆-☆-☆-☆-☆-

◆ 現代語への長い道(前半) ◆

動画のURL: https://youtu.be/p61wBNPKoJM 

・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/dca02f9bf179e2f44597fb2351824929

後節へ移行 : http://blog.goo.ne.jp/xxxx/204/xx

----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------

【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com

【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/

【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/

下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行

================================================

  

・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

================================================


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2016

Trending Articles