アイヌ語、八重山語、与那国語、沖縄語、国頭語、宮古語、奄美語、八丈語
ユネスコの発表によれば、これらは消滅の危機にある日本の「言語」だ
このユネスコの警鐘と連動する形で共同研究プロジェクトを立ち上げ
日本の消滅危機言語を守るリーダーを務める木部暢子
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 木部暢子(03) / 消滅危機の日本語を守る_知の学究達 ◆◇
◆ 第2回 方言は「汚い言葉」? =1/2= ◆
ある小説のため予備調査として、鹿児島県の種子島の小学校を取材したり、中学生をインタビューしたりしていた。しかし、方言札という言葉は聞かなかった。 方言札とは、いったい何なのか。ものものしく不穏な響きに、ぼくは、少し動揺しつつ、木部さんの説明を待った。
「あの頃、どんな地域でも、方言をむしろ汚い言葉として見る傾向がありました」
国立国語研究所の木部教授は言った。
木部さんがフィールド調査を始めた1980年代の日本での話だ。
日本の言語学者、特に方言研究者は、80年代からその傾向に気づいて危機感を抱いており、勉強会などを開いていたそうだから、それに先行してもっと早い時代から、「危機」の種は蒔かれていたはずなのだ。
「方言札を知っていますか」と木部さんは聞いた。
ぼくは知らなかった。
「わたしがフィールドにしていた鹿児島や沖縄は、標準語教育、共通語教育が非常に激しかったところなんです。方言札というのがありまして、学校で方言をしゃべると罰で札を下げさせられるんですよ。そういう教育を学校でやったのが、鹿児島県と沖縄県の2県なんですね」
言葉の響きからネガティヴなものを予想していたが、それでもやはり衝撃を受けた。今ならば人権侵害などと言われそうな教育方針ではないか。
「わたしが、聞いた範囲では、昭和40年代まで、学校で方言札をかけていたという人がいましたね。屋久島の方でした。市区町村の教育委員会で方針が違ったかもしれないし、学校単位で違ったかもしれないんですけど……そういう教育を盛んにやったので、方言って汚いというイメージが植えつけられちゃったわけです。だから方言をしゃべる人はいるんだけども高齢で、今、鹿児島の30代より下の人は、多分古い方言はわかんないと思いますね」
確かにそんな教育を受けたら、方言は汚いという価値観になるだろうし、子どもに伝えようとも思わないだろう。今の30代というのは、まさにそのような教育を直接受けた親の子であって、アクセントは方言でも、語彙は標準語という「からいも普通語」を話しがちとのこと。
鹿児島県の人口は100万人程度。それだけの潜在的話者がいるにもかかわらず、伝承されず、このままなら、ほんの3世代前には普通に喋られていた「鹿児島弁」「薩摩弁」は消滅するかも知れない。似たことが程度の差こそあれ日本全国でみられ、「言語の多様性の減少」が大々的に起きているというのだ。
標準語教育、共通語教育なるものが20世紀半ばに激しかった背景には様々なことがある。
大きなものとして、中央と地方のヒエラルキーが、かつてないほどくっきり際立つ社会になったこと。これは島嶼部ほど深刻で、屋久島で昭和40年代(つまり、1970年代前後)まで方言札のペナルティが課されていたのは、自分たちが最下層部にいるという危機感があったのではないかという。
「当時、集団就職というのがありました。中学や高校を出た子が集団で都会に就職していく。そのときに、就職先で馬鹿にされないようにという気遣いではあったわけです」
なるほど、時代背景ゆえの親心というか、社会的配慮というのは理解できる。方言は格下のものという固定観念がまさに固定されていたということも。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料: 日本の消滅危機言語 (3/3) □■
言語淘汰の時代に生き残るにはどうあるべきか 2/2
日本の消滅危機言語 ; 日本で代表的な消滅危機言語はアイヌ語で、「極めて深刻」と位置付けられています。沖縄や南の島々の八重山、宮古島、離島の言語の多くもそれに準じ、話者の減少が進んでいます。
文化庁 – 消滅の危機にある言語・方言
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/kikigengo/
このリストに挙げられているものは、文法としても標準日本語とは異なる特徴的な体系をいくつか持ちあわせています。文法レベルでの差異は会話の不便を生じてしまいやすいというのもあるかもしれません。
アイヌ語のいくつかは北海道の地名、沖縄にしても地名や人名などにその名残がありますが、それら固有名詞は存在しても相互運用上大きな障害となりませんから、今後も当分は消えないでしょう。
一方で同一の意味を持つものの存続はなかなか厳しいものがあります。たとえば沖縄には「美ら海(ちゅらうみ)水族館」という水族館がありますが、このちゅらとは標準語の「美しい」やあるいは「清らかな」に該当します。
このように固有名詞化されたものは その名を留めることはできますが、しかし日常会話や文中でいきなり ちゅら と言われても他地域の人では理解に困ります。〜なの形を取らないと形容詞かどうかもわからないのです。生活圏の狭い高齢者など一部を除き、結局「美しい」が優勢になってしまいます。
同じような現象は全国でも同様で、リストに上がってはいないものの着実に絶滅が危惧される単語はもっと無数にあるはずです。
以下に、無作為に50音から単語を並べてみます。特定の地域でしか使われない方言、地方により意味が異なるもの、古語など見分けがつくでしょうか。
あんばい / いちびる / うだつ / えずく / おんどれ / かみさん / きばる / くぐもる / けっぱる / こそばい / さらぴん / しばれる / ずらかる / せこい / そぞろ / たかる / ちょろまかす / つんのめる / でっちあげる / とらまえる / なおす / にべもなく / ぬくい / ねまき / のさばる / ぱっち / ひんしゅく / ふだつき / べらぼうめ / ほたえる / まんざら / みなぎる / むせぶ / めかた / ももひき / ややこしい / ゆかしき / ようさん / らっかさん / りこうな / ルンペン / レッテル / ろくでなし / わんぱく-☆-☆-☆-☆-☆-☆-
◆ 日本語の歴史(第一弾)「まず『方言』を理解しよう」【新録版】 ◆
動画のURL: https://youtu.be/ez0A-bphKn4
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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