アイヌ語、八重山語、与那国語、沖縄語、国頭語、宮古語、奄美語、八丈語
ユネスコの発表によれば、これらは消滅の危機にある日本の「言語」だ
このユネスコの警鐘と連動する形で共同研究プロジェクトを立ち上げ
日本の消滅危機言語を守るリーダーを務める木部暢子
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 木部暢子(02) / 消滅危機の日本語を守る_知の学究達 ◆◇
◆ 第1回 6000言語のうち2500が消滅する!? =2/2= ◆
消滅が危惧される言語についての興味をぼくが口にすると、木部さんはまずこんなことを問うた。
「言語が消滅するってどんなイメージを持ちますか」
ぼくが頭に描いていたのは、だんだんその言語を話す集団の人口が減り、高齢化し、次々と亡くなっていき、そして最後の一人が静かに息を引き取る……といった、どこか悲劇的で、ある意味ロマンティックですらあるイメージだった。
「非常にわかりやすいのは確かにそれです。でも、別に人口が減らなくても言葉はなくなるんですよ。そういう現象が各地で起きています。言語学者は、弱小言語が消えてしまう危機感をずいぶん前から抱いてきました。日本では方言研究者が、そういうテーマのシンポジウムや勉強会を、1980年代から盛んに開いていました」
ぼくが「唯一の」シナリオとして考えていたものとは別に、非常によく起こりがちな言語消滅のシナリオがあり、30年以上前から日本で問題にされていたのだという。ならば、まずは、それについて聞いておかねばならないだろう。
「わたしがフィールド調査を九州で本格的に行うようになったのは、1980年代なんですが、その頃は、方言の地位が非常に低くて、地元の人もそれを守ろうという気持ちをあまり持ってなかったんです。私が調査に行きますと、多くの方は、方言なんて恥ずかしいから聞かないでくれと。聞かせてくれても、汚い言葉でしょ、なんて恥ずかしがられるんです。女の人は特に恥ずかしがる。もちろん、当時、日常生活では使っていたんですよ。なのに、自分の子にはあまりしゃべってほしくないと思っているから教えない……」
その反面、地元の言葉が消えていくのではないかという危機感を抱く人が、どこに行ってもいたという。
「言語学の教育を受けた方々ではなくて、たいてい歴史に興味がある郷土史家さんたちですね。標準語、共通語とは違うものだから残しておきたいということで、コツコツ集めている人が必ずと言っていいほどいました。ノートに思いつく方言をかき集めて、簡単な共通語訳を右側に書いて、持ってきて見せてくれるんです」
木部さんを含む言語学者が危機感を抱き、言語学の素養がない郷土史家も危機感を共有していた当時の状況は、いかに生まれたのか。木部さんの話は日本の「少し前」のことだが、ユネスコが語るように多くの言語が失われた20世紀、失われつつある21世紀の世界でも似たことが起こってきたのかもしれない。だから、この件をさらに聞いてみたい──
と感じていたところ、木部さんから放たれた質問で、胸が妙にざわついた。
「ところで、川端さん、方言札(ほうげんふだ)ってご存じですか。鹿児島と沖縄の学校で昔使われていたんですが」
ぼくは、学校という場、組織には常々興味がある。木部さんを訪ねる2週間前には、ある小説のため予備調査として、鹿児島県の種子島の小学校を取材したり、中学生をインタビューしたりしていた。しかし、方言札という言葉は聞かなかった。
方言札とは、いったい何なのか。ものものしく不穏な響きに、ぼくは、少し動揺しつつ、木部さんの説明を待った。
次回は“第2回 方言は「汚い言葉」?”に続く・・・
■□参考資料: 日本の消滅危機言語 (2/3) □■
言語淘汰の時代に生き残るにはどうあるべきか 1/2
消滅危機言語 : 世界には、およそ現在6000を超える言語があるとされます。しかしその半数近くは消滅の危機に瀕している(Endangered language)と言われます。半数というのは、話者が100万人を超えている言語は100年は生き延びるという研究に基づきます。
それを下回ると、知っていても使う機会が少なくなったり、経済的に自立するために多言語の力を借りなくてはならないなど何らかの損失を伴うようになるためです。この推定は、あくまで過去の実績に基づいています。
デジタル化、特にインターネットで誰でも他言語の情報が簡単に入手可能になった現代と未来では、前提条件が異なっている以上実績通りに進むかどうかは わかりません。他言語の映像も安く簡単に入手でき、その影響を受けやすく、感化されやすくなっています。
外国の言葉を学べば自分の作品をより多くの相手に見せたり聞かせたりしやすくなりますが、インターネットを使うとその効果は格段に大きなものになります。でももしかすると、もっと ゆっくりに なるかもしれません。誰でも簡単に音声を録音し、保存し、配信が可能だからです。
各地で失われそうな言語を保存しようという動きも進んでおり、必要な機材が安くなったので遺しやすくもなっています。翻訳システムも進んでいるため他言語の知識がなくとも ある程度の知識を得たりしやすくなったとも言えるからです。
良い方にも悪い方にもどちらにも影響される可能性があるのです。しかしそれでも、マイナー言語を学習する意味が見出せず離れていく人がいるのも事実です。学習時間というものは無限にあるわけではありません。
限られた時間で学ぶなら、話者の人数・地域規模が大きい言語を選ぶ方が、ビジネスにも趣味にも幅が広まります。 ・・・・・・明日に続く
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◆ ことばのミニ講義「日本にはいくつ言語があるか?」 ◆
動画のURL: https://youtu.be/YGOUN7FUmJQ
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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