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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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NICT/ 宇宙天気予報_ 知の学究達 =199= / 長妻 努(11/11)

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宇宙にも天気予報があることを知っている人は少ないのでは

天気予報を知る人でも、宇宙天気予報がないと困る人たちが、たくさんいる

日々予報を発表し、「太陽嵐」によるさまざまなキケンから人類の安全と安心を守る 

華やかな宇宙開発の影で宇宙気象の研究にいそしむ長妻 努

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 長妻 努(11) / 情報通信研究機構 宇宙天気予報 ◆◇

■□参考資料: 爆発だらけの星・太陽が地球に与える影響 (3/3) □■ 

~巨大フレアと地球“寒冷化”を考える~

 過去の記録から判明しているフレアの規模ごとの発生頻度を見てみましょう。Cの10倍がM、Mの10倍がXです。ちなみに、カナダに大きな被害をもたらしたものはXの約5倍、「X5弱」でした。

・Cクラス=1年に1000回
・Mクラス=1年に100回
・Xクラス=1年に10回
・X10クラス=1年に1回

  実は、X10クラスにとどまらず、X100、X1000といったクラスのフレアが起こる可能性もあるのです。これらを「スーパーフレア」と呼びます。
 従来、スーパーフレアは原始星で起こるもので、すでに壮年期に達した太陽とは関係ない、と考えられていました。

   しかし、私たち京都大学のグループが、X100、X1000クラスのフレアが148個の太陽によく似た星で365回起きていることを発見したんです。それにより、これまで「スーパーフレアは太陽とは無縁」という常識が覆った。実は、この観測には学部の学生も参加し、世界的に権威ある雑誌に名前が出たことでも話題になったんです!

    私たちの観測でも、スーパーフレアの発生頻度は800~5000年に1回なので、すぐに起きるというわけではありません。しかし、1000年に1回程度といわれる大地震が私たちの身近で起きたのですから、決して「遠い未来の話」で片付けはいけないでしょう。たとえば、X1000クラスのスーパーフレアが発生したら、どんなことが起きるのかシミュレートしてみると、こうなります。

 地上の各地で電波通信障害が発生、運行中の旅客機は目的地の空港と連絡がとれず立ち往生する。国際宇宙ステーションの中の宇宙飛行士は、大量の宇宙放射線を浴びたので、非常に危険な状態だろう。放射線の影響は人工衛星にも及び、ほぼすべてが使用不可能に。カーナビも携帯電話も使えない。

    さらに、大規模な停電が発生。夜は真っ暗になった。文明の利器に頼った都市は大混乱に陥る。最も心配されるのは原子力発電所。電源が喪失してしまった状態で、どれだけの時間、持ちこたえることができるのか・・・・・・。

 これは、決してSFではありません。細かな部分で間違いはあるかもしれませんが、何も対策を採らなければ社会が大混乱に陥ることだけは間違いありません。こうした事態に備えて、どんな対策を打っていけばいいか。それは若いみなさんも一緒になって考えてもらえたら、と思っているんです。

黒点が減少すると地球を大寒波が襲う!?

私たち人類が太陽の観測を始めてから約400年が経つ。科学的に観測を始めたのはガリレオ・ガリレイで、彼が自作の望遠鏡を使って、太陽の黒点を観測したという話を知っている人も多いだろう。以来、現在に至るまで黒点の記録は取られ続けており、「11年周期」で黒点の数が多くなったり少なくなったりすること、黒点の増減が気象に影響することなどがわかっている。実は、その黒点の数に最近、異常が見られるようになった、というのだ。それは何を意味しているのだろうか?

 黒点は、地球を1個丸々飲み込むくらいの大きさがあります。周囲の温度(約6000度)とくらべて低いため(約4000度)、黒く見えるのですが、その正体は「磁力線の束」の切り口。つまり、黒点は巨大な磁石なんです。磁石だから、NとSの2つがセットになって表れます。また、磁石であることにより太陽内部の熱が伝わりにくく、それがために温度が低くなっていると考えられています。

 黒点もフレアと同じで発生メカニズムなど「わからないことだらけ」なのですが、長年の観測の蓄積によって、次に何が起こるかをある程度、予想することは可能になっています。具体的に言うと、黒点の数が減ると太陽活動が弱まり、黒点の数が増えると太陽は活発になる。そしていま、黒点の観測から、太陽の活動は弱まっていくのではないかと考えられるようになっているのです。

 2004年から2010年までの間で、黒点がゼロだった日は836日にものぼりました。とくに2007年の半ばから09年にかけ、黒点がほとんど現れない時期がありました。「11年周期」のちょうど底の部分にあたってはいたものの、本来なら2008年には黒点は増加に転じるはずなのに、そうはならなかった。増加に転じてからも予想をはるかに下回る数しか黒点は表れていません(下図参照)。

 黒点の数が少ないときは地球の気温が低下することがわかっています。つまり、いまの太陽の状態は、地球が寒冷化に向かう可能性があることを示しているわけです。研究者によっては「マウンダー極小期の再来」を懸念する人もいます。

    マウンダー極小期というのは、1640年代から1710年代にかけて、黒点がほとんど見られなかった時期を指します。温度計のないときなので正確な記録は残っていませんが、木の年輪の幅から他の時期に比べ気温が低かったことはわかっています。

    ロンドンのテムズ川が凍りついた様子を描いた絵も残っているので、ヨーロッパの広い範囲が寒波に襲われたことは間違いないでしょう。私自身は、マウンダー極小期まではいかないまでも、「ダルトン極小期」くらいにはなるのではないかと見ています。1790年代から1820年代にかけて太陽活動が弱まった時期で、有名なナポレオンのロシア遠征(=冬将軍に立ち往生した)がこのころ。このような寒冷化に向かう可能性が極めて高い。

 その一方で、地球温暖化が指摘されていますよね。たしかに、地球は100年間で平均気温が0.6度上昇しました。そして、それは私たちが人間が排出したCO2の影響が大きいとされています。しかし、過去100年間はそれを含む1000年の間でも黒点の数がとても多く、気温の上昇が太陽活動の活発化によるものである可能性も否定できません。

   そして何よりも、CO2の削減は地球寒冷化を促進することにつながるかもしれないわけです。いずれにしろ、将来を正しく予測し備えるためには、自然現象の原理をしっかり、そして冷静に理解することが必要です。そうやって初めて合理的な判断ができることを、ぜひ、中高生には知っておいてほしいですね。

 どうですか? 太陽の研究がとても面白く、意義深いものであることがわかってもらえたでしょうか。宇宙天気予報だとか、スーパーフレアと生物進化の問題だとか、もっともっとお話ししたいことがあるのですが、残念ながら紙幅の関係でこのくらいにしておきます。詳しく知りたいという人はぜひ、最近出した下の本やプロフィールで紹介している本を読んでくださいね。

※ 柴田一成先生の著書『太陽 大異変』 / 朝日新書、798円(税込み)

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◆ 躍動する磁気圏 磁場から宇宙の謎にせまる ◆

動画のURL: https://youtu.be/tY-OUFU-z78 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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