宇宙にも天気予報があることを知っている人は少ないのでは
天気予報を知る人でも、宇宙天気予報がないと困る人たちが、たくさんいる
日々予報を発表し、「太陽嵐」によるさまざまなキケンから人類の安全と安心を守る
華やかな宇宙開発の影で宇宙気象の研究にいそしむ長妻 努
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 長妻 努(10) / 情報通信研究機構 宇宙天気予報 ◆◇
◆ 第5回 巨大津波もリアルタイムに検出可能!=2/2= ◆
気象庁の津波情報は、基本的には「予報」であって、少なくとも初動では、津波の「波」が検知されているわけではない。それが、間接的ではあるけれど、電離層のリアルタイムの観測で、まさに津波の発生時点からの動きを捉えられていた、という。
海面の動きが非常に大きいと、その影響が大気のさらに上層にある電離層に伝わり、電子の密度変化として検出できるというのは驚きだ。大きな津波なら、なおさらはっきりとわかり、予報ではなくリアルタイムの発生情報として活用できる。長妻さんの研究室では、GPSデータのリアルタイム収集や、電離圏の変動から津波発生を検出する研究が新たに立ち上がりつつあるところだという。
お話を伺って、総じて感じたのは、太陽から吹き出す放射線や紫外線やプラズマなどが織りなす「宇宙の天気」は、予報という「実用」の要請がある割には非常に若い研究分野である、ということだ。
さらには、地球と宇宙はつながっている、という当たり前のことも強く印象づけられた。
プロトン現象の人工衛星への影響、磁気嵐の誘導電流による送電設備などの社会インフラへのダメージ、さらには太陽活動と地球の寒暖の関係まで、すべて、我々が「宇宙天気」と無縁でいられない事実を示している。
太陽風という言葉は非常に詩的でもあって、『太陽からの風』(アーサー・C・クラーク)、『太陽風交点』(堀晃)といった傑作SFのモチーフにもなった。
そこでぼくも少しだけ詩情を交えて語るなら、太陽から吹き出す風は、波のような周期を持ち、地球の「岸辺」である磁気圏に常に打ち寄せて洗っている。時には、CME(コロナ質量放出)などに起因する大波がやってきて、砕けた波頭が海岸線に飛沫を散らすこともある。本当にこれは、たまにテレビでオーロラの映像を見て実感する以上に、日常的であり、「普通」のことなのだ。
今現在、研究分野として若く、地球のまわりの「宇宙天気」をめぐる数値予測モデルが、実用レベルにないというのは、つまり、その「普通のこと」の理解が本質的なレベルに達していないということだろう。
長妻さんは言う。
「ほんの50年か60年前の人たちは、太陽からプラズマの風が吹いていることも知らなかったんです。大きなフレアがあると数日後に地球でも磁場の乱れがあるから、何か因果関係があるかもしれない、という推測程度でした。1960年代に人工衛星が上げられるようになって、それで、様々な太陽活動が地球に及ぼす影響のメカニズムが見えてきたわけです。それがここまでクリアになってきたっていうのは本当に最近のことなんですね」
本当に若い研究分野なのだ。
10年、20年後、おそらく我々は、今よりもっと「宇宙天気予報」を必要としているに違いない。その時のために粛々と予報し、研究を進める人たちの存在を、実に頼もしく感じたのだった。
次回は“木部暢子: 第1回 6000言語のうち2500が消滅する!?”に続く・・・
■□参考資料: 爆発だらけの星・太陽が地球に与える影響 (2/3) □■
~巨大フレアと地球“寒冷化”を考える~
では、なぜ太陽表面の爆発によって、遠く離れた地球で被害が生じるのか?
太陽表面からは太陽風と呼ばれるプラズマの風が常に吹いています。一方、みなさんご存じのとおり地球自体が巨大な磁石で、磁気に覆われた磁気圏というものを形成しています。磁気圏があることで太陽風の進路は曲げられ、地球に直接、入り込むことができなくなっているのです。もし、磁気圏という盾がなければこれほどまで生物が繁栄することはなかったでしょう。しかし、巨大な爆発によっても大量のプラズマがもたらされると、その盾が大きく揺さぶられるのです。これを磁気嵐と呼び、爆発から数日で起こります。
具体的には、揺さぶられることで送電線に大量の誘導電流が流れ出し、送電設備などに障害が起きます。また、長距離通信は電離圏と呼ばれる場所のプラズマを利用しているため、それが乱され通話などが難しくなってしまいます。カーナビも機能しなくなるし、携帯電話も通じない。人工衛星は故障するかもしれない・・・・・・被害は停電だけにとどまらずさまざまなところに及ぶのです。
ちなみに、オーロラは磁気圏に取り込まれたプラズマの粒子が大気に降り注いで起きる現象なので、太陽で巨大な爆発が起きれば、北極や南極だけでなく比較的緯度の低いところでも観測できるようになるでしょう。1859年に起きた巨大なフレアでは、ハワイやキューバでもオーロラが見えた、という記録が残っています。
スーパーフレアで都市は大混乱に!
最近では1989年3月に、巨大なフレアによってカナダのケベック州で大停電が引き起こされた。600万人に影響が及び、停電は9時間も続いた。町全体が受けた経済的損害は100億円を超える、といわれている。このクラスのフレアは年に平均3回近く起きており、たまたま太陽と地球の位置関係で大きな被害につながったのだが、さらに大きなフレアは過去に何度も発生している。滅多に起きるものではないが、起きたときの影響はそれこそ計り知れない。
過去の記録から判明しているフレアの規模ごとの発生頻度を見てみましょう。Cの10倍がM、Mの10倍がXです。ちなみに、カナダに大きな被害をもたらしたものはXの約5倍、「X5弱」でした。
・Cクラス=1年に1000回
・Mクラス=1年に100回
・Xクラス=1年に10回
・X10クラス=1年に1回
実は、X10クラスにとどまらず、X100、X1000といったクラスのフレアが起こる可能性もあるのです。これらを「スーパーフレア」と呼びます。 ・・・・・・明日に続く
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◆ 「太陽嵐による電力システム崩壊」人類滅亡の日~4/4 ◆
動画のURL: https://youtu.be/HgJbApfwDjw
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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