宇宙にも天気予報があることを知っている人は少ないのでは
天気予報を知る人でも、宇宙天気予報がないと困る人たちが、たくさんいる
日々予報を発表し、「太陽嵐」によるさまざまなキケンから人類の安全と安心を守る
華やかな宇宙開発の影で宇宙気象の研究にいそしむ長妻努
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 長妻 努(01) / 情報通信研究機構 宇宙天気予報 ◆◇
◆ 第1回 ずばり、宇宙天気予報とは =01/02= ◆
ある日の午後2時30分、東京都小金井市、小中学校や大学に囲まれた一角にたたずむ研究所にて。
総勢10人ほどの研究員が様々なモニタ類に囲まれた1室に集まり、「宇宙天気予報」を発表するための打ち合わせをしている。字面から、ついSF? と思う人もいるかもしれないが、現在、毎日行われている日常的業務だ。
その日の予報担当者が、あらかじめ用意してきた原案を読み上げ、異論があれば口を差し挟む。モニタ類で情報を確認し、議論をして、決定版に落とし込んでいく。
結果、公表されることになった「宇宙天気予報」は下のようなものだ。耳慣れない言葉が出てくるかもしれないが、分からなければ飛ばしてざっと見てほしい。
──はじめに概況です。太陽活動はやや活発でした。今後ともやや活発でしょう。プロトン現象は発生していません。今後ともプロトン現象は発生しないでしょう。地磁気活動は静穏でした。今後はCME現象のため、やや活発となるでしょう。短波伝搬状態は安定でしょう。デリンジャー現象は起きないでしょう。
──太陽活動です。○月○日0時現在、太陽面には南15度、西25度にやや活動的な領域があります。また、南18度、東14度にやや活動的な領域があります。2012年○月○日以降、大きな太陽フレアは起きていません。
──地磁気活動です。2012年○月○日以降、地磁気嵐は起きていません。プロトン現象です。2012年○月○日以降、プロトン粒子の増加は起きていません。
これを聞いた時、ぼくはかなりちんぷんかんぷんだった。
プロトン現象、CME現象……なにそれ?
デリンジャー現象……聞いたことあるけど、たしか電波に関係することだっけ??
とはいえ、こういった専門用語を、耳慣れた気象現象、例えば、高気圧、低気圧、台風、嵐、強風といったものに置き換えてみると、とたんに、これは本当に「天気予報」だと感じてきた。
と同時に、「宇宙天気予報」なるSFチックな字面の業務が、すでにルーティンワークとして確立していることに、あらためて衝撃を覚えたのだった。
件の研究室がある情報通信研究機構(NICT)を路上から見ると、高層ではなく横に広いつくりが、何かのメーカーの研究所を思わせる。「NICT」というロゴが掲げられているので、会社名だと思う人も多いだろう。
建物の上に電光掲示板で時刻が表示されているのだが、その重要性もぱっと見には伝わらない。実は、原子時計を基準にして、日本標準時を決めるのが、この研究所の役割のひとつなのだそうだ。つまり、電光掲示板の時計表示は日本の時刻の基準なのである。
重要な役割を担う施設ほど、地味に佇んでいるというのは、このウェブ連載で訪ねてきた「研究室」でだいたい共通した印象でもある。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料: 情報通信研究機構と宇宙天気予報 (1/2) □
国立研究開発法人情報通信研究機構( National Institute of Information and Communications Technology; NICT)は、総務省所管の国立研究開発法人。本部は東京都小金井市。
情報通信研究機構は、情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発、高度通信・放送研究開発を行う者に対する支援、通信・放送事業分野に属する事業の振興等を総合的に行うことにより、情報の電磁的方式による適正かつ円滑な流通の確保及び増進並びに電波の公平かつ能率的な利用の確保及び増進に資することを目的とする。
情報通信技術の研究開発や、情報通信分野の事業支援等を総合的に行うことを目的とし、全国8か所の研究拠点、2か所の標準電波送信所をもつ。
詳細は、研究関連組織として、次の5研究所、10センター、3部門を有する。
電磁波研究群 ; 電磁波研究所
ネットワーク研究群 ; ネットワークシステム研究所 / ワイヤレスネットワーク総合研究センター
AI・脳情報通信研究群 ; ユニバーサルコミュニケーション研究所 / 脳情報通信融合研究センター / 先進的音声翻訳研究開発推進センター
サイバーセキュリティ研究群 ; サイバーセキュリティ研究所
未来ICT研究群 ; 未来ICT研究所
オープンイノベーション推進本部ソーシャルイノベーションユニット ; 総合テストベッド研究開発推進センター / ナショナルサイバートレーニングセンター / ナショナルサイバーオブザベーションセンター / 知能科学融合研究開発推進センター / 耐災害ICT研究センター / 統合ビッグデータ研究センター / テラヘルツ研究センター
イノベーション推進部門 ; 産業界、大学等との研究連携をすすめ、委託研究、共同研究を推進。研究開発成果の社会での活用を促進。
グローバル推進部門 ; 国際共同研究、海外との人材交流、標準化活動等を推進し、国際競争力を強化するための部門。
デプロイメント推進部門 ; 情報通信分野の民間事業(ベンチャー、バリアフリー、インフラ整備、基盤技術研究)を情報提供、助成金、利子補給などの政策支援を行っている。旧郵政省の通信・放送政策により、旧TAO(通信・放送機構)及び旧基盤技術研究促進センターが行っていた事業を継承して実施している。
活動内容は、国立研究開発法人情報通信研究機構の国家サービス事業
周波数標準と日本標準時 ; 電波法に基づき、周波数標準値を設定し、標準電波を発射し、日本標準時(JST)を通報している。
宇宙天気予報 ; 太陽の磁気嵐による被害の予防を目的として、磁気圏の状態を観測・予報する「宇宙天気予報」を行っている。また、電離圏世界資料センターとして、世界各地で行われている電離層観測や太陽活動観測などで得られたデータを収集し公開している。
型式検定と較正 ; 無線機器型式検定規則および測定器等の較正に関する規則に基づき、無線機器の型式検定および測定器の較正を行っている。
◆ 躍動する磁気圏 磁場から宇宙の謎にせまる ◆
文末動画挿入コード
: https://youtu.be/tY-OUFU-z78
・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・
=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/ed46f0ded7c75261c5a9058315d79813
後節へ移行 : http://blog.goo.ne.jp/xxxx/190/xx
----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------
【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com
【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/
【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/
下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行
================================================
・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
================================================