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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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霊長類学者_D.フォッシーの学究達=188= / カリソケ研究所(14/14)

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世界に800頭ほどしかいないマウンテンゴリラ、ルワンダ共和国には約500頭が生息

1967年にダイアン・フォッシーが設立した「カリソケ研究所」はゴリラ研究で世界的中心のひとつ

映画「愛は霧のかなたに」や、自著『霧のなかのゴリラ』で世界中で認知される 

設立から約半世紀がたつ今なお、D.フォッシーの情熱が受け継がれる

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=川端裕人 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ カリソケ研究所(14) / マウンテンゴリラ ダイアン・フォッシーの後継者たち ◆◇

◆ 番外編 ルワンダってどんな国? =2/2= ◆ 

そういうヘヴィな背景を持ちつつ……ルワンダの旅は、とても快適だった。

 とにかく、安全・安心である。観光に関してはヴォルカン国立公園の他に、ニュングウェ熱帯雨林国立公園を訪ねたが、ここではゴリラではなく、もう一つのアフリカの類人猿・チンパンジーや、アンゴラコロブスという白黒模様の珍しいお猿さんが見られた。

 移動の合間に見る景観にもしばしば目を瞠った「千の丘の国」と呼ばれるルワンダでは、その丘や谷を利用して様々な一次産業が営まれている。とりわけ、お茶やコーヒーが国際的な競争力を持っているそうだ。

 谷を利用した米作も盛んだ。これは国内消費用。谷間では食用の養魚池も見られるし(ウサギの小屋を併設し、排泄物を魚に食べさせるという面白いやり方をしている)、西部でコンゴとの国境になっているキブ湖では漁業も盛んだ。米好き、魚好きの日本人としては親しみが持てた。

 なお、天然資源にはそれほど恵まれていない。ダイヤモンドや石油は出ないし、若干の金鉱があるものの質は高くない。これはむしろ幸運なことなのかもしれない。資源目当てに諸外国から「狙われ」、一部の層は潤うものの、ほとんどの国民は貧しいまま、というアフリカの典型的な悪循環に陥らずに済んでいる。

 偶然だが、宿の近くにあった学校を、アポイントなしで訪問したら、非常に歓迎してくれて授業を見せてくれた。

 実はこの体験が、旅を終えた後も一番深く心に残っている。

 なんといえばいいのだろう……この国には希望がある。

 今はまだ経済的に貧しいことに違いないのだが(2010年1人あたり国民総所得は540ドル。日本の50分の1以下)、どんどん成長しているし、これからも成長できる、と信じている教師がおり、子どもたちがいる。

 小学6年生の授業は「英語」だった。現在や過去、進行形など様々な「時制」を使うというテーマだった。

 現在形の例文を作る課題で、「きょう、わたしたちはゲストを迎えています」と気のきいたことをいう子もいる。

「わたしたちは、毎日肉を食べます」というのは、文法は正しくても、内容が可笑しいらしい。教室は爆笑に包まれた。毎日、肉を食べられるほど裕福な家庭は少ないし、また、魚を食べることも多い。

 児童は80人ほどの大編成だ。教室の数が足りないという。一般に大人数クラスの集中力を維持するのは難しいが、子どもたちは我も我もと手を挙げた。正確には指を挙げた。「ヘイ、ティーチャー、プリーズ!」と指してもらいたくてたまらないのだった。

 授業後、教師がぼくに感想を聞きにきた。ぼくに大したことがいえるわけではないのだが、授業をよくしたいという情熱が伝わってきた。

「小学校は無償だし、来年度からは高校まで無償になります。国の方針で、すべての子どもが学校に来られるように努力しているんです。都市部にはストリートチルドレンもいるのも事実ですが、そういう子にも教育を受けられるようにする方針です。そうすれば社会はよくなっていくんです」

 ぼくを案内してくれた主任教師(校長は出張中だった)が言っていた。

 日本の教育の現場では、一応の水準を達成し、むしろ「何が目標なのか」見つけにくくなることがあると思う。しかし、ここでは、その点では疑う余地がない。教育は、明日の希望のためだ。個々の子どもたちにとっても、この国の未来にとっても。

 最後に、旅行者ではなく、この国に目下住んでいる、森啓子さんの意見を聞いた。

「私、ジェノサイドのこと、本格的に調べたりしていないんです。まわりにはジェノサイド孤児がたくさんいるし(孤児とはいえ、当然今では大人で社会の中核を担っている)、本当に気にするときりがなくなりそうで。この国の人は、基本的に陽気で親切じゃないですか。でも、ふとした瞬間、びっくりするほど暗い目をすることがあるんです。克服しきれないもの、やりきれないものがどうしてもあるんでしょうね。そんなとき私、愕然とするんですが、逆に彼らの胸に飛び込めた気がするんです。ただ脳天気な時より、ずっと共感できる。私などには想像もできない辛苦をなめてきた彼らに、なんとかしあわせになって欲しいと、本気で思うんですよね」

 やっぱりそうだろう。そんな簡単に決別できる過去ではないし、この国の社会は常に何かが狂ったとしか思えない1994年から逆照射されている。

 それでも、ぼくの目には、この国は、かつて絶望を経験し、克服しつつある希望の国、と映った。

次回は新企画“情報通信研究機構 宇宙天気予報 長妻努”に続く・・・・

■□参考資料: アフリカの森でゴリラと暮らして考えた! (5/5) □

〜類人猿の視点から人類家族の起源に挑む〜霊長類学者・山極壽一 さん

ゴリラやチンパンジーはときどき食物を分配しますが、食物を仲間のもとへ運んで一緒に食べるということはありません。食糧が豊かで安全な場所では、食物を運ぶ必要がないのです。
対面で一緒に食べるという経験を共有する。それによって、人類の祖先はほかの類人猿よりもかなり複雑で大きな社会を運営できるようになったのではないかと考えています。

危険が多い草原地帯で暮らすようになったことで、現在の家族や社会の原型ができたんですね。

山極 はい。そうして人類は「身体と脳」を「共同作業と言葉」を使ってつなげることを覚えたんです。
でも現代はコミュニケーションのあり方が変わってきていますよね。通信機器の発達やインターネットの登場で、身体から切り離されて脳だけでつながるようになった。それで社会の範囲が広がったわけだけど、まだ脳だけでつながる歴史はそう長くないから、信頼関係や共感というものを脳だけでは得られていない。一緒に何かした「経験」がないと信頼関係がつくれないから、そのギャップに苦しんでいるというのがいまの状態でしょう。

この不安定な状況で、不特定多数の信頼関係がない人たちとのトラブルを避けるためにこれまでさまざまなルールをつくってきました。しかし、少子化や孤食化で家族や共同体というフィルターが薄れて自分で自分を防衛しないといけなくなったから、ルールオンリーの社会になりつつあります。
しかも、もともと経済は社会を豊かにするために生まれたのに、経済を右肩上がりにするために個人の欲望を発散・充足させることを目的とした資本主義経済が加速しすぎた。それによって、みんな「社会」を忘れてしまいました。
そうやって孤立し、ただルールに従っていると、人間は考える力、決定する力を失っていく。いまの子どもたちは、そういう危機的な状況に晒されていると思います。

先生の危機感が伝わってきました。これからの時代に必要なことは何でしょう?

山極 「人間って何だろう?」という問いは僕が高校時代に抱えていたものですが、いままさに内と外から新たに問い直される時代だなと思います。「内」というのは、人間の身体そのもので、最近ではDNA自体が遺伝子編集で変えられようとしていますよね。「外」とは社会との関係で、AI(人工知能)やICT機器(情報通信技術)の登場でコミュニケーションが急速に変わっているということは、社会もどんどん変わっている。
つまり、人間というものを支える遺伝子とコミュニケーションが変化に晒されている。だからこそ、人間とは何かを問い直さなきゃいけない。そういうときに霊長類学という、人類に近いサルやゴリラから人間社会を眺めてみるという方法論が、改めて重要になってくるのだと思います。

人類の歴史というのは生命の歴史でもあり、人類進化の700万年、あるいはゴリラ、チンパンジーを合わせれば1000万年という進化の時間の中で、人類の身体と心がどうつくられてきたのかということを問い直す。そこからさらに、人類の未来も考えていく必要があるなと思います。

参考記事 チェック ; https://finders.me/articles.php?id=1482 

=ゲストと共に、登山アプリ「YAMAP」を手がけるヤマップ代表取締役の春山慶彦氏とFINDERS編集長の米田智彦が語る連載「鼎談・The Nature」。第3回目のゲストには、人類学者・霊長類学者でゴリラ研究のパイオニアとして知られる、京都大学総長の山極寿一氏をお迎えした。これまでアフリカをはじめとする国内外でゴリラなどのさまざま霊長類と対峙し、追究してきた山極氏が思う、人の根源、そして身体性とは?=

◆ Dian Fossey Gorilla Fund International PSA 2014 ◆

動画のURL: https://youtu.be/wmTH61XN7po 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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