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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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現代の探検家《小林快次》 =28=

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○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○

◇◆ 第12回 北米の恐竜とアジアの恐竜 =1/3= ◇◆

※   前回に続き、カナダ・恐竜州立公園での発掘調査です。 発掘チームの1人、スコットが発見した、セントロサウルス(ケラトプス類)の頭骨をいよいよ掘り出します。 

 カナダ、アルバータ大学のフィリップ(フィル)・カリー教授は、ナイフを手に取り、頭骨に近づいた。
「ちゃんと外れやすいように、ジャケット(化石を取り囲む母岩から露出した骨化石を、壊さずに運び出すために作るもの)には切れ目を入れてある。  ここがそうだ。 ジャケットと骨の間にはトイレットペーパーを詰めてある。 この割れ目にナイフを入れて・・・」

 割れ目にナイフを刺し、ゆっくりと力を入れる。 最初はビクともしないが、何度も揺らしていると、少しずつジャケットが外れていくのがわかる。


 「あんまり強くやると、骨に圧がかかっているよ」  スコットはそう言いながら手助けを始める。

 メリメリという音とともにジャケットが持ち上げられていく。さっきまで輪郭しか見えていなかった頭骨があらわになった。 誰が見ても恐竜の頭骨とわかる。 スコットが説明していたように、角には濃いオレンジ色の地衣類が付いている。

「すごい! すごいね! これはすごい!!」

 私は頭骨の周りをくるくる回り、ただひたすら「すごい」を連呼していた。 カメラを取り出し、シャッターを何度も切った。 私も20年近く恐竜の発掘調査をしているが、今までにない感動だった。

 感動の瞬間を満喫し、少し冷静になった頃、騒いでいるのは私独りだけだということに気づく。 そして、フィルとスコットの冷ややかな目線を感じた。

「 (この温度差は何だろう? みんなうれしくないのか?)」 私は興奮を抑え、軽く咳払いをして平静を装う。

「 アルバータ州からはセントロサウルスがたくさん発見されているしね。この頭骨を掘るのは、研究用というより、どちらかというと展示用かな。ここまできれいに保存されている頭骨はあまりないからね」

 フィルは私の目を見ず、バッグの中にある発掘道具を探しながら言った。

 彼らにとって、ケラトプス類の化石は珍しいことではない。しかし私にとっては、これだけ大型で保存状態の良いケラトプス類の頭骨を発掘するのは、初体験だった。

 そこで、あることを思い出した。以前、カナダの研究者が私たちのモンゴルの調査に参加した時、テリジノサウルス類の化石に異常に反応していたのだ。

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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