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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =152=/ 堀川大樹(04/mn)

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ちょっと間抜けで憎めない、いや、愛すべき容貌をしたクマムシ

低温にも負けず、高圧にも負けず、乾燥にも放射線の照射にも負けず

2700メートルの海底から標高5000メートルくらいの山まで、頑健丈夫な体で生き抜く

華の都パリでそんな“かわいいけど最強”の生物・クマムシを研究する栃本武良

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=川端裕人・堀川大樹 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ クマムシ/堀川大樹 : 第2回 クマムシに出会ってひと目ぼれ =2/2= ◆◇

  クマムシは乾燥だけでなく、マイナス200℃以下の超低温にも強い。それは「樽型」になった乾眠状態だけではなく、水を含んだ「生」のままの状態でも大丈夫なのだという。それほどの低温への耐性は、自然選択では説明できない。地球上にそんな猛烈な低温環境はないからだ。堀川さんは、地球上に普遍的にある「乾燥」ストレスへの耐性を身につけることで、副次的に超低温への耐性を得たのではないか考えた。

 人間を含む陸上の脊椎動物なら、体の中から水を出来るだけ逃がさないという方法で環境に適応してきた。一方、クマムシの場合、水がなくなっても死ななきゃいいじゃないか、という方向に進み、乾燥脱水耐性(アンハイドロバイオシス)を身につけた。そして、実は凍結することは、乾燥することと似ているのだという。

 クマムシの体が低温にさらされると、体の中の細胞のまわりで水がまず凍り、蒸気圧の違いと、細胞外で成長する氷によって細胞が物理的に押しつぶされると考えられている。低温下でまず体を縮めはするが、樽型にはならないまま凍ってしまうようだ。いずれにしても、凍結は、この場合、水が凍ることによる乾燥と言ってよいという。

 堀川さんは、札幌のオニクマムシとインドネシア・ジャワ島のオニクマムシを比較することにした。ジャワ島のコケからオニクマムシを採集して持ち帰り、札幌のオニクマムシの耐性と比較した。

 結論としては、双方ともに、乾燥耐性と凍結耐性を持っていた。ただ、その能力に差があった。札幌のオニクマムシのほうが乾燥にも凍結にも強かった。これは、堀川さんの仮説が理にかなっていると示唆する結果だ。

 札幌に住んでるオニクマムシのほうが、湿潤なジャワ島のオニクマムシよりも乾燥耐性が強いがゆえに、凍結耐性も強い(札幌はジャワ島より寒いが、堀川さんが実験に使った液体窒素のマイナス196度といった極限環境からみるとほとんど変わりないことに留意)。一方で、雪も降らない、氷点下にもならないジャワ島のオニクマムシも凍結耐性を持っている……。

 ここまでは、野生から採集してきたクマムシでの研究だ。

 博士課程に進み、今度は生態学というよりも、さらに生理学に近い研究をしたいと考え、放射線耐性について探究すると決めた。このとき、堀川さんは、野生からの採集だけでは済まず、飼育して、たくさん実験する必要に駆られる。

 ちなみに、この時点で、堀川さんは札幌にて、新種かもしれないクマムシを採集済みだった。ツメボソヤマクマムシの仲間で、現在、ヨコヅナクマムシと呼ばれているものだ。しかし、まだ、みずから系統を確立しようという発想はない。

 ちょうどその時、慶応大学の鈴木忠准教授が、オニクマムシの飼育に成功したという論文が出版され、堀川さんも、オニクマムシ飼育をまずは試すことになる。

 なお、鈴木准教授は『クマムシ?!─小さな怪物』(岩波 科学ライブラリー)を一般書として上梓し、現在の日本の微妙なるクマムシ人気を築く礎となった人物だ。かくいうぼくも、その本を読み、クマムシをどうしても見たくなって、双眼実体顕微鏡を購入してしまった者である。しかし、何度もコケを採集し、クマムシを見つけようとして失敗してきたことを告白しておく。

・・・・・・明日 “第3回 ヨコヅナクマムシ登場”に続く

■□参考資料: クマムシに新たな伝説 月面に置き去り実験の行方は? (1/3) □■

「最強生物」クマムシ 低温から高温、高線量の放射線や紫外線、地球上の自然にはありえない高圧にも……。

マイナス273℃という超低温にも、プラス100℃の高温にも、ヒトの致死量の1000倍以上の放射線にも耐えることができる……。インターネットでもしばしば「最強生物」と謳われるのが、1mmにも満たない小さな生き物「クマムシ」です。2019年4月に、イスラエルの民間団体が打ち上げた無人探査機が月面に衝突。実は、その探査機にはクマムシが乗せられていました。どうしてクマムシが選ばれたのか、そもそもクマムシってどんな生き物? そして、月のクマムシは一体どうなるのか、研究者に聞いてみました。

かわいすぎる…! クマムシの魅力

まず、クマムシとはどんな生き物なのでしょうか。教えていただいたのは、慶應義塾大学の鈴木忠(あつし)准教授(生物学)です。著書に「クマムシ?! ―小さな怪物」 (岩波科学ライブラリー)や「クマムシ調査隊、南極を行く! 」(岩波ジュニア新書)があり、20年近く、クマムシの研究をされています。

鈴木先生によると、クマムシはムシではありますが、昆虫ではありません。「緩歩(かんぽ)動物」というグループに分類されます。その名の通り「ゆっくり歩く」のが特徴で、このグループにはクマムシの仲間しかいません。

土の中や海の中、コケの中など、さまざまな場所に何らかの種類のクマムシがいるそうです。しかし、大きさは0.2~0.3mm程度のものが多く、大きいものでも1mm程度。肉眼や虫眼鏡で見つけるのはほとんど不可能で、顕微鏡がないと姿をお目にかかるのは難しいとのことです。

どうして「クマムシ」という名前なのでしょうか。
鈴木先生「もう、見かけです。四対の足でのそのそ歩いている姿が『クマさん』のようで、親近感がわきます。見ていただければすぐにわかると思いますよ」

実体顕微鏡で、あらかじめ用意していただいたクマムシを見せてもらいました。レンズをのぞき込むと、丸みを帯びた、縦長の白っぽい生き物が何やら動いています。ん……? よく見てみると、ひっくり返ってしまっているようです。むにっとした足をばたつかせています。
「え、ウソ……かわいい」と思わずつぶやいてしまいました。「ですよね」と笑顔の鈴木先生。
「プラスチックやガラスのシャーレの上では、すべって歩けないんです」
なんて不器用で愛くるしいのでしょうか……。でも、顕微鏡からクマムシが入っている容器に目線を移しても、その姿は見えません。自分の目を疑ってしまいそうになりますが、こんなかわいい生物が、実際に私たちの身近にいるのです。

◆  この世で唯一、不死身の生物? ◆

動画のURL: https://youtu.be/Vb7yHF4bfpU 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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