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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =138= / 栃本武良(14/mn)

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生態がほとんどわかっていなかったオオサンショウウオ

驚くべきは国の特別天然記念物でありながら、その生態は謎だらけ

勤務する水族館でよく聞かれた素朴な疑問に答えようと研究をはじめた

子供たちに答えようと、ついには「日本ハンザキ研究所」を作ってしまった栃本武良

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 第5回 オオサンショウウオの未来を守れ =2/3=

オオサンショウウオの次世代問題は、心配要素がありつつも、まだ良い環境も残されているところもあるということらしい。….が、もうひとつは雑種の問題。

 オオサンショウウオと同じ系統のサンショウウオが、中国にもいて日本ではチュウゴクオオサンショウウオと呼ばれている。

 特徴としては、日本のものよりも大きく、気性が荒く、運動能力も高く、たくましい(たぶん)。

 京都の賀茂川などで、人為的に持ち込まれたものが定着し、日本固有のオオサンショウウオとの雑種(ハイブリッド)を生みだしているという。

 ぼくがそのことを知ったのは、ここハンザキ研のプールに、京都で捕獲された雑種がなんと百数十頭も、収容されていたからだ。

 栃本さんはこんなふうに説明してくれた。

「日中国交回復したのが1972年でしょう。中国では養殖しているのは食べていいから、ある業者が1トン単位で買い付けて、あちこちで商談をまとめて。賀茂川沿いの料亭で出していたのをマスコミがけしからんといって批判したので、こっそり川に捨てたんじゃないか、とかね。いろいろ説はあります」

 今、京都大学の両生類研究者、松井正文教授が中心になって、この問題に取り組んでいるそうなのだが、見つけた雑種があまりに多く、野放しにしておくわけにもいかず、結局、日本ハンザキ研究所で預かることになったのだそうだ。

 ちなみに現在飼育しているのは、「165頭ひく15頭」。

「ひく15」は到着時に死亡していた1頭と、闘争で傷を負って死んだもの。

 それにしても、165頭! チュウゴクオオサンショウウオ自体、日本では迷惑な移入種であるのに、原産地の中国では絶滅危惧種である、という悩ましい、しかし、自然保護の分野ではよく見かける構図も浮かび上がる。

 栃本さんは、さらに気になることを述べた。

「1972年がはじまりだとすると、まだ40年たってないですよね。でも、ここに入ってるやつだけで、2頭も130センチのハイブリッドがおるんですよ――」

 日本のオオサンショウウオで130センチというと、100年を超える年齢を想像するわけだが……。つまり、雑種の成長が異様に速いのか、もっと前から中国産が輸入され何かの拍子に川に放流されていたのか、どちらかというわけだ。

 謎は多い。

・・・・・・明日に続く・・・

■□参考資料: オオサンショウウオの現在 (6/7) □■

 東限の分布をみると、岐阜県郡上市を中心に長良川の上流、飛騨川の本流、支流に広く分布している。ここの集団は、黒い斑紋がたくさんある黒っぽい体色をしており、他の地域のオオサンショウウオとは違う感じがする。京都の若狭湾から愛知の伊勢湾に抜ける大きな地溝帯があるので、それにより分断された可能性を秘めている。また、最近、愛知県瀬戸市の庄内川水系蛇ヶ洞川で53 個体以上の集団が発見され、分布の東南限となっている。


 近畿地方にも淀川水系を中心に、オオサンショウウオが生息する。大阪府では北部の能勢の猪名川に、京都府では桂川や鴨川に分布し、三重県では淀川水系木津川上流の名張川や伊賀川の流域が一大生息地となっている。
 一方、生息地かと思われた福井県では自然分布の生息が確認されず、また、生息地とされてきた和歌山県の紀ノ川でも最近は生息が確認できない。

広島県内の生息状況
 オオサンショウウオの生息分布から見れば、広島県は分布の西の端に近い。県北部の河川に広く分布し、また、瀬戸内に面した中小河川においても、時折、個体が見つかる。しかし、瀬戸内に注ぐ八幡川、瀬野川、二河川、黒瀬川、賀茂川、芦田川からは、現在、生息地は見つかっておらず、これらの川は、ほぼ消滅してしまった生息地なのかもしれない。

 オオサンショウウオが生息している県内の主要な河川は、次のとおりである。 ; 江の川水系:江の川・神野瀬川・比和川・西城川・馬洗川・上下川・美波羅川・可愛川 ; 太田川水系:太田川・三篠川・根の谷川・鈴張川・吉山川・小河内川・西宗川・水内川・丁川 ; 小瀬川水系:小瀬川・玖島川 ; 高梁川水系:帝釈川・東城川・小田川 ; 沼田川水系:椋梨川

生息地発見の経緯

東広島市から福山市に至る広島県東南地域においては、黒瀬川や沼田川や芦田川において単発的な発見情報が寄せられていたが、オオサンショウウオの生息地の確認はできていなかった。その中にあって、東広島市豊栄町では、住民の間においては沼田川水系椋梨川上流部にオオサンショウウオが生息していることはよく知られており、高松哲男氏ら豊栄の自然を守る会による生息調査や生息地を知らせる看板の設置などの活動が継続されていた。

東広島市豊栄のオオサンショウウオ 

2005 年の豊栄町と東広島市の合併を機に、東広島市自然研究会(土岡健太会長)が豊栄の自然を守る会に共同調査を申し入れ、広島大学総合博物館、東広島市教育委員会、安佐動物公園の協力を得て2011 年から学術的な調査活動を開始した。その結果2011 年に実施された4 回の調査により、沼田川水系豊栄町の椋梨川上流部で11頭のオオサンショウウオの生息が確認され、正式に生息地としての確認に至った。その後2012 年には上流部の向谷地区で産卵巣穴と幼生が発見されており、確定生息地である。

.-.-.- オオサンショウウオの捕食シーン【山方淡水魚館】 -.-.-.

動画のURL: https://youtu.be/g392Rg2IVIo

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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