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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =137= / 栃本武良(13/mn)

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生態がほとんどわかっていなかったオオサンショウウオ

驚くべきは国の特別天然記念物でありながら、その生態は謎だらけ

勤務する水族館でよく聞かれた素朴な疑問に答えようと研究をはじめた

子供たちに答えようと、ついには「日本ハンザキ研究所」を作ってしまった栃本武良

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 第5回 オオサンショウウオの未来を守れ =1/3=

 オオサンショウウオは希少動物だ。特別天然記念物であるだけでなく、環境省のレッドデータでも絶滅危惧とされる。

 巣穴に適した「湧水のある川岸の穴」は、今の護岸された河川には望めない。だから、最近の兵庫県、広島県、三重県、愛知県などの河川改修では、オオサンショウウオのための人工巣穴を設けることがある。栃本さんらの働きかけで、こういう流れができたのは喜ばしい。

 堰やダムの存在も、オオサンショウウオにとっては逆境だ。よい巣穴を求めて、上流へとさかのぼる時には問題となる。研究員の田口さんが兵庫県の別の川で行った111頭の追跡調査によると、平均200メートルほど移動をするものの、追跡した111個体のなかで10個体が1キロ以上、特にある1個体は4キロも上流へ移動した。それが「自然な」行動なら、現状では、ダムはもちろん堰もオオサンショウウオにとっては大きな障害になる(昔の堰は大きな石を積んだ簡易なものが多く、上流への移動も容易だったが、今は川を横断するコンクリートの壁のようになっていて、ダム同様生息地を分断してしまう)。 

 なお、オオサンショウウオが乗り越えやすい堰については、栃本さんや田口さんらによって考案され、兵庫県では実際に河川改修の際に考慮されるようになってきた。

 話を聞くうちに、ぼくが特に気になったのが2点。

 ひとつは幼生の生息環境。長寿な動物の場合、次世代の若い個体が育っていなくても、見かけ上はなかなか減っているようには見えない。ふと気づくと、年齢分布が高齢の方に偏り、種として滅びかけている、ということも起こりえる。

 野生でも、産卵直後の小さなものは見つかる。また、40センチメートルくらいの若い個体も見つかる。でも、その中間、特にまだ外鰓が残っている生後3年、4年くらいの幼生から30センチくらいの幼体はなかなか見られない。

栃本さんは、次世代が育ちにくい環境になっているかもしれないと述べる。

「ダムなんかがあると、上流からの泥を出すでしょう。また、採石場があると、石の粉が川の中に積もる。オオサンショウウオの子どもが、石の下に潜れない。それどころか石にコケが生えないし、餌になる水生昆虫も育たない。そうだと、繁殖(産卵・孵化)は成功するけど、子どもが育ちにくいですよ」

 ただ、悪い環境の場所ばかりでもない。

「たとえば、この川の石、全部めくったら、出てくると思いますよ。石の下って、ふつうに歩いても見えないから。あと、本流じゃない、谷間で生活するのもいるでしょうしね。そういうのが降りてきて本流に来る。だから、まだまだ新規登録っていう個体が出てくるわけです」

 というわけで、オオサンショウウオの次世代問題は、心配要素がありつつも、まだ良い環境も残されているところもあるということらしい。

・・・・・・明日に続く・・・

■□参考資料: オオサンショウウオの現在 (5/7) □■

 生息地・生息域
次に、河川上流部の生息について言及しよう。オオサンショウウオは、川の上流部の渓流水域にも生息するが、個体数が少なく、しかも小さい個体が多い。オオサンショウウオの生息の中心部分は、もう少し下流の盆地の中を流れる川である。川幅が5mから10mほどの本流筋を日常の住家とし、そこに流れ込む支流を繁殖の場として、年間の移動を繰り返している。

オオサンショウウオは、これまで渓流に生息するとされてきたが、中国地方の生息地を見ると、むしろ里にすむ生きものである。渓流が山から出て少し流れが緩やかになるあたり、言い換えると、谷の一番奥の田畑がある地点から生息数が増え、産卵巣穴もこの水域に多い。

 本州での分布の西の端、山口県は面白い。山口県はオオサンショウウオがいないと思われていたが、最近、高川学園高校の教師と生徒たちの活躍により、錦川水系の宇佐川で大きな群れが確認された。しかし、錦川より西では、ごく稀に個体が発見されることがあるが、生息地は確認されていない。山口県の西部域から北九州にかけては、大分県の生息地へと繋がる空白地帯となっている。

 九州の生息地、大分県宇佐市の駅館川(やっかんがわ)上流の岡川に、100 頭規模のやや小さめのオオサンショウウオが住んでいる。分布の西限として国の天然記念物の地域指定を受けている。九州での生息地はここのみで、渓流環境で、謎の多い分布である。

不思議な分布
 オオサンショウウオは不思議な分布をしている。西日本のみに生息し、東日本にはいない。オオサンショウウオの分布は、日本列島の成り立ちを反映している。東日本にいないのは、東日本のプレートが西日本と異なっているか、東日本が水没の歴史をもつかに起因していると思われる。前者はプレートテクトニクスに基づく考え方であり、一般的な解釈は後者であるが、私は前者の説に魅力を感じている。オオサンショウウオを乗せたプレートとオオサンショウウオがいないプレートがぶつかり日本アルプスができたと。

 オオサンショウウオは中国山地の山間部の清流を中心に分布していて、東限は岐阜県の飛騨川上流域、西限は大分県の宇佐市岡川までである。中国山地の分布の中心は、兵庫県、岡山県、島根県で、鳥取県と広島県にも多く生息している。主な生息河川は、市川(兵庫県)、旭川(岡山県)、高梁川(岡山県・広島県)、日野川(鳥取県)、江の川(島根県・広島県)、太田川(広島県)などで、日本海側に流れる川にも、瀬戸内側に流れる川にも生息している。

 四国はこれまでに吉野川や仁淀川などで20例を超えるオオサンショウウオが見つかっているが、生息密度が希薄で、生息地としての確認ができない。唯一、2005 年に、高知県立のいち動物公園が行った高知県越知町の仁淀川水系坂折川における調査で、幼体1 頭を含む2 頭が発見されており、生息地として認定される可能性がある。愛媛県から100 万年前の現生種の化石が出土しており、1~2 万年前には瀬戸内海は陸域で中国地方とは水系がつながっていたと思われることから、私は限りなく消滅に近い生息地と考えている。

・・・・・・明日に続く

.-.-.- 水中動画 オオサンショウウオにランチをあげてみたー -.-.-.

動画のURL: https://youtu.be/249d4XOHf44

・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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