生態がほとんどわかっていなかったオオサンショウウオ
驚くべきは国の特別天然記念物でありながら、その生態は謎だらけ
勤務する水族館でよく聞かれた素朴な疑問に答えようと研究をはじめた
子供たちに答えようと、ついには「日本ハンザキ研究所」を作ってしまった栃本武良
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 栃本武良: 第3回 オオサンショウウオの知られざる生態 =1/3=
オオサンショウウオについて分かっている目下の知見をまとめてみる。栃本さんや、各地にいる自主的な研究家、さらにはオオサンショウウオの飼育下繁殖に日本で唯一継続的に成功している広島市の安佐動物公園(園内だけでなく、野生での保護・調査も行っている)などの研究で分かったことをざっくりと。
一日の活動
基本的に夜行性。しかし、それほど厳密でもなく、活動的な繁殖期前の夏季には昼間も動いている個体も、見受けられる。これは繁殖に適した巣穴を探しているためと考えられる。
一般には下流に顔を向けて河床に陣取り、典型的な待ち伏せ型の狩りをする。口の前を通った獲物を、がぶっと水ごと丸呑みにする。かつてはサワガニが好物と言われていたが、結局、待ち伏せているところに通ったものなら何でも食べるようだ。胃の中からカエル、ヘビ、ネズミ、モグラ、キリギリス、イシガメ(甲羅は消化しにくいだろうに! でも消化している)、さらには人間が捨てた生ゴミ、といったものが出てきたこともある。昼間、不用意に河床の岩の下に手を入れた人が噛まれることも。
周年の行動と繁殖
冬眠はしない。厳冬期には河床に出て狩りをする個体は減るが、3~5月にもなると非常に多くの個体が出現する。7~9月の産卵期直前には、適した繁殖巣穴を探して移動する行動も見られる。
好まれる巣穴は、川岸の水面下の穴で、奥から少しわき水が出るところ。かなり、えり好みが激しいので、よい巣穴をめぐっては、オスたちの闘争が見られる。結果、首を噛みきられて死ぬオスがいる。また、体に噛み傷を残したり、手足の指などを失うものも圧倒的にオスに多い。
産卵は、9月頃水温が低くなるのが引き金になっているらしい。闘争に勝ち残ったオスが守る巣穴で、メスは1頭あたり300~700個の卵を産む。前述のように、産卵が始まると闘いに敗れたオスも巣穴へなだれ込み(スニーキング行動という)、結局は、メス1頭とオス複数で繁殖をおこなうという不思議な生態をもつ。
卵塊はビーズのように一つながりになっており、卵の直径3センチメートル前後、卵黄部分だけでも直径5~8ミリメートルもある。40~50日で孵化し、翌年の1~3月にかけて巣穴から順次旅立つ。受精卵の状態から孵化するまでの間、卵や幼生は、巣穴の中で、闘争に勝ったオスに守られ続ける(戦いに勝って優位を証明しつつも、授精の機会を独占せず、かつ、苦労まで背負いこむのがオオサンショウウオのオスらしい)。
・・・・・・明日に続く・・・
■□参考資料: 見れば見るほど魅力あふれる「オオサンショウウオ」の特徴とは? (2/3) □■
種類
オオサンショウウオは国の特別天然記念物です。中国には、よく似たチュウゴクオオサンショウウオが分布します。近年、京都市内を流れる鴨川や上桂川で発見されるオオサンショウウオでは、オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオとの交雑種がみられるようになりました。そのため、鴨川では在来種であるオオサンショウウオが減少しています。京都水族館ではオオサンショウウオが絶滅しないための種の保全にむけた研究や、こうした現状についての情報発信についても行っています。
ここに注目!観察ポイント
オオサンショウウオについて、その生態や特徴をお話してきました。
ここからはその姿をじっくりと観察してみましょう。
オオサンショウウオの魅力はなんといってもその「キモカワ」なポイントではないでしょうか。
思わず胸がキュンしてしまう部分をご紹介します。
【つぶらな瞳】
この写真をよく見てください。オオサンショウウオの目、どこにあるかわかりますか?
オオサンショウウオの目はとても小さく見つけづらいですが、実はつぶらな瞳を持っています。
拡大すると・・・皆さん、わかりました?
オオサンショウウオの目は、詳しくはわかっていませんが自分が明るい場所にいるのか暗い場所にいるのかわかるほどの視力しかありません。
大人になるとごはんとなる獲物を待ち伏せするため、あまり目を使いません。そのため、退化してしまったと考えられています。
【体の模様】
オオサンショウウオを展示している水槽を覗くと、まるで岩しかないようにも見えるほど、オオサンショウウオの体の模様は環境に馴染んでいます。
オオサンショウウオがどこにいるか、見つけられますか?
上から見てもその姿がはっきりとわからないほど、周りの環境にとけこむかくれんぼの達人。天敵ともいえる鳥も、上空からオオサンショウウオの姿を見つけることは至難の業のはず。
皮膚の質感にも注目です。見るからにぷにぷにとした弾力があるのがわかります。
実はこの弾力が、とても大事な役割を担っています。水中で岩や木にぶつかってしまったとき、この弾力がクッションのような役割になり、自分の身を守ってくれるのです。
.-.-.- オオサンショウウオの身体測定 -.-.-.
動画のURL: https://youtu.be/CMi9-D364kU
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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