『ナショナル ジオグラフィック』は直訳すれば「米国地理学雑誌」か
それなのに、ちっとも地理学誌らしくない記事を掲載 でも、そもそも地理学ってなんだろう
そんな疑問をたずさえて、世界で活躍する地理学研究者であると同時に
“ナショジオ”全巻の蔵書を誇り “ナショジオ”にまつわる展示会まで開催した堀信行
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=的野弘路、堀信行 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 堀 信行 : 第一回 ナショジオ=「米国地理学雑誌」? =2/2= ◆◇
前述の通り、疑問は大きくわけて2つ。ナショジオは、なぜナショナル ジオグラフィック、つまり米国地理学雑誌、なのか。そして、そもそも地理学とは何なのか。
まずは前者については、非常に明解な回答があった。
「1888年、米国地理学協会、つまり、ナショナル ジオグラフィック協会というのができて、それで創刊された雑誌ですよね。初期のナショジオっていうのは、ほんとにその名のとおり地理学の論文がガンガン出ていたんですよ」
堀さんが示してくれたのは、ナショジオ本誌の最初の2年分が合本にされたものだ。
たしかに、今、ナショジオと聞いて想像する「グラフィック」な、つまり高品質な写真はなく(当時はまだ写真が手軽に掲載できる時代ではなかった)、文字がびっしりと連なっていた。後のナショジオとつながる「紀行文」的な文章もあるようだが、挿絵から想像するにまだしっかり調べられていない土地への探検・探査的な要素が強く、地理学的と思える。
「我々、地理学者の間では有名なウィリアム・モーリス・デービスというハーバード大学教授が、初期のナショジオを主な論文の発表場所にしていました。それと、当時、まだよく分かっていなかったアメリカの自然地理のアトラス(地図帳)をつくる計画があったんですね。遅々として進んでなかったのを、ナショジオができたのだから、そこで準備をしようと──」
なるほど、地理学雑誌は、やはり地理学雑誌として始まったのだ。
では、いつから現在のナショジオのように「なんでもあり」になったのだろう。
わりと初期、というのが正解のようだ。
「編集長が替わったのもあると思うんですが、要するに、売れなかったわけですよ。そこで、販売戦略を考え始めたと思います」
いずれの世も同じ、ということか。売れずに方針転換する雑誌は世にあまたある。ナショジオもその例にもれず、しかし、方針転換後の成功は超弩級だったわけだ。
「もともと、ナショナル ジオグラフィック協会、つまり、同好会ですよね。200名あまりのメンバーだけのためにつくっていたわけですね。メンバーの会費をもとに出してるわけで、売れる・売れないとかいう問題ではなかったわけです。でも、編集長も替わって、これじゃ先行きいかんと、方向性を模索しはじめる。1890年代から1900年代にかけて表紙の色が変わるでしょう。赤からだんだん黄に近づいて、いったん赤にもどって、また黄色になってと、今の色に近づいていく。このあたり結構ふらつきつつも戦略がはっきりしてくる時期だと捉えています」
ちなみに、1890年代中に、コダック社製の持ち運びしやすい簡易カメラが普及するとともに、コダック社との提携で誌面に写真を入れる動きも出てきたという。現在のナショジオのトーンはこのあたりですでに確立しつつあったのかもしれない。
というわけで、なぜナショジオは今のようなナショジオなのか、という問題には、ある意味、あっけなくけりがついてしまった。
では、もうひとつの疑問、「地理学とは?」が残る。そして、それについて考える中で、ぐるりと一周回って、またナショジオの「意味」を再考することになるのだった。
つづく / 次回は“ライバルはチャールズ・ダーウィン!!”に続く・・・・
◆ 天空の森 - ナショジオフィルムズ ◆
・・・ https://youtu.be/ODQfdIvDUzQ ・・・
■□参考資料: ナショナル ジオグラフィック (2/2) □■
ナショナル ジオグラフィック第1巻は、協会設立8ヶ月後、1888年9月22日に出版された。最初の雑誌名は The National Geographic Magazine で後に、National Geographic と短くなった。1896年1月から月刊誌となり、その時に、黄色に縁取りされた特徴的な装丁となった。ナショナル ジオグラフィックは世界で最も良く知られている雑誌の一つに数えられる。またアメリカ雑誌初の全編カラーとなった雑誌でもある。
日本語版は1995年に、外国語版としては世界で初めて創刊。日本語版の出版元は日経ナショナル ジオグラフィック社である。2005年現在は日本語版の他に、イタリア語、ギリシャ語、スペイン語、ヘブライ語、ギリシア語、フランス語、ドイツ語、ポーランド語、タイ語、インドネシア語、韓国語、ポルトガル語、中国語、チェコ語、ルーマニア語、ロシア語、ノルウェー語、トルコ語、オランダ語版などが出版されている。世界で900万部以上販売されている。
2015年秋にフォックスに売却され、新会社ナショナルジオグラフィックパートナーズ(株式の73%をフォックス、残りの27%が同協会)の刊行となる。
ナショナル ジオグラフィック協会は、数多くの探検や調査プロジェクトに資金提供を行っている。支援した数は2005年時点で、7,500件を越えている。
北極探検 - 北極点到達世界初(ロバート・ピアリーら) インカ帝国の空中都市マチュ・ピチュ発見(ハイラム・ビンガム) ジャック=イヴ・クストーらによる深海調査 ジェーン・グドールによるチンパンジーの研究 南極点への飛行(リチャード・バード) 植村直己による北極犬ゾリ単独行 タイタニック号の発見調査 ユダの福音書復元および翻訳 ジェノグラフィック・プロジェクト - スペンサー・ウェルズ博士をプロジェクト・ディレクターとして初められた、全世界のあらゆる地域、あらゆる民族の遺伝子データを集め、人類の進化と拡散の過程を明らかにしていくことを目標としたプロジェクト。 ホモ・ナレディ発見(リー・バーガー)○○-----○○-----○○-----○○-----○○
◆ イントゥ・ザ・ファイア - ナショジオフィルムズ ◆
・・・ https://youtu.be/tMxKwUgaJiw?list=PLIQsPnGA8HHQszLVw2W9wfXQ7x4C8DZMZ ・・・
・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・
=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
前節へ移行 : https://blog.goo.ne.jp/bothukemon/e/b5194ab78906562e4719a6d086e636b3
後節へ移行 : http://blog.goo.ne.jp/xxxx/116/xx
----------下記の姉妹ブログ 一度 ご訪問下さい--------------
【壺公夢想;如水総覧】 :http://thubokou.wordpress.com
【浪漫孤鴻;時事自講】 :http://plaza.rakuten.co.jp/bogoda5445/
【疑心暗鬼;如水創作】 :http://bogoda.jugem.jp/
下線色違いの文字をクリックにて詳細説明が表示されます=ウィキペディア=に移行
================================================
・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
================================================