○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○
◇◆ 第8回 アラスカは待つていた、美しい花と足跡化石 =3/3= ◇◆
季節の流れを教えてくれる花
1時間もしないうちに、ランチスポットにたどり着いた。まだ11時になったばかりだ。
「トニー、今日は調子がいいね。ずいぶん早く着いた。この調子だったら、結構奥の方まで行けるね。ここで一休みして、水を浄水器でこして、水筒に補給しよう」
そう言いながら、私はいつもの場所へ向かう。
アラスカの夏は、きれいな花がたくさん咲いていて、私たちを迎えてくれる。 その代表が、ヤナギランとワスレナグサだ。どちらも好きな花だ。
ヤナギランは北半球に広く分布する花で、日本でも咲く。英語名の「Fireweed」を訳すと、「火の雑草」になる。なぜこんな名前がついたのか。北米では夏になると、山火事がよく起きる。実際、今年は山火事が多発していて、2004年以来の多さだ。
山火事が起きると、山は焼けこげ、生えていた植物は一掃され、生命を感じられない山となってしまう。 その焼け跡に真っ先に生える植物が、このヤナギランなのだ。 見た目は非常に可憐な美しい花だが、その力強さにはいつも感銘を受ける。
ヤナギランはたくさんの花が上下に並んでいる。 まず下側の花が咲き、夏が過ぎていくにつれて、上側の花が咲いていく。 毎年アラスカに到着する6月の終わり頃には下側の花しか咲いていないが、帰国する8月始め頃には上側の花まで咲いている。 季節の流れを教えてくれる、美しい花である。
もう1つのワスレナグサは、英語で「Forget-me-not」。直訳すると「私を忘れないで」だ。アラスカの州花で、花は小さいが、鮮やかでキレイな花を咲かせる。
「あれ、まだある?」
トニーはバックパックを下ろすと、すぐに聞いてきた。
「あれ」とは、このランチスポットに転がっている、恐竜の足跡化石だ。 この足跡化石を見ないと、ここでの調査は始まらない。
「あった、あった。相変わらず同じところにあるね」
ハドロサウルス科の足跡の化石・・・このような足跡化石が、この谷だけでも何十と落ちている。
デナリ国立公園には、約7000万年前の上部キャントウェル層(Upper Cantwell Formation)という地層が露出し、これまで私たちはたくさんの恐竜足跡化石を発見してきた。
もちろん、このタトラー・クリークでも。このハドロサウルス科の足跡は、約7000万年前につけられたものだ。
「デナリ国立公園は、俺たちの知らないことをたくさん教えてくれたよな」
足跡化石を眺めながら、私たちはつぶやいた。
* * *
アラスカ調査の話はまだまだ尽きませんが、これからモンゴルへ調査に行くので、来月はモンゴル調査の話をします。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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