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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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現代の探検家《小林快次》 =20=

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○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○

◇◆ 第8回 アラスカは待つていた、美しい花と足跡化石 =2/3= ◇◆

快晴の空に姿を現したデナリ

 快晴である。 これは珍しい。 

 私たちの中でデナリ国立公園というと、「湿っていて、寒い」 というイメージがある。 調査中はいつもどんよりとした空模様で、しょっちゅう雪や雨が降る。 必ずと言っていいほど、ずぶ濡れになりながら調査を行うことになる。

 また、夏でも寒いので、幾重にも着込む。 コツは、分厚いジャケットを1枚着るのではなく、薄いシャツやジャケットを何枚も重ね着すること。 デナリ国立公園の調査では、「脱いで、着て」をとにかく繰り返す。

 そうやって体温をうまく調整しながら、作業する。 ちなみに、ダウンジャケットは避けたほうがよい。 濡れると保温効果がほとんどなくなってしまうからだ。 ウールのシャツやジャケットがおすすめである。

 「デナリが見えるよ。すごくキレイだ」

 「デナリ」とは、先住民アサバスカ族の言葉で「高いやつ・偉大なもの」という意味である。 私たちに馴染みがある「マッキンリー山」と「デナリ」は同じ山を指す。


 調査に向かう時にデナリが見えることはほとんどない。 今日はラッキーだ。

 2時間ほどの道のりの間、私たちがこれまで調査してきた山々が見えてくる。 ファング・マウンテン、ダブル・マウンテン、スロープ・マウンテン。 これまでの調査のことを思い出しながら、バスに揺られていく。 バスの揺れが心地よく、ウトウトしはじめた。

 「タトラー・クリーク!」 早く降りろと言わんばかりに、運転手の声が響き、目が覚める。

 「さて、行こう」 狭いバスの中を何とか這い出て、外に出る。

 相変わらず、タトラー・クリークにはきれいな水が流れている。

 「いい天気だ。ヨシ、今日はどこまで行こうか?」

 「取り敢えず、いつものランチスポットまで行ってから考えようか。まだ行ったことのない、イグルー・マウンテンの北面もいいかもね」

 2007年に初めてタトラー・クリークに入ったときは、調査する距離はそれほどでもなかったが、毎年、谷の奥へ奥へと調査地を広げていっているため、距離がどんどん遠くなっている。

 タトラー・クリークが流れる谷は、私たちの好きな調査地だ。 水もきれいで、野生動物に出会うことが多い。 タトラー・クリークの「タトラー」とは、この谷でよく見かける鳥、キアシシギの英語名だ。

 谷の入り口には、木がたくさん生えている。 木々の間を抜けながら、谷を登っていく。木が生い茂っているところは、グリズリー(ハイイログマ) に気をつけなければいけない。

 この谷では、よくグリズリーに出くわす。 以前、1日に7頭ものグリズリーに鉢合わせしたこともあるくらいだ。 ただ、こちらの存在をグリズリーにきちんと知らせながら歩けば、危険な目に遭うことはほとんどない。

 どうやって知らせるかというと、「ハロー、ベア!(クマさん、こんにちは!)」と大声で叫びながら、茂みへと入っていくのだ(クマに英語がわかる訳ではないので、日本語でも何でもよいのだが・・・)。 日本ではクマよけ用の鈴をつけることがあるが、アラスカでは鈴よりも人間の声がいちばん良いとされている。

 この日はグリズリーに出会うこともなく、軽やかに足を運ぶことができた。

 谷を登っていくと次第に山道もなくなり、ゴロゴロと転がる岩の上を歩いていく。 しかし、何年も通っている谷なので、面白いことに1つひとつの岩を認識できそうなものだが自信がない。

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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