人と関わるロボットを作ろうと思ったら、見かけはどれだけ重要だとか
何をもって人を人らしいと認識するのかをまず研究しなくちゃいけないんじゃないか
そう考えて、自分自身を型にとり、自分そっくりのアンドロイドを作ってしまった
ATR石黒浩特別研究室 石黒 浩
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=的野弘路 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 石黒 浩 : 第5回 癒しキャラ!? 登場 =1/2= ◆◇
石黒さんが、自分自身の分身ロボットであるジェミノイドを使って研究したかったのは、人が相手を人として認識するためにはどういう要素が重要か、ということだったと理解している。人の「存在感」はどのようにして伝達可能か、というふうに表現されることもある。
ぼく自身ジェミノイドと対話した際、十全に「存在」を感じ取ったと思う。もっとも、それは背後にAIではなく操作する人間、この場合は、研究員の小川さんがいることを知っていることが大きかった。機械の設定の都合で、一時的にジェミノイドがコンピュータの制御を外れた時、まばたきや微妙な体の動きがなくなると同時に、しゅーっと魂が抜けるような奇妙を感覚も同時に抱いた。
思うに、ぼくは、ジェミノイドを「それ自体」として完結した存在ではなく、誰かに操作されているものとして、依り代(よりしろ)的な「存在感」を得ていたのかもしれない。実際、その時の操作者である小川さん自身、海外での学会にジェミノイドを連れて行き、参加できなかった石黒さんが日本から遠隔操作するジェミノイドとカフェで毎日打ち合わせをしたことがあるという。
コピーされた本人が背後にいる場合と、それ以外の人が操作している場合とは、事情が違ってくるであろうが、いずれにしてもジェミノイドは、仕組みを知っている者からすれば、依り代としてのロボットと認識されることが多いだろう。そして、その際、依り代らしく、やはり、魂のごときものの存在を感じる瞬間があるということだ。
石黒さんの研究の範囲は実に広く、また、深い。
ぼくのような、非専門家が、ふらりと訪ねて話を伺うだけでは、表面をさーっと撫でるだけで終わってしまう。しかし、それでも、「自分ってなんだろう」「人ってなんだろう」という素朴かつ根源的な問いかけに駆動される石黒さんの研究は、人の心にさざなみを立てるだろう。中には、大波を立てられてしまう人もいるだろう。
では、石黒さんは、ジェミノイドで得た知見をもとにどこにいくのか。
最後に、そのあたりを概観しておこう。
まずジェミノイドを造ったことで、石黒さんが理解したのは、人が相手を人として認識する時に重要なのは何なのかということ。
「重要なのは、目なのか口なのか、しゃべりなのか、ということがいろいろわかってきて、じゃあ、一度その必要最低限の要素だけで、新しいメディアを構成してみようという方向に進みました──」
・・・・・・明日に続く・・・・
■□参考資料: 石黒浩/人間とロボットに境界はない!? (2/3) □■
人間とロボットに境界はない
人間とロボットの境界は、どう考えたらいいのでしょうか?
石黒 そもそも、人間の明確な定義が定まっていません。生や死の線引きも未だ曖昧な状態です。
そのなかで、最低限の人間の定義を考えるとすれば「動物+技術」ということになります。「人間は道具を使う動物である」これは最低限の定義。僕たちが、道具や技術を使わなかったら猿と同じですから。
現代の我々の日常生活は、乱暴に言えば90%以上が技術なしでは営めないものになっていますよね。だから、人間は90%が技術と言える。そう考えると、ロボットと人間を比べること自体がそもそもおかしいのだと思います。
さらに言えば、身体障害者は、手足がないからといって、「80%人間である」とは言わないですよね。100%の人間だと、誰もが考えています。
つまり、「肉体は人間を定義しない」ということです。だから、ロボットと人間を比べること自体がおかしい。材料で人間とロボットの区別はつかないのです。僕たちだって、分子で構成された機械と言えなくはないわけですから。
境界がないなら、石黒さんは生命的な「進化」をどのように考えているのですか?
石黒 技術を用いて、人間はどんどん能力を拡張してきました。
例えば、月に行けるのは技術があるから行けるわけですよね。遺伝子をいくら改良したところで、僕たちは月には行けない。有機物やタンパク質で体を構成している限りは、人間は宇宙空間では存在できない。放射能で簡単に壊れてしまいます。
◆ Hiroshi Ishiguro 石黒浩 - TEDxSeeds 2010 ◆
・・・https://youtu.be/MvQRfvecTew・・・
宇宙の歴史で考えると、地球が誕生したのが45億年くらい前で、その頃は無機物しかありませんでした。そして、35億年くらい前に有機物が生まれた。
それから生命はどんどん進化して、進化の最終的な形態として、現在の人間があります。けれども、乱暴に言えば人間はその90%の活動を、機械に置き換えています。手足は既に置き換えているし、人工臓器だってある。日常生活は技術や機械なしではもう成り立たない。
残りの10%は、脳を置き換えるかどうかという話だと思います。
脳が一番難しいけれど、現在のコンピュータの進歩は、年々2倍くらい早くなっています。1000年経てば、いまより2の1000乗も早くなる。どんな人間の脳だって、絶対に超えてしまいます。十分に人間の脳以上のコンピュータができるでしょう。そのときには、人間のすべてを機械に置き換えることになるかもしれません。
タンパク質などでできた有機物の体は、進化を加速させるための一時的な入れ物みたいなもので、人間の知能化をある程度加速させたあとは、もう一度無機物に戻って長く宇宙で繁栄できるようになっていくかもしれない。
人間は、タンパク質で出来ている限り、寿命が長くて120年という制限があります。複雑な分子構造で、最初期の動物的な進化は助けたけれど、それ以上長く生き残ろうとすると難しい。太陽の異変や、極端な温暖化などの変化には、有機物では耐えられません。
宇宙レベルの時間で考えたら、有機物の体は、瞬間的にしか存在しないものかもしれない。1000年2000年先で、誰が生き残っているかというと、機械の人間だけかもしれません。 ・・・・・・明日に続く
◆ Me, myself and my android [日本語] | Hiroshi Ishiguro [石黒 浩] | TEDxSeeds 2012 ◆
・・・https://youtu.be/CJJV4xe8N4M・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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