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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =100= / 石黒 浩(08/10)

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人と関わるロボットを作ろうと思ったら、見かけはどれだけ重要だとか

何をもって人を人らしいと認識するのかをまず研究しなくちゃいけないんじゃないか

そう考えて、自分自身を型にとり、自分そっくりのアンドロイドを作ってしまった 

ATR石黒浩特別研究室  石黒 浩

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 石黒 浩 : 第4回 ロボットと類人猿 =2/2= ◆◇

 しかし、ぼくには、もう少し、リアルタイムで、気になる比較対動物がいる。

 大型類人猿だ。

 大型類人猿の研究者は、たいていの場合「人とは何か」、と石黒さんと類似の問題を研究の究極の目的に据える。当然、石黒さんもこれについて意識していた。

「京大の霊長研なんかのチンパンジーは、めっちゃ賢いですからね。トレーニングしたらここまで賢くなるんかっていうぐらい賢い。ああいうの見ると、人との差っていうのは一瞬わからなくなります。僕の研究とはまた違って、発達の過程、成長の過程なんかを見られるのがすごい。ロボットは発達しないので」

 さらに、こう付け加えた。

「実はね、類人猿にうちの人間のアンドロイドを遠隔操作させてみたいんですよね。しゃべらなけりゃ、中身は類人猿だってわかんないじゃないかとか」

 たしかに、すごく納得できる!

つい最近、マレーシアの保護施設で、オランウータンの赤ちゃんに会ってきたばかりなのだが、乳児なら、人間もオランウータンも話さない。おまけに四六時中お母さんにべったりだ。その段階で、ぼくには、オランウータンと人との境界がわからなかった。

 石黒さんも、同じように感じているようだ。 

「例えば、日曜日に自分は何やったのかっていうのを、10分単位で書き出してみましょう。やった行為が類人猿でもできる行為かってのを全部マッピングしたら、人間としてしかできないっていうことをどれだけやってるのか。ほとんどやってないと思うんです」

 大型類人猿の研究者は、研究対象のチンパンジーなどを「あの人」と呼び、擬人化、というか、本当に「ヒト」として捉えている人が結構いる。基本的人権同様、基本的類人猿権を考えるべきだという研究者にも会ったことがある。

 石黒さんは、遠い未来、人間と日常生活を共にするようになったロボットに対して、人間はごく自然に、権利を付与するようになると予測する。

 これまでの歴史を踏まえての当然の展開だという。

次回は“第5回 癒しキャラ!? 登場”に続く・・・・

■□参考資料: 石黒浩/人間とロボットに境界はない!? (1/3) □■

「人間を理解する」ためにロボットを生み出す

石黒さんは、ロボットをつくることで「人間とは何か」という問題を考えていらっしゃいますよね。一体どういうことなのでしょうか?

石黒 すべてのロボットは、人間の活動に関わっています。人間は、人間の能力を機械に置き換えてきたわけですから、当然ですよね。見本は「人」にあるわけです。だから、ロボットの研究をすることは、「人間とは何か」という問題を考えることと切り離せない。僕は、「人間を理解する」ためにロボットを研究しているわけです。

これまでのロボット研究は、動きを重視するばかりで、人間らしい「見かけ」にあまり重点を置いてこなかった。でも、「人との関わり」においてロボットを考えるならば、見かけの問題は非常に重要です。

だから、ロボットにおいて「人間らしさ」を追求するならば、動きだけではなく「見かけ」を考えなければならない。

僕たちは、観察に基づいて人を人として認識しています。ロボットが人間に近づいていくと、人は親近感を感じますが、人に非常に近づく一歩手前で「不気味の谷」に落ちるんです。話し方や動き方をひとつひとつ見て、一箇所でもおかしいところがあると、不気味だと感じてしまう。ゾンビみたいなものですね。ゾンビはほとんど人間だけれど、少しだけ非人間的なところがあって、気持ち悪いと感じる。これは、人が人とそれ以外のものを瞬時に区別するための基本的な脳の機能です。

2006年に、僕自身をモデルにした、自分そっくりのジェミノイドという遠隔操作型のアンドロイドをつくりました。見た目は、モデル本人そのもの。遠隔操作型で、マイクとスピーカーが内蔵されており、離れた場所にいるオペレーターと普通に会話ができます。対話した人は、僕本人と話しているように感じます。

「人間らしさ」を再現していくなかで、僕自身の無意識の動きまでをプログラムしていきました。自分の意識していない部分までを、そうやって考えていく。だから、ロボットをつくることは人間を理解すること。「人間を映し出す鏡」でもあるんです。

◆ 石黒浩著『アンドロイドは人間になれるか』文春新書 ◆

・・・https://youtu.be/5KVpFiiEaJE・・・

人間そっくりのジェミノイドをつくられた一方で、シンプルなつくりのテレノイドやハグビーといったロボットも開発されていますよね。

石黒 ジェミノイドは、人の存在を代行させたり、人の存在を表現するためにあるわけですが、反対にテレノイドは、人の存在を最小限に感じるものはどういうものかと考えて、生み出されました。年齢や性別などの個性を、削ぎ落としていったロボットです。また、ジェミノイド同様に遠隔操作で対話が可能です。

人は、情報が個人を完全に同定するのに足りないものと接するときには、想像します。例えば、コールセンターのお姉さんがどういう顔をしているかは、想像するしかない。そして想像において、人間はポジティブなんです。だから、コールセンターのお姉さんって全員美人(笑)。

高齢者の方にテレノイドを使ってもらうと、気楽に、心を開いて話をします。想像を使って関わっているからでしょうね。

人の存在を感じるためには、二つのモダリティ(知覚)があればいいんです。二つのモダリティ(知覚)とは、「声」と「触感」。五感全てでわかっていなくても、二つの表現がつながった瞬間に「わかった」と、人は言うんですね。人間の脳の中にも、二つの知覚情報が重なると、ものすごく反応する部分があります。

でも、声だけだとリアリティがない。オペレーターのお姉さんは、そこにいる感じがしない。どうしても電話の向こうにいる感じがします。

また、テレノイドよりもさらに個性をそぎ落とし、最低限想像を喚起させるものとしてハグビーという、クッション型のメディアを開発しました。携帯電話をホルダに挿して、抱きしめながら通話ができるメディアです。このハグビーを使うと、相手が腕の中にいる感じがするんです。存在をリアルに感じられる。声と触感が一致するからですよね。

ハグビーを使うと、ストレスホルモンが減るなどの大きな効果が実際に出ています。  ・・・・・・明日に続く

◆ Hiroshi Ishiguro 石黒 浩 "Robots are mirrors of human heart" - TEDxSeeds2009 ◆

・・・https://youtu.be/wIH457lgP18・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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