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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =094= / 石黒 浩(02/mn)

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人と関わるロボットを作ろうと思ったら、見かけはどれだけ重要だとか

何をもって人を人らしいと認識するのかをまず研究しなくちゃいけないんじゃないか

そう考えて、自分自身を型にとり、自分そっくりのアンドロイドを作ってしまった 

  ATR石黒浩特別研究室  石黒 浩  

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=的野弘路 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 石黒 浩 : 第1回 「自分そっくり」のアンドロイド =2/2= ◆◇

 ロボットとのつきあいはそれほど豊富ではないぼくだが、たとえば、精巧に作られた蝋人形が体内にメカを内蔵し、ギギギとか音を立てながら動き出したら、たしかに不気味だろうと想像できる。

 だからこそ、ジェミノイドがどうなのか、とても興味があった。

 第一印象は、前述の通り、一瞬人間と見間違うほどだ。肌や唇の質感といい、髪といい、実際に手や頬にふれてみると、熱くはないものの、冷んやりしているわけでもなく、適度な弾力はまさに人肌だ。どこまで精巧なコピーなんだろう、というのがその時点での感想だった。

 動作を始めると、とたんに印象が変わった。

静止状態では、「人形」だったものが、とたんに呼吸を始めたように見えた。

 ギギギとぎこちなく動くのではなく、息づかいを反映したかのような肩の動きであるとか、微妙に動き続ける手であるとか、まばたきであるとか、実に人間的である。そして、なによりも、「背後」にいる存在が、ジェミノイドの人間らしさを最終的に保証しているように感じられた。

〈こんなふうに首を動かせますよ、唇は発話とシンクロするようにできますよ〉とジェミノイドはみずから解説してくれるのだが、コンピュータプログラムの人工知能(AI)とはとうてい思えない語り口は、別室にいる石黒さんの研究室の研究員、小川浩平さんによるものなのだった。

「双子もどき」のジェミノイドは、見た目は限りなく人間らしく作り込んであるがその段階では、まだ蝋人形プラスアルファくらいの存在である。それが、入念にプログラムされた「人間らしい」ゆらぎのある動きや、知的応答の部分はあえてAIに頼らず人間が遠隔操作することで、一気に「不気味の谷」を飛びこえたと感じた

自分自身でも別室で操作させてもらい、同行の編集者と対話したりすると、別の変な感覚がもぞもぞと芽生えてきて、それをうまく言語化できないことに、苛立ちを覚えもした。

 なにはともあれ、ジェミノイドと対話し、自分でジェミノイドを操作し、すっかり、この「人」とトモダチになった気分になった。

以上、ぼくにとってのジェミノイドの第一印象。

 ブレは個々人によってあるだろうが、ジェミノイドの実物を見、自分で操作したことがある人なら、かなり近い感覚を抱くと思う。

 しかし、たまたまぼくのこのリポートで、ジェミノイドを知った人は、なぜ? と首を捻ったかも知れない。

 ロボットやアンドロイドというと、自律して動くものを想像しがちだ。しかし、ジェミノイドは姿も動きも人間に似せてあるものの、AIを持たず、人間に操作される。

 姿としては、パーマンのコピーロボットのように「人と区別がつかない」水準なのに、結局、「人が動かしている」という意味ではリモコン操作の鉄人28号と変わらない。

 では、なぜ、ジェミノイドは作られたのか。実はそこを押さえたとたん、今ぼくが記述した体験は、よりスリリングなものとして理解できるようになる。

※1ページ目の写真では向かって左、このページでは手前に座っているほうがジェミノイドです。

次回は“第2回 ジェミノイドができるまで”に続く・・・・

■□参考資料: アンドロイド・ サイボーグ □■

アンドロイド (android)は、ギリシャ語のandro-(人、男性)と接尾辞-oid(-のようなもの、-もどき)の組み合わせで、人型ロボットなどの人に似せて作られた存在を指す。ヒューマノイド(humanoid、英語のhuman(人)と-oidの組み合わせ)とは、由来する言語が異なる同じ構造の語であり、ほぼ同義である。「andro-」が男性の意味も持つことから、女性型アンドロイドをガイノイド (gynoid)と呼び分けている作品も見られる。

作中に登場する人造人間に対して「アンドロイド」という語を初めて用いた作品は、小説『未来のイヴ』(オーギュスト・ヴィリエ・ド・リラダン著、1886年)とされているが、語自体の歴史はさらに古い。

1728年にイーフレイム・チェンバーズが編纂・出版した『サイクロペディア』には、既にANDROIDESの項目があり、18世紀初頭には使われていた語であることが窺える。この中でアンドロイドの意味は「オートマトン(オートマタ)のこと」とされており、用例として「アルベルトゥス・マグヌスはアンドロイドを作ったと記録されている」という記述が挙げられている。

サイボーグ (cyborg) とは、該当記事にあるように「自動制御系の技術で人間や動物が身体機能の補助や強化を行った」もので、日本においては一般的に「機械で身体や能力を強化された人間」のことを指すが、人間の部分がどれだけ残っていれば(あるいは使われていれば)サイボーグか、といった問題もあり、実際には「人造人間」や「ロボット」と混用されている場合がある。また、英和辞典においても「cyborg」の和訳として「人造人間」を記載しているものも見られる。

◆ Me, myself and my android [日本語] | Hiroshi Ishiguro [石黒 浩] ◆

・・・https://youtu.be/CJJV4xe8N4M・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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