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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =088= / 亀井伸孝(05/mn) 

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カメルーン南東部のピグミー系狩猟採集民―研究しようと足を踏み入れた

目を奪われ、魅了されたのは、異質な独自の文化を持つ子どもたちの「遊び」だった

大人たちとは異質で豊かで深遠なる楽しい世界に、我知らず深入りしてしまった

愛知県立大学 アフリカ文化人類学 亀井伸孝

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/研究室にいって来た”を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美、(アフリカ=亀井伸孝) & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 亀井伸孝 : 第2回 遊びたおそう! =3/3= ◆◇

自然とできあがる「縦長の子ども集団」とは──

「10歳~15歳ぐらいの年長の少年少女が、かなり森の歩き方とか道具の使い方を知っていて、小さい子どもたちがそれについていくんです。これは同年齢できれいに揃えて学校に行かせて、同等の中で競争するのが当たり前になっている近代国家の都市部の生活とはかなり違います。縦長集団では大きい子は小さい子の面倒をみるのが当たり前だし、大人たちがいない中、じゃあ釣りに行くぞとか、小屋を作って遊ぼうとか、精霊の踊りをしようとか、自分たちで決めて自分たちでやっていくんですよね」

 大人不在で、放任された子どもたちの世界。

 別に誰かに言われたわけでもないのに、自律的に遊びが創り出され、その一部は、大人の生業活動にもつながっていくのが興味深い。

 なお、15歳にもなると、子どもから若者集団の方に属することもあるそうだ。そちらでも別の縦長の関係があるのではないか、とぼくは勝手に予想していて(実際、そういう関係はあるようだ)、こちらも同じく興味深く思う。

=== 閑話休題 ===

 亀井さんの遊びのエピソードで最も印象的に感じたものを書き留めておく。

 狩りのまねごとの後、大人たちが肉を分配するのをさらにまねる、という場面に亀井さんは出くわした。

 獲物は弓矢で捕まえたクモだ。バカは、クモを食べる習慣はないようなので、これは完全に獲物に見立てているのだ。

 ちなみに、バカは動物のことを「ソ」と呼ぶ。同時にそれは「肉」を意味する。森は食料の貯蔵庫で、必要な時に肉を取りに行く感覚。だからあまり備蓄もしない。これはめぐりめぐって、現在の日本人のコンビニに対する感覚と似ていると看破した文化人類学者の先輩がいるという。

 なにはともあれ、「ソ」に見立てられた、クモの件。

「獲物のクモを持ち帰ると、他の子たちが寄ってきて、大人がするのと同じように解体作業を始めたんです。ナイフに見立てた木の皮で脚を切り離そうとして、実は真似だけでほとんど手で引っこ抜いているんですが……。そして、解体し終わったらそのままガツガツ食べる真似をする子がいたり、煮込み料理を作る真似をしたり。私にも脚を分配してくれました」

 当然、亀井さんも食べる真似をしたという。

 狩猟ごっこであり、ママゴトでもあり、また、なによりバカの「分配の伝統」を忠実に守っている。微笑ましく、また、不思議に愛しくも感じられるエピソードなのだった。

次回は“第3回 弟子入りで世界は変わる”につづく

■□ 参考資料: バカ・ピグミー (3/3) □■

バカの系統と言語

バカ・ピグミーは、カメルーン東南部を中心に、コンゴ共和国北部、中央アフリカ共和国西部、ガボン北部に分布している。人口は三~四万人との推定があるが、ヨカドゥマからモルンドゥまでのバカの集落を広域調査した佐藤によると、それよりもかなり多い可能性もあるとのことである。

バカは隣接するピグミー系集団であるアカと、言語を除いて強く類似している。バウシェの民族言語学的分析によると、両者は数百年前まで、バアカBaakaと仮称されるひとつの集団であったと推定されている。またバカおよびアカはイトゥリ・フォレストのムブティとも、社会構造、生業、儀礼、歌と踊りの様式などの諸点で強く類似している。このような理由からバウシェは、バカ・アカの祖先は過去にムブティから分かれ、西方へ移住してきた人々ではないかと推定している。

遺伝的、文化的には高い共通性を持つこれらのピグミー系集団だが、それぞれの集団の言語はすべて、隣接した他の民族集団のものの借用である。なぜピグミー系の人々は、言葉だけはそのように急速に変えるのか。はたして「原ピグミー語」といったものが過去に存在したのか。これらはピグミー研究における大きな謎のひとつである。もとはひとつの集団だったと考えられるアカとバカだが、現在アカはバントゥー系の言語を喋り、バカはそれとは類縁関係の薄いウバンギアン系の言語を喋る。

バカがその言語を取り入れたと考えられるウバンギアン系の民族は、いまはバカの近隣には存在していないのだが、中央アフリカ共和国に居住するNgbakaらの民族集団がバカ語に近い言葉を喋っていることから、過去にこの系統の人々と接触があったものと推定されている。したがって「バカ語」とは呼ばれるものの、彼らの言語もまた、近い過去に他集団から取り込んだものなのである。バカ語に関しては、先に述べたブリッソンらの長い研究があり、大部のバカ語--フランス語辞書、文法書、民話集、聖書などの書籍が出版されている。

◆ Baka Pygmy guitarists in the cameroon rainforest ◆

・・・https://youtu.be/nANpY7g0sVI・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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