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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =081= / 渡辺佑基(48/mn)

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ ガラパゴスでのシュモクザメ調査 =3/3= ◆◇

座っていられないので、立ち上がって衝撃に耐える。顔面にまともに風圧を受け、海水のシャワーが時折ボート全体を包み込む。 無人の砂漠のような太平洋を、ただひらすら一方向に進んでいく。360度どこを見渡しても海と空しかなく、海鳥すらいない。母船から遠く離れすぎていて、無線連絡も不可能だ。もしもボートに何かトラブルがあったら、と考えるとぞっとする。

3時間かけて目的の海域に到着した。電波信号を頼りに、近くに浮かんでいるはずの記録計を探す。電波受信機の感度を絞りながら、目を皿のようにして海面を見つめる。するとあった! シュモクザメのデータの詰まった何より大事な記録計が、心配する親の気持ちを知らない無邪気な子どものように、のんきにぷかぷかと浮かんでいた。1時間半ほどかけて2台の記録計を順番に探し出し、回収することができた。

 あとは母船に帰るだけだが、その前に安全のため、外部と連絡をとっておきたかった。我々が今、どこにいるのかを誰かに知らせておきたいのだが、無線は届かない。最後の手段として、ジェイソンがイリジウム衛星電話でオーストラリアにいる奥さんに電話をかけることにした。

 時刻は正午過ぎ。時差を考えると、オーストラリアは草木も眠る丑三つ時だった。しばらく呼び出し音が続いてから、ベッドからむっくりと起き出してきたであろう奥さんが電話に出た。ジェイソンは奥さんに、我々の現在の緯度経度(太平洋のど真ん中だ)を伝え、正確にメモしてもらう。そしてもしも六時間以内にもう一度連絡がなかったら、大学に連絡をとって欲しいと伝えた。

 奥さんはギョッとしたに違いない。夜中の2時過ぎに突然、エクアドルに出張中の旦那から電話がかかってきて、今から伝える現在位置(緯度経度)を正確にメモして欲しいと言うのだ。さぞかし驚かれたことだろうし、その後はきっと気がかりで眠れなかったことだろう。でも安全のために、これしか方法がなかった。

 私たちはその後、3時間半かけて無事に母船に帰り着いた。往復で280キロもの距離を――しかも太平洋の真ん中を――船外機付きボートでぶっ飛ばしたのは初めての経験だった。何もなかった水平線の向こうから、ぼんやりとダーウィン島の影が見えたときはほっとしたし、母船に到着して船員の皆が笑顔で迎えてくれたときは、心底うれしかった。

 そして何より重要なことに、このようにして、アカシュモクザメ2匹から貴重な行動データを記録することができた。早速パソコンを立ち上げ、データをダウンロードしてみる。文句のつけようのない美しいデータが、2日間にわたって途切れなく記録されていた。それによると、不思議なことに、シュモクザメ2匹は放流後、申し合わせたように同じ方向に泳ぎ始め、たった2日で140キロも離れた地点まで泳ぎ去っていた。

 サメたちは一体何がしたいのだろう? 泳いだ先には何があるのだろう? 素朴な疑問が次々と私の頭の中に浮かぶ。それらの疑問の少なくとも一部の答えは、今回記録されたデータを詳しく解析することによって、おのずと明らかになるはずだ。

 解析を急がなくては、と私は思った。

次回“ペンギン参勤交代”に続く・・・・・

 ■□参考資料: ガラパゴス諸島の地政学 (3/3)□■

=よく知られた動物種=

各大陸とは隔絶された独自の進化を遂げた固有種が多く存在する。天敵になるような大型の陸棲哺乳類が存在しない。

ガラパゴスゾウガメ - 大型のリクガメ。甲羅がドーム型のものと鞍型のものに分けられる。島ごとに多くの亜種に分かれるが、それを独立種とする説もある。おもに果実や木の実などを食べる。

ガラパゴスペンギン - 世界で3番目に小さく、唯一の熱帯性種であるペンギン。フンボルト海流から流れる魚類を餌にしているが、近年のエルニーニョ現象により餌が減り、個体数も減少した。

ガラパゴスリクイグアナ - サンタ・フェ島には別種サンタフェリクイグアナが生息しており、その他の島には本種 Conolophus subcristatus が生息していたが、すでに絶滅した島もある。主にウチワサボテンを食べるが、移入されたヤギによって食料が奪われ、存続が危ぶまれている。

ウミイグアナ - 海岸に生息し、海草などを食べる。 / ヨウガントカゲ - 各島に1種、全部で7種が生息する。 /  ガラパゴスアシカ /  ガラパゴスオットセイ

=ダーウィンの進化論とガラパゴス諸島=

チャールズ・ダーウィンが測量船ビーグル号に乗船し、進化論の着想を得ることになった航海で訪れたことは有名である。ダーウィンは航海の後半、1835年9月15日から10月20日まで滞在した。その間ビーグル号は初めて諸島の地理調査を精密に行った。当時の記録は、彼の『ビーグル号航海記』で読むことができる。

英名チャタム、チャールズ、オーグマール、ジェームズなどの島々で観察した動物相は、南米での調査の経験とともに、進化論のヒントとなった。航海でもっとも印象に残ったことのひとつとして、ガラパゴス諸島の動植物が南米のものによく似ていることを挙げている。

そして諸島滞在時には気づいていなかったが、イギリスに帰国後、生物の種とは当時信じられていたような不変の物ではなく、変化しうるのではないかと考えるようになった。島には彼を記念した研究所「チャールズ・ダーウィン研究所」が1964年に開設され、現在でも、野生生物の保護・調査にあたっている。

◆ The Galapagos Islands HD ◆

・・・https://youtu.be/bV0F0sjNSAU・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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