地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン
つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで
インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う
驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基
【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】
(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ ガラパゴスでのシュモクザメ調査 =2/3= ◆◇
ダーウィン島に到着し、甲板に出ると、目の前には凱旋門がそびえ立っていた。ダーウィン・アーチと名付けられた、奇跡のような天然の凱旋門。その足元には波が当たって白く砕け、上空にはグンカンドリのおびただしい群れが、人間たちを睥睨(へいげい)するかのようにゆっくりと舞っていた。海の中はシュモクザメのスポットになっており、サメが大群をなしてゆらゆらと泳いでいるという。すごいところに来てしまった、と私は思った。
翌朝、早速調査を開始した。サメを捕獲するために、数十もの釣針に餌をつけて次々と海に落としていく。延縄(英語ではロング・ライン)と呼ばれる世界共通の漁法だ。
よほど魚影が濃いのだろう。体長1メートル強のアカシュモクザメの幼魚が、次々と針にかかって上がってきた。どれも生きがよく、手でつかむとばたばたと暴れる。私たちはそのうちの2匹に、日本から持ってきた記録計(深度や遊泳スピードなどを記録する)とビデオカメラを取り付け、放流した。
記録計は2日後にタイマーで切り離され、海面に浮かび上がってくる予定だ。そして人工衛星を介して、インターネット上に位置情報(緯度、経度)が届けられる。小型ボートでその場所に向かい、記録計を回収すれば、めでたくデータが手に入るという仕組みだ。ただし2日間でサメがどこまで移動するかは、やってみないとわからない。
2日後。記録計が切り離される予定の朝6時がやってきた。調査船にはインターネット設備はなく、携帯電話も圏外なので、ジェイソンがオーストラリアから持参したイリジウム衛星電話だけが頼りだった。オーストラリアの知り合いに電話をかけ、インターネットをチェックしてもらうと、たしかに緯度経度の情報が更新されているという。切り離しの仕組みがうまく作動し、記録計が海面に浮かび上がった証拠だ。「よし」と私は心の中で小さなガッツポーズ。
ところが、伝えられた緯度経度を地図と照らし合わせてみると、記録計は2台とも、放流地点から同じ方角に140キロも離れているという。「140キロ!?」と私は思わず声に出した。体長1メートル強の小さなサメが、たった2日間で140キロも移動するとは信じられない。しかも2匹が2匹とも、ぴたりと同じ方向に泳ぎ続けたというのも奇妙だ。一体何が起こったのだろう? そもそも140キロという途方もない距離を、船外機付きの小型ボートだけで回収に向かえるのだろうか。悪い予感の暗雲が立ち込めた。
地元ガラパゴスで生まれ育った調査船のキャプテンは、真剣な表情で地図を見つめ、少しの間黙ってから、大丈夫だ、行こう、と言った。そうと決まれば、太陽が沈む前に確実に戻ってこられるように、できるだけ早く出発しなくてはならない。食料と飲料水とを小型ボートに積み込み、キャプテン自らの操船で、私たちは出発した。
小型ボートは猛スピードで海の上を突っ走る。ふわっと浮き上がったと思ったら、ドンと激しく海面に叩きつけられ、またふわっと浮き上がる。その絶え間ない連続だ。座っていられないので、立ち上がって衝撃に耐える。顔面にまともに風圧を受け、海水のシャワーが時折ボート全体を包み込む。
無人の砂漠のような太平洋を、ただひらすら一方向に進んでいく。360度どこを見渡しても海と空しかなく、海鳥すらいない。母船から遠く離れすぎていて、無線連絡も不可能だ。もしもボートに何かトラブルがあったら、と考えるとぞっとする。
・・・・・・明日に続く・・・・
■□参考資料: ガラパゴス諸島の地政学 (2/3) □■
1990年代初頭にアジア文化圏向けのナマコの需要が高まり、ガラパゴス諸島に生息するフスクスを求めて漁民が大挙して流入するようになった。漁民たちは上陸が禁止されている島に上陸し、ナマコの加工作業を行う傍ら、ガラパゴスゾウガメを食べる、フィンチの巣を荒らすなどの問題行動が行われるようになった。環境保護活動家からの指摘を受けて1992年にエクアドル政府はガラパゴス諸島周辺でのナマコ漁を禁止したが、突然の禁漁に不満を抱いた一部の漁民がダーウィン研究所を封鎖したり、ゾウガメの殺戮をほのめかすなどの抗議を行った。一連の対立はアメリカの環境保護団体全米オーデュボン協会の機関誌を通じて「ナマコ戦争」として報じられた。
また、海洋保護区でのサメの密漁も問題になっている。ナショナルジオグラフィックの報道によれば、アジア向けのフカヒレと肉を目的とした密漁が続いているという。一例として、2017年8月に拿捕された中国の密漁船からは絶滅危惧種を含めて数千匹のサメが押収された。この密漁船の追跡に参加していた海洋生物学者のペラーヨ・サリナスによれば、「前代未聞」で「ガラパゴス史上最多」だという。
=生態系=
ガラパゴス諸島はいわゆる海洋島であり、大陸と陸続きになった歴史を持たない。そのような島では、在来の生物は飛来したか海を渡って漂着したものの子孫に限られる。また、多くの固有種が見られることが多い。ここの場合もそれが顕著で、大部分の生物は南アメリカ大陸に出自があるとされるが、非常に多くの固有種がある。また哺乳類と両生類を欠くなど、生物相にははっきりしたゆがみがあり、その代わりに生存する種群には適応放散が著しい。特にゾウガメがこの島の名の由来になったように、大型の爬虫類が地上の動物相で大きな役割を果たしているのが目を引く。
また、このような経過から、特異な生物相を持つ島嶼のことを「○○のガラパゴス」と呼ぶことがある。日本では琉球列島や小笠原諸島がそう呼ばれるが、琉球列島はかつて大陸や日本列島と陸続きで、そこから侵入した生物相が元になっている点、海洋島へ漂着した生物を起源とするガラパゴスのそれとは性格が異なる。したがって、その意味では小笠原をこう呼ぶ方が理にかなっていると言える。
最近の調査ではウミイグアナとガラパゴスリクイグアナの共存関係が崩れだし、ウミイグアナとガラパゴスリクイグアナの交尾によって生まれた子供は、両方の遺伝子を持ち、ガラパゴスリクイグアナにはない鋭い爪が生えている。これをハイブリッドイグアナと呼ぶが、繁殖力はない。また前記にあるエルニーニョ現象の影響で、体長が25%も短いイグアナが発見され問題視されている。 ・・・・・・明日に続く
◆ ガラパゴス・ダーウィン島、ジンベイザメとイルカのコラボ ◆
・・・https://youtu.be/ikvMmcGJL0A・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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