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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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現代の探検家《小林快次》 =18=

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○◎ Great and Grand Japanese_Explorer  ◎○

○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○

◇◆ 第7回 「間違った」仮設  =3/3= ◇◆

予想と異なる結果が・・・

 時間を忘れて作業をしていると、予想通り骨はつながって、ずらっと出てくる。全身骨格である可能性がどんどん高くなっていった。
 ただし、1つ問題があった。去年の発掘で取り出した脚の方向を基に、「こんな風に骨格が埋まっているだろう」と予測して上の岩を掘り出したのだが、骨格はまるで新体操の選手のポーズであるかのように、考えられないような曲がり具合で埋もれていた。予想していたのとは違う方向に骨格が埋もれていることがわかったのだ。この3日間、みんなで頑張って掘り下げた崖も・・・もう一度やり直しである。みんな気を取り直そうと互いに励まし合うが、なかなかそうもいかない。

 「休憩しよう」
 フィルがみんなに呼びかける。それぞれ水を補給し、オレンジをバックパックから取り出し、食べはじめる。

 フィルは1人で、発掘された骨を見つめていた。沈黙が続く。「・・・これはケラトプス科じゃない。ハドロサウルス科だ」

 骨を掘っていくと、当初の考えが間違っていることがわかった。あのフィルが、同定を間違っていた。後ろ脚や背骨が出ていたにもかかわらず・・・「弘法にも筆の誤り」だ。

 ここで思い出してほしい。たまに日本でも「恐竜化石発見」と報道されることがある。発見されたものを見ると、歯1本だったり、骨1個だったりする。かなり断片的な化石であっても、「~科の恐竜」や「新種の可能性」と取り沙汰されたりする。この危険性がわかるだろうか。のちにその発表が「間違い」だったとして訂正されることは頻繁にある。
 私は「間違い」と書きはしたが、実のところ、間違いだとは思っていない。その時にできる限りの情報を駆使して判断する。その判断はその時点での「仮説」であって、のちにその仮説が新しい情報によって修正されるというのは、非常に健康的で、サイエンス(科学)そのものだと思う。

 「間違った」仮説を出すくらいなら出さないほうが良い、という考えもあるだろう。もちろん程度にもよるが、「仮説」を出すことで議論が活発になり、「より間違いの少ない仮説」が生まれるかもしれない。言い換えると、サイエンティスト(科学者)は、「情報を増やすことで、『間違った仮説』を『より間違いの少ない仮説』に修正する」という作業を繰り返しているだけなのだ。

 「じゃあ、この恐竜骨格のニックネームが決まったね。ハドロケラトプシアン(ハドロサウルス科とケラトプス科を合わせた造語)だ」
 アロンは落胆を隠しながら、おどけて言った。

※ ロバート・T・バッカー(Robert T. Bakker、1945年3月24日 - )は、アメリカ合衆国古生物学者。長く、ジョンズ・ホプキンス大学解剖学地球科学などの教授を務めた。ニュージャージー州バーゲン郡出身。

古生物恐竜学者のジョン・オストロムの愛弟子として知られ、師とともにいわゆる「恐竜ルネッサンス」(恐竜恒温説、その他)を強力に推し進めた立役者として知られる。その言説は、余りにも「過激である」ため、しばしば物議をかもしている。

※ ジョン・H・オストロム(John H. Ostrom、1928年2月18日 - 2005年7月16日)はアメリカ古生物学者であり、1960年代における恐竜への現代的な理解への改革を行った。彼は恐竜がトカゲ爬虫類)のようなものではなく、むしろ大きな飛ばないであるという、1860年代にトマス・ヘンリー・ハクスリーにより初めて提案されたもののあまり支持を得ていなかったアイディアを論証した。初めてのオストロムによる原始的な鳥類である始祖鳥ついての広範な骨学系統学についてのレビューは1976年に発表された。中国における最終的な羽毛恐竜の発見に対する彼の反応は、何年もの辛らつな討論の後であったため、ほろ苦いものであった(Gentile, 2000)。

※ エドウィン・ハリス・コルバート(Edwin Harris Colbert, 1905年9月28日 - 2001年11月15日)は、著名な古脊椎動物学者であり、多くの研究と著作で知られる。アイオワ州Clarinda生まれ。ネブラスカ大学で学士号、コロンビア大学で修士号および博士号を取得している。

コルバートはアメリカ自然史博物館の古脊椎動物学部門のキュレーター、およびコロンビア大学の古脊椎動物学の名誉教授の地位にあった。 ヘンリー・フェアフィールド・オズボーンの友人であり、恐竜学における最高権威であった。コルバートは何十もの新しい分類群について記述し、主要な系統についてのレビューを発表した。この中にはニューメキシコ州ゴーストランチにおける三畳紀の小型恐竜コエロフィシスの発見と記載や角竜類の系統発生についてのレビューも含まれる。 また、コルバートは後にエフィギア・オケエフェアエ(Effigia okeeffeae)として命名、分類された化石爬虫類も発見した。

恐竜、古生物学、および層位学におけるコルバートの人気と彼の教科書はこの分野の科学者と熱心なアマチュア研究家の一世代に広まり、そして南極大陸での彼のフィールドワークは、大陸移動説が確固たる承認を受けるのに助力した。コルバートは科学の分野での多くの業績を記念し非常に多数の賞と表彰を受けていた。

  ※まだカナダの話は続きますが、調査の状況を報告したいので、来月はアラスカの話をお届けします。そして、再来月は、モンゴルの調査を。話はとびとびになりますが、その後カナダの話に戻ります。

 

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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