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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =049= / 渡辺佑基(19/mn)

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ オーストラリアのサメ調査は1勝2敗 =2/3= ◆◇

 早速、グレート・バリア・リーフの海上で釣りを開始した。仕掛けはすこぶる単純で、サッカーボールほどの大きさの浮きからワイヤーが伸び、その先端に極太の釣り糸を介して、握りこぶしほどもある大きな釣り針が1本ついている。こうした仕掛けを4~5個用意して、サバなどのエサを付け、海に放り込んでおく。

あとは船上でリラックスして、コーヒーでも飲みながら、波間に漂う浮きの動きを観察するだけだ。サメがかかれば、浮きが水中に引きずり込まれたり、あるいはスーッと横に滑ったりするので、だいたいわかる。

 始めの3日間は何もかからず、完全なるボウズであった。これは魚類の研究では、とりわけサメなど大物を狙う研究では、よくあることだ。時折、調査船を動かして釣り場を変えながら、粘り強く待つしかない。

 そして4日目、ついにサメがかかった。喜び勇んで仕掛けを引き上げてみると、体長2メートルほどのレモンザメであった。これは正直、ちょっとがっかり。レモンザメは見た目からして平々凡々で、魅力に欠ける。それにサンゴ礁に居つくタイプのサメなので、機器を取り付けたとしても、ダイナミックな行動データは期待できない。

 だから私は機器を付けるかどうか、大いに迷った。手元に機器は3セットしかないので、大事に使わなければならない。

 ひょっとしたらこの後で、魅力的なオオメジロザメがばんばん釣れ始めるかも知れず、そのために機器をとっておいたほうがいいのかもしれない。でもひょっとしたら、目の前のレモンザメは貴重な1匹かもしれず、データをとったほうがいいのかもしれない。

 でも実際は迷っている時間なんかないのである。えい、ままよ、と私はレモンザメの背びれに機器を取り付けて放流した。

 と、続けざまに今度はシュモクザメがかかった。平たい頭が左右に突き出した、あのシュモクザメである。しかも世界中に8種類いるシュモクザメ類の中でも、特に希少性の高いヒラシュモクザメ! この種類は英語で「great hammerhead」といって、シュモクザメ類の中でも一番体が大きく(最大で体長6mにもなる)、グレイトな存在なのである。

私は初めて目にするヒラシュモクザメの、何よりも巨大な背びれに度肝を抜かれた。スレンダーな体には不似合いなくらいの、巨大な背びれが背中にぬっと突き出ている。

 レモンザメ君には悪いが、器が違う。私はこのサメには何の迷いもなく機器を取り付けて、そのまま放流した。

・・・・・・明日に続く・・・・

◇渡辺佑基▽生物学界のインディ・ジョーンズが持つ世界初の映像が満載◇

・・・https://youtu.be/0cXEPVzOY5k?list=PLw3QxSAmxbO08nPTUdZcf5cx_mRmcw6l2・・・

 

■□参考資料:動物の知られざる生態に迫るバイオロギング(1/3) □■

動物の知られざる生態に迫るバイオロギング|東京大学 / 取材・文:小竹朝子

大気海洋研究所の佐藤克文教授(50)は幼少の頃から野生動物に魅了されてきました。小学校3年生の夏休みの自由研究で、木工所からおがくずを集めてきては餌としてやったり、カブトムシの子どもを育てたあとそれらの体重を測り、どれぐらい重たいものを引っ張れるか調べたりしていました。

40年たった今も佐藤先生の野生動物への興味や好奇心は衰えることはありませんが、一つ大きく違うことがあります。それは、バイオロギングという動物の生態の謎を解くためのパワフルな道具を持っているということです。

佐藤先生は、バイオロギングを使った研究の分野で日本で有数の研究者です。バイオロギングとは、小さなデータ記録装置を動物の体に直接取り付け、動物の動き、行動や生理学について詳しく調べる学問手法のことを言います。

子育て中の海鳥が何百キロも飛んで餌場に行ったあと、コンパスもないのに元の巣に戻れるのはなぜでしょうか?ペンギンが水中に潜るとき、浮上の途中で翼を動かすのを完全に止めても滑らかな上昇を続けられるのはどうしてなんでしょうか?バイオロギングによって研究者は、人間の目には見えない動物の行動を明らかにすることでそれらの行動を説明する理論を生み出してきました。

「バイオロギングは今までのアプローチと全く異なります」と佐藤先生は話します。「従来の生物学では、科学者は何を明らかにしたいのかをまず吟味して、それを明らかにするにはどういう実験をやったらいいのかというのを考え、コントロールした条件下で実験をして明らかにしていくのが一般的な手法です。バイオロギングでは、研究者は調べたいことをまず横においてロガーを取り付けます。得られたデータを見てみると意外なことがわかることがあります」。

さらに将来的には、動物に取り付けられた記録計から収集されたデータが気象予測にも役立つかもしれません。従来の方法ではコストがかかりすぎたり技術的に難しかったりした海上の風の状態と水温のデータを数多く集めることができるからです。

技術の進化

バイオロギングの歴史は1964年に遡ります。アメリカ人の生物学者、G.L.クーイマン博士がキッチンタイマーを改良したものを使って南極のウェッデルアザラシの潜水の深さと長さを測定したことが2004年の国立極地研究所の内藤靖彦教授(当時)の論文に書かれています。内藤先生は日本におけるバイオロギング・サイエンスの先駆者です。

1980年代末から1990年代始めにかけ、技術的な「革命」が起こり、データロガーは格段に小型化、軽量化しました。

現在使用されているロガーはデジタルで、温度、圧力、照度を測ることができるほか、ビデオも撮ることができます。多くの機器には位置を判断するGPSセンサーや、歩数を測るためにスマートフォンに搭載されているのと同様の3軸加速度センサーがついていて、たとえばペンギンが翼を振る回数や海鳥が羽を動かす様子など、動物の動きを数値化することができます。

内藤先生や佐藤先生など、日本の研究者はバイオロギング・サイエンスの発展に重要な役割を果たしてきました。2003年にこの分野で初めての世界会議を日本で開催したことがその一例です。この会議において、動物の生態観察のためにデータロガーを使うことを「バイオロギング」と呼ぶことが決まりました。

・・・・・・明日に続く

◆ Nova Scotia Expedition Wrap Up ◆

・・・https://youtu.be/dCQmTxUrWmQ・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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