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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =047= / 渡辺佑基(17/mn)

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 「バイオロギング」で/ サメを調べにオーストラリアへ! =2/2= ◆◇

というわけでこの連載では、バイオロギングが明らかにした海洋動物の真実の姿を、フィールドワークの報告を織り交ぜながら紹介していきたい。綿密な執筆計画があるわけではなく、論文発表の有無やフィールドワークのタイミングなどによって、その都度内容を考えていくつもりだ。一般的なイメージとは大きく異なる海洋動物の「生きもののさだめ」を、それを調べる現場の様子とともに、なるべくタイムリーにお伝えしたいと思っている。

では、記念すべき第1回目は、間近に迫っているオーストラリアでのフィールドワークについて。

 私には仲のよいオーストラリア人研究者が何人もいるが、彼らは共通して、あくせくしないマイペースで、金銭感覚も大らかで、でもその割に人間関係にはよく気配りをする(たとえばよそへ行くときは土産を欠かさない)。それがオーストラリア人の国民性なのか、サンプル数の少なさに起因するバイアスなのかはわからないけれど、とにかく気持ちよく共同研究を進めることのできる大切な仲間たちだ。

 そのうちの1人、ケアンズにあるジェームズクック大学のアダムが今回、美しいサンゴ礁の広がるグレートバリアリーフ海域での調査航海に誘ってくれた。あの海域にはイタチザメやオオメジロザメやシュモクザメなど、大きなサメがうようよといるから、釣り上げて計測機器やビデオカメラを取り付けないかという誘いである。もちろん二つ返事でオッケーした。

 今回の調査の狙いは、サメが海の中でどんなエサをどのように捕えているのかを明らかにすることである。なるほど死んだサメの胃の中身を調べれば、だいたいのエサの種類はわかる。しかし、サメがいつ、どこで、どのようにエサを捕えているのかを調べるには、最新鋭のバイオロギングを駆使するしかない。じつは今までにも多くの研究者がサメに記録計を取り付けてきたのだが、大まかな行動のパターンを把握するに留まっているのが現状である。

 私は以前、南極のペンギンを研究していた際、ペンギンのエサ取りを詳しく調べる画期的な手法を開発した。ビデオカメラと加速度センサーの両方をペンギンに取り付け、ペンギンの目線から撮影された映像とその時の体の動き(加速度)とをリンクさせる方法である。この方法を使えば、少なくともペンギンに関しては、いつ、どこで、どんなエサを捕ったのかを長時間にわたって記録することができた。

 このオリジナルの手法を今回、サメに応用しようと思っている。あるいは応用できるかどうか試してみたいと思っている。サメは硬骨魚(サバやイワシなどのいわゆる普通の魚)に比べて体が大きく、計測機器を取り付けやすいというメリットがある。また貪欲にエサを探し回り、時には共食いまでする「食うマシーン」なので、エサ取りの研究にはぴったりの海洋動物であると私は信じている。

 なぜ、エサ取りに私がそこまでこだわるのかといえば、食べることは「生きもののさだめ」の最重要項目だからだ。繰り返しになるけれど、生物がどのように命をつないでいるのかを理解しようとするのが生態学という学問である。

 では、張り切って行ってきます。大きなサメがうまく釣れるといいけれど。

明日“オーストラリアのサメ調査は1勝2敗”に続く

 ◇ 癒しの海 OCEAN BLUE SEA ◇

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・・・https://youtu.be/uwKr_5eOJQk・・・

動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください

■□参考資料: 世界をリードする日本のバイオロギング / 佐藤克文(2/3) □■

将来の保証はないが、成功の暁には知的興奮を得る

現在、バイオロギングが研究できる大学や機関が全国に増えています。そこには動物好きな若者たちが集まってきています。研究者の平均年齢は20〜30代と若く、他の分野に比べてフレッシュな人材がそろっています。
若いということは、固定観念にとらわれることなく、自由にアイデアを出せる点がいいですね。彼らの柔軟な発想は、とても刺激になります。
研究はフィールドワーク主体で、現場主義。研究室にこもっていても分からないことは、現場に出て確認します。データロガーのようなハイテク機器を使ってはいますが、現実はずぶ濡れになったり、泥だらけになったりして、動物たちと格闘する日々です。でも、それが楽しいんですね。
ただバイオロギング自体が、歴史の浅い分野で研究者の数も少なく、将来が保証されているわけではありません。おいしい話があるわけでもないし、正直、研究者として食えないかもしれない。それでも「バイオロギングをやりたい」という学生が、毎年私の研究室の門を叩くのは、本当にうれしいことです。
動物園が大好きで、動物図鑑が愛読書という子どもたちには、ぜひバイオロギングという言葉を覚えてもらいたいです。

東日本大震災を乗り越え、三陸沿岸の環境変化を探る

私が所属する東京大学大気海洋研究所では、岩手県大槌町にある研究センターで、2004年から毎年バイオロギングによるデータ収集を行っていました。対象は大型の魚、オオミズナギドリ、ウミガメです。しかし2011年3月11日の東日本大震災の津波によって、センターは壊滅状態となり、まだ再建のメドは立っていません。しかし何としてでも、研究を続行し、地震の前後で三陸沖の自然がどのように変化したかを明らかにしたいと思っています。
津波によって、多くの人工物が海に流され、海の生態系に大きな変化が起こったことが予想されますが、それが野生動物の生態にどのような影響を与えているのか。1000年に一度と言われる大災害にくじけることなく、その変化をしっかりと記録したい。他の分野も含め、多くの研究者が三陸沿岸に注目していますが、僕はバイオロギングというアプローチで、貢献したいと考えています。

・・・・・・明日に続く

◆ ホオジロザメ・海の最強ハンター ◆

・・・https://youtu.be/rfZG_LPv8o8・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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