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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =046=

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_“日本のエキスプローラ”/バイオロギングで海洋動物の真の姿に迫る”を基調に編纂】

(文/写真=渡辺佑基= & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 「バイオロギング」で/ サメを調べにオーストラリアへ! =1/2= ◆◇

生物とは何だろう。生態学とは何だろう。

 先日、何の気なしに中島敦の『山月記』(昔の中国で、詩歌の道で身を立てられなかった男が懊悩の末、人喰虎に変身してしまう話です)を読み返していたら、これだという1文を見つけて一瞬ドキリとした。

「理由も分らずに押付けられたものを大人しく受け取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ」

 そうそう、それが生物! 虎であれ象であれてんとう虫であれ、完璧な生体機能を備えて完璧に環境に適応しているわけではない。そうではなくて、遺伝というメカニズムによって先祖から受け継がれてきた体の形や生理的機能(「理由も分らずに押付けられたもの」)をやりくりして、危険に満ち満ちた自然の中を生き延びようとしている。

 それがうまくいかなければ、天敵に喰われたり、エサにありつけずにのたれ死んだりする。それがうまくいったならば、配偶者を獲得し、次世代に命のタスキを渡すことができる。

 本質的に不完全である生物がどのようなやりくりによって生き長らえ、次世代に命をつないでいるか――それを理解しようとするのが生態学という学問分野である。少なくとも私はそう考えている。

 私は野生動物、とりわけペンギンやアザラシ、サメなどの海洋動物の生態を研究している生物学者である。動物がいつ、どこで、何をしているのか。どのようにすばしこいエサを捕え、あるいはどのように天敵から逃げているのか。環境変動にどこまで対応できて、どこまで対応できないのか。そんなことを調べ、論文にまとめるのが私の仕事だ。

 自由に海を泳ぎまわる海洋動物は観察することもままならないから、私はいつもハイテクの電子機器を使っている。つまりGPS、深度センサー、加速度センサーなどを搭載した記録計や、超小型のビデオカメラなどを動物の背中にぺたりと取り付けるのである。近年のセンサーはすごいから、動物がどこにいって何をしたのかを、まるで天に2つの目があって自動追尾するみたいに正確に把握することができる。

 これが「バイオロギング」と呼ばれる調査手法である。従来の動物調査では、人間の目線から動物を観察し、理解しようと努めてきた。ところがバイオロギングでは、視点をがらりと変え、動物の視点から動物を観察し、理解しようとする。この発想の転換により、いままでの常識を覆すような動物たちの真実の姿が、次々と明らかになってきた。

 たとえばアホウドリはわずか46日間で地球を東西方向に1周し、もとの場所に戻ってくる。時速100キロで泳ぐと信じられていたバショウカジキの平均遊泳スピードは、わずか2キロである。ペンギンは1時間に160匹ものエサを捕まえる。

 ・・・・・・明日に続く・・・・

◇ バイオロギング - SNN25 - ◇

・・・https://youtu.be/NsBftrUyU0I?list=PLz01FGnvJ112W2oWop9z_8WJvAzS_u5G1・・・

動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください

■□参考資料: 世界をリードする日本のバイオロギング / 佐藤克文(1/3) □■

佐藤 克文: 東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター准教授。農学博士。1995年、京都大学大学院農学研究科水産学専攻博士課程修了。同年、日本学術振興会特別研究員(国立極地研究所)、2004年、東京大学海洋研究所国際沿岸海洋研究センター助教授。著書に『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』(光文社新書)、『巨大翼竜は飛べたのか』(平凡社新書)。

世界をリードする日本のバイオロギング研究

バイオロギング(Bio-logging)とは野生動物に、小型の記録計(データロガー)を取り付け、自然環境の中で動物がどのような行動を取っているのかを調査する研究分野です。これまで直接観察することが難しかった動物の生態を、測定データを分析することで明らかにしようというものです。最初はアメリカで始まり、80年代から日本でも独自に研究が行われるようになり、90年代に世界中に広がりました。まだまだ新しい学問ですが、実は日本は、この分野で世界をリードする立場にあります。第1回の国際シンポジウムも日本で開催されましたし、バイオロギングという名称自体、日本で名付けられたものなのです。その意味で、日本はバイオロギング発祥の地のひとつと言えるでしょう。
バイオロギングは水産系の研究で主に利用されています。というのも水棲動物が水中に潜ってしまえば、それ以上追いかけることはできなかったからです。アザラシやウミガメが水中でどのようにエサを取り、どのような行動を取っているのかを知ることは、研究者の長年の夢でした。バイオロギングによって、その夢が少しずつかなえられるようになりました。しかも、想像を超えた新しい発見をもたらしてくれたのです。

ウミガメは恒温動物、ペンギンは変温動物?

理科の授業で、爬虫類は変温動物で周囲の温度に応じて体温が変化するが、鳥類は恒温動物で体温は一定と習いました。ところがバイオロギングによって、ウミガメ(爬虫類)とペンギン(鳥類)の水中での体温の様子を調べてみると、全く逆の結果が出たのです。ウミガメの体温は変化せず、ペンギンの体温はどんどん低くなっていく。教科書とは全く逆のデータを目の前にして、驚くと同時に、よく知られた動物たちの生態に、まだまだ未知の部分があるのだという事実に知的興奮をかきたてられました。
種明かしをすると、まずウミガメの雌は、産卵期に入る前にたっぷりエサを食べて脂肪として蓄えておき、産卵期にはほとんどエサを取らず卵を産むことに専念するようです。基本的には不活発な状態で過ごしているわけですが、それでも時々深い所に潜って、冷たい水を経験します。しかし、体サイズが大きいおかげで、そのような短時間の水温変化には左右されずにすむのです。一方ペンギンは水中でできるだけ酸素消費を減らして、長く潜っていたいために、自ら代謝を下げています。そのため体温も低くなるというわけです。これはバイオロギングによる新発見です。
「そんなことも分かっていなかったの?」と思われるかもしれません。しかし、これまで水中でのウミガメやペンギンの体温変化を測った研究者など、誰もいなかったのです。科学は何でも分かっているように見えて、実際は忘れ物がたくさんあった。「まさか」と思うようなことが、ブラックボックスのままでした。
地味ですが、もしかすると「大発見」にめぐり会えるかもしれない。僕はそんな可能性をバイオロギングに感じて、どんどんのめり込んでいき、現在に至ります。

・・・・・・明日に続く

◆ 佐藤克文研究室 入校案内 ◆

・・・https://youtu.be/IiPfYn11Wwk・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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