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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =038= / 渡辺佑基(08/mn)

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・安藤寿康

【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 渡辺佑基・おぼれるチョウザメ、翼を持ったマンボウ =1/2= ◆◇

チョウザメが溺れる理由

 学会の後、夜、飲み屋で、外国人研究者と日本人研究者が酒を飲みながら語り合い、意気投合する。そして、じゃあ、共同研究しようぜ、と約束する。

 というのは、バイオロギング界隈では、よくあることらしい。

 日本のバイオロガーは信頼性が高い。イギリスやフランス製のものもあるのだが、それを使っている外国人研究者が「せっかく回収できたのにデータが取れてなかった」としょんぼりしているのに出会うことがたまにあるようだ。

 その点、日本のデータロガーは回収に成功すれば、たいていデータは取れている。

 さらにいえば、渡辺さんは、動物を再捕獲せずにロガーを回収できる技術もお手のものだ。

「信頼性の高い日本のデータロガーを持ち込んでくれ、ノウハウも蓄積している日本の研究者と共同研究したがる外国人研究者は多いみたいです。中国の長江のカラチョウザメの調査は、わたしの先生が中国人研究者と酒の席で決めてきたんです。じゃ、きみ、行ってきなさいって」

ありとあらゆる種類の動物でも、ロガーを付けられるチャンスがあるなら付ける、というのが渡辺さんのポリシーだが、かといって、ありとあらゆる動物の知識が頭に入っているわけではない。

 とにかくヨウスコウカワイルカ(今世紀に入って絶滅したと考えられている)と並んで、中国では環境保護のシンボルとして扱われる魚だ。最大で5メートルにも成長し、もちろん希少。長江にできたダムのせいで産卵場所が限られ数が減っている。バイオロギングによる生態・行動研究は、保護のためにも欠かせない。データの解析のためには、チョウザメのことを知らなければならない。

「たまたまその時に所属していた研究所(東大大気海洋研・国際沿岸大気海洋研究センター)の近くにチョウザメの養殖センターがあったので、買ってきて解剖したら、おもしろいことに気づきました。魚の浮き袋は、人間の肺とは違って消化管から独立しているものが多いんですが、チョウザメの場合、肺のように消化管と直接つながっているんです──」

 古いタイプの魚では、消化管と浮き袋がつながっている場合がある、と魚類生理学の本には書いてあるそうだ。そして、チョウザメはまさにそれにあてはまった。海の哺乳類と同じように水面に出て、浮き袋の空気を補給しなければならない。

 その点に着目すると、一気に解析が進んだ。

「チョウザメは、深く潜ると溺れる」と渡辺さんは表現した。

 もちろんエラ呼吸できるので、文字通り溺れて死んでしまうわけではない。ただ、消化管につながった浮き袋は深いところにいくと潰れてしまい浮力を失う。現代的な魚類なら、ガス腺を通じて血液中のガスを浮き袋の中に供給し膨らんだままに維持できるが、チョウザメはそれができない。

 結果、水深によって、まったく浮力が変わり、それに伴い行動も違ってくる。浅い水深ではほぼ中性浮力になるようで、しきりと尾を動かしては積極的な採食行動を取る。100メートルを超える川底に潜った個体は、まるでカレイのような底魚に似て、あまり動かず、「待ち」の採食行動をとっているようだ。

 もっとも「溺れた」状態での行動は、本来のものではないかもしれない。ダムの別の場所で調査をすると、100メートルを超える深いところには潜っていかない。ダムによってできた不自然な深さ自体が、カラチョウザメに悪影響を与えているのかもしれない。ひとたび深く潜って浮力を失うと、泳力との関係から水面に戻ってこられない可能性もあると渡辺さんは考えている。その場合、カラチョウザメが「溺れている」という表現はまさにリアリティのあるものになる。

・・・・・・明日に続く・・・・・

◇ 皇帝ペンギンの営巣地と南極点への旅 ◇

・・・https://youtu.be/5_fWBsLfYmM・・・

動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください

//////参考資料/////// 

■□参考資料: 南極なう!/ 渡辺佑基「ペンギン、クジラの大スペクタクルショー」 (1/2) □■

「「しらせ」はついに真っ白な氷海を抜け、オーストラリアに向かって速度を上げた。氷の張っていない藍色の海が甲板から見えたときは、誰からともなく「おおっ」と声が上がったものである。それはしばらく忘れていた日常の光景が突然目に入ってきたからだけでなく、南極は終わった、仕事は終わったという感慨が胸に押し寄せてきたからに違いない。

それだけでもテンションの上がるところを、さらに盛り上げてくれたのは2日連続の大スペクタクル動物ショーである。初日を飾ったのはコウテイペンギンたち。「しらせ」がゆっくりと氷海を抜け、開けた海に入るちょうどその境目のことである。私が舳先に立って景色を眺めていると、コウテイペンギンの20羽ほどの集団が氷の上に立っているのが見えた。

コウテイペンギンはその名の示唆するように世界最大のペンギンであり、よく見られるアデリーペンギンの倍の背丈はあるので、一目でそれと知れる。さらによく見ると、すぐ横の海面にも何十羽というコウテイペンギンが浮いており、それらが次々と氷上に飛び出してきて合流したので、総勢50~60羽の大集団になった。

次回“渡辺佑基「ペンギン、クジラの大スペクタクル動物ショー」”に続く・・・・・

◆ Emperor PENGUIN 皇帝ペンギン(南極大陸)4K (UHD) ◆

・・・https://youtu.be/bQSQ009k4tE・・・

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=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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