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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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めくるめく知のフロンティア・学究達 =039= / 渡辺佑基(09/mn)

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地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・安藤寿康

【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

◇◆ 渡辺佑基・おぼれるチョウザメ、翼を持ったマンボウ =2/2= ◆◇

マンボウは実は飛んでいた

 渡辺さんがかつて在籍していた東大大気海洋研・国際沿岸大気海洋研究センター(※)は、岩手県大槌にあり、地元の漁船は毎日のようにマンボウを漁獲していた。

 ちなみに、ぼくはかつてイルカにまつわる取材で大槌を訪ねたことがあり、マンボウの刺身を食べた。イカとゼラチンの中間のような独特の食感で、たいそうな珍味だった。しかし、市場価値は低い。極端に「足が速く」て、近場の盛岡に出荷してもすぐに水分が滲みだしぐしゅぐしゅになってしまうのだそうだ。だから、地元消費が中心になるし、珍味の類だから大量消費というわけにもいかず……自然と市場価値は低くなる。

 渡辺さんは、そのマンボウに目を付けた。

「漁船が出ると毎日のようにかかってくるから調べたい放題で、しかも、論文検索をしても何も出てこないくらいに調べられていない。だいたい50頭か60頭は解剖しましたね。それと、漁船に乗って、2年間で5個体にロガーを付けました」

※岩手県大槌にある東大大気海洋研・国際沿岸大気海洋研究センターは東日本大震災で被災し、現在は復旧の途上にあります。

 ふんだんに解剖できるマンボウが手に入り、なおかつ、データロガーも付けられるという環境の中、渡辺さんが発見した事実で、ぼくが驚いたのは2点。

 ひとつは、マンボウの遊泳速度が時速2キロ程度と、サケなどが外洋を泳ぐ時のスピードと変わらないこと。また、100メートルくらいの潜水と浮上をくりかえしていること、など。マンボウというと、いつも海面上にぷかぷか浮いているのんびり屋というイメージだったのだが、意外に活動的らしい。

 そして、もうひとつ、マンボウの泳ぎ方についての発見は、もう衝撃的と言ってよいものだった。

「尾びれのない変な魚です。ロガーのデータを解析した結果、上下につきだした背びれと尻びれを、ペンギンの翼と同じようにして使って泳いでいることが分かりました。つまりペンギンが、90度回転して縦むきに羽ばたいているのを想像してください。生き物の世界でこんな推進の仕方をする動物はいないんじゃないでしょうか」

 いやー、これにはほんとうにびっくりした。

 水族館などでマンボウが不思議な泳ぎ方をするのは知っていた。たしかに、背びれと尻びれを同時に同じ方向に打つ。言われてみて始めて気づいた。これは、ペンギンの泳ぎ方を縦にしただけなのだ。生物界どころか、人工物でもこんな推進法をとるものはないのではないだろうか。

 さらに渡辺さんは、解剖できる個体に不自由しないことから、各成長段階で背びれと尻びれの大きさが同じであること、また、それらを動かす筋肉が、付き方こそ違うものの等量であることも示した。

 まさに、マンボウは、水の中を「縦になって」飛んでいたのだ。

 バイオロギングによる、生き物の動きの詳細なデータと、解剖学的な知見を組みあわせると、かくも興味深い結論が導かれる。先に紹介した「おぼれるカラチョウザメ」もまさにそういう事例だった。

次回“フィールドは「未踏の大地」”に続く・・・・・

◇ 巨大マンボウも出現!! バリの海 ◇

=文中A動画コード挿 入=

・・・https://youtu.be/8jdvnsOJjdg・・・

動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください

//////参考資料/////// 

■□参考資料: 南極なう!/ 渡辺佑基「ペンギン、クジラの大スペクタクルショー」 (2/2) □■

 ところどころ巨大な氷山を閉じ込めた真っ白な氷原をバックに、ペンギンたちは一斉に隊列を組み、するすると腹滑りしながら船のすぐ脇まで寄ってきた。そしてしばらくその場に突っ立ち、「しらせ」のオレンジ色の船体を眺めているふうであったが、急に興味を失ったようにまた腹滑りを始め、みるみるうちに氷原の彼方へ消えていった。

 その翌日、海洋観測のために停船中の「しらせ」の周りに現れたのは、今度はザトウクジラの群れである。双眼鏡でやっと確認できるほどの距離にいたクジラの群れが、どんどんこちらに向かって泳いできて、船体にぶつかりそうな距離まで近づくと、しまいには「しらせ」の周りをぐるぐる回り始めた。

 あるいはシュウッッッっと潮を吹き、あるいはフヮオオゥオーーーーーっと恐竜のような雄たけびを上げ、巨大なクジラたちが10頭以上からみ合うように潜ったり浮上したりしながら、すぐ目の前をまわり続ける大迫力!

 クジラの吹く潮を顔に浴びたのは生まれて初めてだった。

“渡辺佑基「日本けん玉協会南極支部」”につづく

◆ 南極海の風景(2018/19新南極海鯨類科学調査) ◆

・・・https://youtu.be/NEmClEuX-IA・・・

・・・・・・・・・・☆・・・・・・・・・・・

=上記本文中、変色文字(下線付き)のクリックにてウイキペディア解説表示=

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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