地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン
つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで
インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う
驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・安藤寿康
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ 渡辺佑基・学界のインディ・ジョーンズ =4/4= ◆◇
フィールドワークでは「指向性のあるアンテナで電波を拾うんですが、湖の水面の高さだと、せいぜい4~5キロくらいさきまでしか分からないんです。バイカル湖はバカ広いので、仕方なしに近くの山に登って、ひたすらアンテナを振って電波を探しました。アザラシの調査してるんだか何だかわからない。それで、電波を見つけたら急いで降りて、そっちの方向にボートで突き進んで探すという、湖の動物の調査とは思えないようなものでしたね」
もっとも、このような苦労は、遊泳力があり、ロガーの装着場所から長距離泳ぐことができる動物の場合、定番のようだ。渡辺さんの研究仲間には、この「うき付き」ロガーを紀伊半島でマッコウクジラに装着し、いったん見失ったものの、執念で富士山にまでのぼり、最終的には静岡県御前崎沖で回収した猛者がいる。
いずれにしても、バイカル湖での成功で、「泳ぎ去ってしまう」タイプの動物にも、ロガーを装着し回収できる目処が立った。
渡辺さんのインディ・ジョーンズ的快進撃はここから始まる。
なお、バイカルアザラシについて、渡辺さんが遊び心ある仕込みをして、楽しい結論を導いているので、紹介しておく。
バイカルアザラシは見た目にも、はち切れんばかりにぱんぱんに膨らんだ体型をしている。体脂肪率はどれくらいなのだろうか、と疑問に思う。人間なら専用の体重計に乗れば数秒で答えがでるが、アザラシの場合、捕殺して組織ごとに分けて重量をはかるという「野蛮な」方法になってしまう。
渡辺さんは一計を案じた。
ロガーのほかに、1.5キログラムの重りを装着し、ロガーで記録をとっている最中に切り離したのだ。
こうすると、重りがある状態(重りは脂肪より密度が高いので、体重は重くなっているのに逆に少し痩せている状態を人工的につくりだしたことになる)と、重りがない状態(同、太っている状態)との比較から、体脂肪率が求められるという。
詳しい計算方法はややこしいので割愛して、結論だけ述べると、バイカルアザラシの体脂肪率は45%! 人間なら完全にメタボリック症候群という結論になった。
このように、バイオロギングは、工夫によって、様々な結論を引っ張り出せるのが、実に楽しいところなのだ。
次回“おぼれるチョウザメ、翼を持ったマンボウ”に続く・・・・・
◇ アデリーペンギンがやってきた ◇
・・・https://youtu.be/-iXlc2saa5g・・・
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//////参考資料///////
■□参考資料: 南極なう!/ 渡辺佑基「ペンギン調査終了」(2/2) □■
「餌とり当番」の親ペンギンたちが海氷上に数十羽も群れ集っていることがあった。皆、いちはやく海に飛び込んで仕事を済ませたい気持ちはやまやまなのだが、天敵のアザラシが待ち受けているかもしれず、二の足を踏んでいる。しかし、勇気ある1羽が先陣を切り、ガーと鳴きながら飛び込むと、他のペンギンたちも堰を切ったようにガーガー鳴き交わしながら海になだれ込んでいき、あとにはしんとした静寂ばかりが残る。そうして1~2分後、餌をとり終えたペンギンたちが同じ場所からシュポン、シュポンと次々に海中から飛び出してくる。
調査では、餌をとりに出かける親ペンギンにGPS、加速度センサー、ビデオ等の計測機器をとりつけ、帰ってきたところを回収する作業を繰り返した。機器のトラブルでがっかりしたこともあったけれど、ひとの目では追い切れないペンギンの行動パターンが様々なセンサーによってつぶさに記録され、ダウンロード時に大興奮したことも多かった。
1日の調査が終わり、ぐったりと疲れた体をふかふかの寝袋にすべり込ませるのが至福のひとときだった。外から聞こえるカァカァというカラスに似たペンギンの鳴き声が、このときばかりは邪魔だったけれど。
次回“渡辺佑基「ペンギン、クジラの大スペクタクル動物ショー」”に続く・・・・・
◆ アデリーペンギン大集合! ◆
・・・https://youtu.be/bnR4dkeXcHs・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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