DNAを分析すると 生物の進化の歴史を辿れる 人間でも同じこと
人間の細胞にある「ミトコンドリアDNA」というモノを扱って
ミイラや古い人骨などからそのルーツを解明、「人間とは何か」を問う
国立科学博物館人類研究部研究グループ長 / 篠田 謙一
【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】
(文=川端裕人/写真=藤谷清美、& イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ ミトコンドリアDNAでわかった人類の歴史 =2/2= ◆◇
「──まず、有利なのは、核が1つの細胞に1つなのに比べて、ミトコンドリアは数百個もあるんです。それに、1個のミトコンドリアの中にもミトコンドリアDNAは5~6個あります。だから、1細胞につきだいたい3000個くらいはミトコンドリアDNAがあることになるんですね。それと、サイズが小さくて扱いやすい。核DNAに比べて20万分の1くらいの大きさですから。古代の骨から出てくるDNAは、大体みんな壊れてるんですけれど、元の数が多いのとサイズが小さいのとで、ミトコンドリアDNAの場合は復元しやすいんです」
「──今、ミトコンドリアDNAで一番長いやつで200塩基対ぐらい。短いやつで100から140塩基対ぐらいでやっているんです。短いのを読もうとすると、手間がどんどん増えていきます。それで、そういった断片をもとに1万6000塩基対くらいあるミトコンドリアDNAを復元するわけです。その作業はコンピュータがやってくれるんですが」
ちなみに、最近、ドイツのマックス・プランク人類史研究所が、ネアンデルタール人の骨から核DNAを取り出して分析するのに成功した。その結果、初期の現生人類がネアンデルタール人と交雑していた可能性があることを示唆し話題になった。
この研究で、使った試料では、ネアンデルタール人の核DNAは、一番長いものでも80塩基対くらいのつながりしかなかったそうだ。ここから30億塩基対もある核DNAを復元するのは、いかにコンピュータの助けを借りても、大変な労力だったろう。
現時点においては、数多くの試料を使い、「人類の歴史」全体を俯瞰するような研究をしたい時には、サイズが小さく、復元もしやすいミトコンドリアDNAを使うことは理に適っている。もっとも、ミトコンドリアDNAでの分析には、「母系しか反映されていない」という制限が加わることを必ず意識しなければならないのだが。
母系ということから考えて今生きている人たちの母方の先祖をどんどん辿っていくと、理論的には、たった一人の女性に行き着くことになる。
この女性のことを、ミトコンドリア・イヴと呼ぶ。あまりにキャッチーすぎて、誤解を招くことがあるため、篠田さんは自分ではこの言葉は使わないそうだ。それでも、やはり、魅力的な概念には違いない。
次回“ヒトの進化はアフリカ限定だった!”に続く・・・・・・
◇ 弥生人渡来説の嘘! 〜なぜ弥生時代に生活が質素になったのか〜 ◇
・・・https://youtu.be/QwgK9s42Oxk?list=PLlC3I1HrmA24u1ygVh9lnZbzeURQ5zAZk・・・
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//////参考資料///////
■□ 参考資料: DNAで読み解く日本の古代史(3/6) □■
第4章 アジアへの二つの道筋
アフリカから東アジアへの拡散を考えるときに大まかには二つのルートが想定されます。一つは南アジアを経由するもの、もう一つはヒマラヤ山脈の北を通過する経路です。一般にはインドの人たちは言語や考古学からヨーロッパ人と同系の人たちと考えられていましたが、実に60%はMの系統に属するものでした。ハプログループMは南ルートでユーラシア大陸を進んだと考えられます。
もう一つの中央アジアルートでは、この地域を対象とした詳細なDNA研究が行われておらず、この本が書かれた時点では人類拡散の様子を再現することはできませんでした。南北アメリカ大陸について、最近の学説では先住民は大きく三つのグループ、南北アメリカの大部分の先住民を占めるアメリンド、アメリカ北西部に住むナデネ、さらにエスキモー(イヌイット)・アリュートに分かれます。
言語学の研究結果から導かれた移住のシナリオは、形態人類学や遺伝学的な研究結果が必ずしもそれを支持してはいません。今のところアメリカ先住民とアジアの広い地域の集団が共通の祖先を持つ可能性があるという程度に理解しておくのが妥当のようです。
第5章 日本人の持つミトコンドリアDNA
日本人の由来を考えるとき、今日本に存在するすべてのハプログループの系統を個別に調べていけば、その総体が日本人の起源、ということになります。下記のリンク(http://www.terumozaidan.or.jp/labo/technology/10/03.html)の先に割合のグラフがあります。
日本人にもっとも多いハプログループはDです。D4、D5の双方で日本の人口に占める割合は四割弱となります。ハプログループD4と5は中央アジアから東アジアにかけてもっとも優勢なハプログループで、朝鮮半島や中国の東北地方の集団でも、この二つがおおむね人口の三割から四割を占めています。
ハプログループDは、誕生したのも古いし、アジアの広範な地域に存在しているので、このグループが日本にいつ、どのように入ってきたかを推定することは非常に困難です。実はハプログループD4は、他のハプログループに比べて、非常に細かく分類ができることが知られていますが、細分類のためには、ミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定する必要があります。
明日に続く・・・・・
Y-DNAから日本人のルーツを想像してみた ◆・・・https://youtu.be/43Hbp27OYas?list=PLlC3I1HrmA24u1ygVh9lnZbzeURQ5zAZk・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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