≡ 世界の人口は2050年までに90億人に達し、十分な食料を確保できるのか ≡
= 美しい森や湖、サウナ、サンタクロース、ムーミンなど、愛らしいものが =
- フィン人の言葉はウラル諸語との類似し、アジア人特有の染色体が見出される -
覇国スウェーデンと強国ロシアからの侵略と占領が長く続いた
【この企画はWebナショジオ_「世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅」】
(文=中川明紀・ライター、編集者 イラスト・史料編纂=涯 如水)
◇◆ サウナ以上に愛すべき存在?!フィンランドの国民食 3/3 ◆◇
なるほど、と頷きながら「昔」という言葉でふと思った。伝統的だというレイカレイパはなぜ穴が開いているのだろう。
「今のような保存技術がなかった時代、夏にライ麦を収穫すると冬に食べる分までパンをつくりました。その際に真ん中に穴を開けて棒に通し、天井から吊るして乾燥保存したのです」
穴はその時の名残だとアキさんはいう。しかし、乾燥したらもっとかたくなるのでは……。そう聞くと、「スープに入れたりしてふやかして食べたんです」と教えてくれた。ちょうど店頭に乾燥させたレイカレイパが飾ってあったので触ってみたが、薄い板なら釘を打てるんじゃないかってくらいかたい。後ろで「私もこんなにかたいのは食べたくないですね」とアキさんは笑っていた。
ただ、日持ちがするうえ時間をおくほど酸味が強くなるので1~2日置いて酸味を楽しむことは多いそうだ。持ち帰ったレイカレイパを翌日食べてみたが、確かに酸味が強くなっていた。フィンランド大使館のコッコさんは「祖母は手づくりのライ麦パンを食べさせてくれました。幼い頃ですがとても美味しかった記憶があって私は焼き立てが好きなんです」と言っていた。好みは人それぞれだ。
そのコッコさんがもう一つ、ライ麦粉を使った国民食があると話してくれていた。レイカレイパなどのライ麦パンほど日常的ではないが、クリスマスや誕生日、結婚式のお祝いなど特別な時に欠かせないものだという。
「カレリアンピーラッカ(カルヤランピーラッカ)ですね。ライ麦粉と小麦粉でつくった生地を薄くのばし、ミルク粥を包んで焼いたパイです。カレリアンピーラッカとはカレリア地方のパイという意味。もともとはカレリア地方で食べられていたもので、1000年くらい前には原型のようなものがあったといわれています。今では全国的に愛されていますよ」とアキさん。
カレリア地方はフィンランド南東部とロシア北西部にまたがる地域だ。これも簡単につくれるものではないそうだが、カレリア地方の出身であるコッコさんの奥様は得意で日本でもつくるという。
「結婚する前、初めてクリスマスに妻の実家に行った時にカレリアンピーラッカをつくってくれました。しかも300個も。5人くらいしかいなかったのでたくさん食べました。焼きたての温かいカレリアンピーラッカは本当に美味しい」
300という数をほほえましく思い出しながら、ライ麦ハウスベーカリーのカレリアンピーラッカを食べた。ほのかな酸味をミルク粥の甘みがやさしく包み込む。子どもも好きそうなパイだ。
フィンランドも最近は日本と同じように食が多様化し、小麦粉の白くてやわらかいパンを好んで食べる若者が増えている。しかし、コッコさんはお子さんに健康的だからライ麦パンを食べるよう教えているという。アキさんは自身の若い頃を振り返ってこう言った。
「僕もふわふわのフランスパンに憧れたことがありました。でも、両親に言うとライ麦パンをしっかり食べなさいと言われたなあ。当時はなぜだろうと思ったけれど、いまは自然と恋しくなるし食べると体が喜ぶ。大人になるとライ麦パンのすばらしさがわかるんですよ」
ライ麦パンの酸味とかたさが生む味わい深さはフィンランド人のソウルにしっかりと根付いている。これからもずっと受け継がれていくのだろう。
ライ麦ハウスベーカリー 神奈川県鎌倉市小町2-8-23 電話:0467-24-0229
ホームページ:https://raimugihausu.stores.jp/
・・・・・次回以降、新シリーズ”新・人類進化の道”を記載します・・・・
◇ 北欧の国から シナモンロールとコーヒー ◇
・・・https://youtu.be/9kXljjfpSYM・・・
//////参考資料///////
■□参考資料: フィンランド料理(3/3) □■
フィンランド料理 /
素材の味が伝わるシンプルな料理
フィンランドという響きからは、美しい森や湖、サウナ、サンタクロース、ムーミンなど、愛らしいものが連想されます。主要民族であるフィン人の言葉はウラル諸語との類似点があり、またフィン人にはアジア人特有の染色体が見出されることから、フィン人のルーツの1つはウラルから西方へ移動してきた人々であると言われています。西にはかつて広い版図を持っていたスウェーデン、東には大国ロシアがあるため侵略と占領の歴史は長く続きました。それでも民族は団結し、フィンランドは独立を果たしました。
フィンランドは、食文化の点からは、北国ゆえ、食べるものの種類はあまり豊富ではありません。作物は温帯地域の方が圧倒的に豊富ですから、ギリシャやスペインなど太陽降り注ぐ南欧の料理と比べると、食材や料理のバリエーションは少ないという印象を抱きます。
主要な食材は、ライ麦のパン、じゃがいも、カブなどの根菜、湖水や海域の魚、森のベリー類やきのこ、狩猟した動物の肉、酪農で得る乳製品など。香辛料類も元来あまりなく、味や風味づけは、主には塩、ディル(セリ科のハーブ)、ベリー類、乳製品に依ります。チーズ、生クリーム、バターなど、乳製品が入ると料理はぐっと贅沢に美味しくなりますよね。
昔はきっと暖炉の火が熱源となって、ことことと煮込む料理や暖炉の釜で焼く料理が多かったのでしょうね。生活のインフラが高度に整い、農業技術の向上により野菜を多く作れるようになり、EU内自由貿易から多種多様な食材がスーパーに並ぶ今も、フィンランド料理には、昔をしのぶような、素朴な鍋料理やオーブン料理が多いのです。それは、素材の味がシンプルに伝わる料理です。
主食 Staple
気温と日照時間の関係から耕作の適期は短く、フィンランド人の主食は、ルイス(ライ麦)と根菜類(主にカブ)に強く依存してきました。18世紀にドイツからじゃがいもが伝来してからは主食のバリエーションは増えました。リーシ(ごはん)やペルナ(じゃがいも)が食卓に乗るときもありますが、それらがあってもレイパ(パン)が必ずあり、リーシ(ごはん)やペルナ(じゃがいも)は付け合わせの位置に近くなります。
基本の主食はレイパ(パン)です。基本的に硬くて重いパンです。原料も形もいろいろあって、パンの種類が豊富であることはフィンランド料理の特徴の1つのようです。
基本のパンは、ルイスレイパ(ライ麦のパン、ルイス=ライ麦)です。日本で黒パンと呼ばれるように醤油のような濃い色をしています。生地は発酵して酸味があるのでハパンレイパ(酸っぱいパン)とも呼びます。シヒティレイパはライ麦と小麦のミックスパンです。ペットゥレイパ(ペットゥ=樹皮)は松の樹皮を粉にしたものをライ麦粉と混ぜて作るパンです。19世紀の飢饉ではよく食べられ、その後も戦争中の食糧不足時にもよく食べられました。現在は健康志向の高い人に好まれているパンです。
レイパ / リエスカ/ ペルナリエスカ / マイトリエスカ / リンプ / ペルナリンプ / ナッキレイパ / レイカレイパ 等々地方色豊かなパン・パンケーキがあります。
次回・新説に続く
北欧の国から 北欧独特の味覚 ◆・・・https://youtu.be/nFGTkj9hqUg?list=PL8l9AInoZkGWTWvoNZrf4t7o6V2v4_obu・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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