○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
○ 世界中を飛び回り、恐竜の姿を求める / 小林快次 ○
◇◆ 第二回 恐竜化石の“掘り出し方” =2/2= ◇◆
巨大な腰の骨を発見する。 しかし、待っていたのは、その期待に反した結果だった。 腰の骨しか残っていない・・・。
胴体や頭があるはずの場所をいくら掘っても、軟らかい砂岩で、骨が出てこない。 先端にハンマーのような「こぶ」がついているはずの尻尾はどうかと、腰の後ろの部分を一生懸命掘ってみる。
しかし、尻尾も無くなっている。 まるで、ちょうどお腹のところだけを残して、すべてを何かに切断されたかのように、腰の部分しか残っていない。
悔しさのあまり、奥歯を噛みしめる。 このヨロイ竜の頭骨や尻尾は、死後流されてしまい、保存されなかったのだろう。
「腰の部分だけでもすごい発見だよ! これを掘り出して研究しよう」。 ユンが私の肩を叩きながら、優しく声をかける。 さっきよりもハンマーを叩く速度は落ちたが、目の前の巨大な腰の骨を掘り出すことに集中した。
さっきまで、この巨大さに歓喜していたが、今はそれが憎しみに変わっている。
「こんな大きな腰の骨・・・。大きいだけだ」
次々と見つかる不可解な骨
周りの岩を外側から骨に向かって掘り込み、腰の全体像を把握する。 どんなに周りを掘り込んで小さくしても、直径2メートルほどの大きな固まりよりも小さくできない。 これでは掘り出したとしても、運び出すことすらできない。
そこで私たちは、その腰の固まりを何とか分割できないかと模索する。 狭い骨と骨のすき間を探し、それを皮切りに、大きな固まりを小さな固まりにして取り出す作業だ。 世界各地で恐竜発掘を行っている私たちでも、かなり困難な作業だった。
腰の骨がちょうど「かご」のようになっていて、その中をほじくっていく。 本来なら何も無いはずの腰の中。 それなのに、次々と部位不明の骨が見つかる。
「邪魔だな・・・」とつぶやきながら掘っていると、表面がごつごつしている骨にぶち当たる。 こんな骨、腰の中にあるはずがない。
おかしいなと思いながら、そのごつごつしている骨の表面を出してみると、大きな卵を縦に二分した片割れのような形をしている。 最初はわからなかったが、もう半分が出てきて、それが何か、ようやくわかった。
「ヨロイ竜の尻尾だ!!!。 尻尾の先端についている、ハンマーのようなこぶだ!」
こんなこともあるもんだと感心しながら、こぶの先端からたどっていくと、つながった尻尾の骨が続く。 なぜなのかはわからないが、尻尾は根元で180度折れ曲がり、腰の骨の中へと伸びていた。 そして、尻尾の先にあるこぶまでが残っているという偶然だった!
この尻尾を回避しつつ、大きな固まりを分割していかなければいけない。 運良く、尻尾の真ん中あたりで亀裂が入っている。 この亀裂を利用すれば、ダメージを最小限にして尻尾を取り出し、固まりを分割できるかもしれない。
これまで1人でやっていた尻尾の発掘作業を、ユンと2人で手分けした。 ユンは瘤(こぶ)の部分を、私は尻尾の脊椎の部分を担当した。 どんどん掘り込んでいくと、尻尾の保存状態の良さがわかってくる。 尻尾は複数の椎骨(ついこつ)でできているが、重い骨の固まりであるこぶを支えるように、ずらっとつながっている。
掘り進んでいくと、表面がごつごつした骨が出てきた。 「こぶにたどり着いたかな?」と顔を上げ、ユンの顔をみる。しかし、彼が作業している骨は、私の目の前にあるごつごつしている骨から、数十センチ離れている。
こぶがもう1つあるのかと疑問に思いながら、ごつごつした骨の周りをもう少し掘り込んでいく。
どうもユンが作業しているこぶとは違う。 表面のごく一部だが、露出した骨の形はまるで皿のような形をしている。その“皿”の下側はざらざらだが、内側はざらざらしていない。 不可解な形である。
「ユン、何だと思うこれ?」
するとユンも、「こっちからも、三角錐の表面がざらざらした骨が出てきた。 こぶじゃない。 ヨシの骨とつながっているのかな?」
しばらく2人に沈黙が走る。 顔をかしげ、角度を変えながら、この骨が何か考える。 顔をほぼ逆さになるくらい回したときに、パズルが解ける瞬間が来た! ひらめいた私は大きく目を見開き、ユンの顔を見た。
まるで鏡を見るかのように、ユンも私と同じ顔をしている。
「頭だ!!!」 ・・・・・2人は叫んだ。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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