≡ 世界の人口は2050年までに90億人に達し、十分な食料を確保できるのか ≡
= 生のタマネギはイチゴ位の甘みを持っている =
- 古代エジプト王朝時代には、ニンニク等と共に生のタマネギが労働者に配給されていた -
玉ねぎの皮を剥くように、古き良きこの食材を裸に・・・・・
ここに一つの未来図がある
【この企画はWebナショジオ_2014年4月~2014年12月期、35回記載に追記・補講した】
(文=Rebecca Rupp/訳=三枝小夜子 イラスト・史料編纂:涯 如水)
◇◆ 涙なくして語れないタマネギの歴史 =1/2= ◆◇
これまで人が食べたタマネギで一番高価だったのは、1630年代にチューリップを運ぶ船に乗っていたある船員が食べたものだろう。少なくとも、食べた本人はそれをタマネギだと思っていた。
時は、ヨーロッパがチューリップに沸いていた「チューリップ・バブル」の時代。中東からもたらされたこの植物は投機の対象となり、品種によっては天文学的な値段がついていた(その後バブルははじけ、多くのチューリップ投機家が破産する)。
うっかり者の船員がタマネギと間違って食べてしまったのは、チューリップの中でも特に高価なセンペル・アウグストゥスという品種の球根だった。この球根は一般市場では1個5500フロリンという高値で取引されていた。5500フロリンと言ったら庶民の年収の10倍以上に相当する額。これを知った船員は、どうりでずいぶんまずいタマネギだったと言ったという。
古代ローマ軍を奮い立たせた
タマネギは、ニンニク、エシャロット、ラッキョウなど700種あまりの仲間が知られるネギ属の一種。感覚を強烈に刺激するタマネギとその仲間は、歴史的に悪霊や吸血鬼、ヘビ、トラ、ペスト、風邪にいたるまで、ありとあらゆる厄介者を撃退すると信じられてきた。
タマネギの仲間は戦いとの関係が深い食材だ。古代ギリシャではオリンピック競技への出場をめざす運動選手にタマネギを食べさせていたし、古代ローマの剣闘士はタマネギの汁でマッサージをしてから闘技場に入場した。
ネギ属の植物をヨーロッパじゅうに広めたのはタマネギ好きの古代ローマ軍だったという。専門家によると、ニンニクの栽培地の広がりからローマ帝国が拡大する様子がわかるらしい。敵と戦う力と勇気を高める作用があると信じられていたタマネギやニンニクは、ローマ兵にとっておいしいだけでなく、軍事上も有用な食材だった。人々は闘鶏や軍馬の闘争心を高めるためにニンニクを食べさせていたし、アリストファネスの紀元前5世紀の喜劇『騎士』には、兵士たちが戦いに備えてニンニクを腹いっぱい食べる場面がある。
催涙作用と薬効
タマネギ自体も、よくできた「戦う機械」だ。タマネギを噛んだり、かじったり、スライスしたりして傷つけると細胞が損傷されたことを察知したタマネギは、ある種の酵素を出す。この酵素は、ふだんは無害の化合物に作用して、におい成分や目に痛みを与える分子を大量に放出する。
これはタマネギが動物による攻撃から身を守るために進化させた機構である。タマネギを食べてこの強烈な忌避剤をくらった動物の大半は、二度と食べてみようとしなくなる。
タマネギをナイフで切ると発生する催涙物質は、syn-プロパンチアール-S-オキシド。切って数秒もしないうちに、この物質が目の角膜に飛んできて神経終末を活性化する。刺激物質を検知した神経終末は、涙腺にシグナルを送って涙を分泌させ、侵入物を洗い流そうとする。
対策としては、タマネギを切るときにはゴーグルをする、換気扇を回す、冷たい流水中で切るなどの方法があるが、どれも絶対に大丈夫とは言えない。 われわれをひどい目にあわせるタマネギだが、役に立つ面もたくさんある。タマネギやニンニクの汁は、あまり強くない抗生物質である。
明日に続く・・・
◇◆ 玉ねぎの皮茶は現代病を防ぐ最強な万能薬! ◆◇
・・・・・・ https://youtu.be/RymtEBiHsxI ・・・・・
//////参考資料///////
■□ 参考資料:タマネギ(1/2) □■
タマネギ(玉葱、葱頭、学名:Allium cepa)は、ネギ属の多年草。 園芸上では一年草もしくは二年草として扱われる。主に球根(鱗茎)が野菜として食用とされるほか、倒伏前に収穫した葉(葉タマネギ)もネギと同様に調理できる。色、形状、大きさは様々である。種小名/cepa はラテン語で「タマネギ」の意味だが、かつて日本では、中国語由来の「葱頭」と書いてタマネギと読んでいた。
栽培種としてのタマネギ / 栽培の歴史 : 原産は中央アジアとされるが、野生種は発見されていない。栽培の歴史は古く、古代エジプト王朝時代には、ニンニク等と共に労働者に配給されていた。地中海沿岸に伝わったタマネギは、東ヨーロッパ諸国では辛味の強い辛タマネギ群、南ヨーロッパでは辛味の少ない甘タマネギ群が作られた。これらの両系統は16世紀にアメリカ大陸に伝えられ、様々な品種が作られた。
その一方、原産地から東のアジアには伝わらなかった。日本では江戸時代に長崎に伝わったが、観賞用にとどまった。食用としては、1871年に札幌で試験栽培されたのが最初とされ、1878年、札幌農学校教官のブルックスにより本格的な栽培が始まった。その後の1880年に、札幌の中村磯吉が農家として初めて栽培を行った。
品種の系統としては、アメリカから導入された春まき栽培用の「イエロー・グローブ・ダンバース(Yellow globe danvers)」という品種が「札幌黄」という品種に、秋まき栽培用は1885年、大阪に「イエロー・ダンバース(Yellow danvers)」という品種が導入され「泉州黄」に、フランス系の「ブラン・アチーフ・ド・パリ」が「愛知白」に名を変えて、それぞれ地域に定着化した。
現在では、大手種苗会社によるF1品種が殆どを占めている。特に、株式会社七宝による一連の品種は乾腐病に対する抵抗性を持ち、長期貯蔵性などにも優れ、平成16年度民間部門農林水産研究開発功績者表彰の農林水産大臣賞を受賞した。 2005年の世界生産量は約65 000 000トン。
日本での生産量は1 154 000トン、作付面積は2万4千㌶である。そのうち北海道が生産量約660 000トンt、作付面積12 500㌶と、全国生産量の約5割強を占める。北海道に次いで佐賀県、淡路島、愛媛・長崎・静岡県に泉州地区が主な産地である。
・・・・・・次回へ
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_ 品種改良から始まるタマネギ物語 _
・・・・・・ https://youtu.be/Zigbl4MTYoc ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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