〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =104/終節= 毒蝶、幼虫からサナギになる劇的瞬間をとらえた ◆◇
前回に引き続き、今回は「毒蝶の一生 後編」をお送りします。 卵から育て始めたドクチョウの一種、ヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌス(以下、モンタヌス)は卵から孵化して2週間、脱皮を重ねて5齢(終齢)幼虫に成長した。
さらに5日後、体ははちきれんばかりになり、葉や茎を食べるのをやめてウロウロし始めた。サナギになる場所を探しているのだろう。 幼虫がサナギになりやすいように、飼育袋の中に枯れた枝を設置した。すると幼虫は枯れ枝の上をくまなく歩き回り、翌日、ブラ~ンと逆さになってぶら下がっていた。色は元の淡いクリーム色から濃いクリーム色になっていた。
でも、これはまだサナギではない。もう1回皮を脱いで、はじめてサナギになる。 こまめに観察していると、夜中になって、ぶら下がっていた幼虫が時折ヒクヒクと体を動かし「軽く腹筋をする」ような仕草を見せた。いよいよか?
すると突然、幼虫の皮が「お尻」の方(ぶら下がっている付け根)へと動き出し、丸まっていた背中から白いサナギが姿を見せ始めた。そしてツノのような先端部分などが少しずつ伸びていき、色がしだいに濃くなっていった。 翌朝、サナギは「縮れた枯れ葉」のようになっていた。 サナギの下には、終齢幼虫の抜け殻が落ちていた。
それから2週間が経とうとするころ、サナギの表面の色がグッと濃くなった。羽化が始まるかもしれない。ぼくはサナギがついた枝を外へ持って行き、他の木の枝にくっつけた。様子を気にかけていると、その2日後のお昼過ぎ、気温が上がってきた時間、羽化が始まった!
3分ほどかけてサナギから出てきて、モンタヌスは翅を伸ばし、乾かして、同じ場所でぶら下がったまま夜を迎えた。 翌朝、森の中に陽の光が注ぎ始めたころ、その姿はなくなっていた。 ところで、ドクチョウの仲間は集まって「眠る」習性がある。夕方になると、1匹、また1匹とツル(蔓)のような細い枯れ枝に集まってくる。
集まっていれば、1匹が危険を察知してみんなが飛んで逃げることができるし、夜中でも「毒を持っている」ことを示すニオイをより強く周辺にアピールできるかもしれない。また、明るくなった時には翅の警戒色をより目立たせる効果があるだろう。
成虫となって飛び立っていったモンタヌスも、黒にオレンジとクリーム色のコントラストが鮮やかな翅を羽ばたかせ、花から花へと飛びまわり、仲間と寄り添って休んでいることだろう。 ・・・・・・続いてドクチョウの写真ギャラリーをどうぞ!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
Ӂ ハチドリ、小さなヒナの大きな巣立ち Ӂ
か~ゆいの~よ~♪ あまりのかゆさに、もう歌うしかない。乾燥する日が続き、ダニの仲間で目に見えないほどの大きさのツツガムシが増えている。手首、足首から股間まで、あちこちがかゆい。対策として、毎日洗うわけではない服や靴は、冷凍庫に入れて対処している(笑)。
4月は乾季から雨季への変わり目。雨季がそこまでやってきたか!と感じる日もあるのだが(次の動画)、そんな日はわずかで、風の強い12月に逆戻りしたような天候がほとんど。森の中を歩いてみても、サクッサクッ!と落ち葉の乾いた音がして、乾季にしか見られないテントウムシダマシ(第21回)やジャノメチョウ(24回)が確認できる。
そんな中、巣立ちを迎えた生きものがいる。コスタリカ北部の火山帯だけにすむ固有種のドウボウシハチドリ(Elvira cupreiceps)だ。オスの頭部が銅色に輝いて見えるので「銅帽子」。最近、ぼくはこのハチドリの子育てに立ち会うことができた。写真や動画で紹介しよう(ハチドリについては第68回と第69回でも紹介しています)。
ヒナに出会ったのは2018年の3月29日の朝。トイレで用を足していると、外から奇妙なさえずりが聞こえてきた。窓をそぉ~っと開けて、便器に上ってカメラを回した。 声の主は見当たらない、目の前から声が聞こえてくるだけだ(後に、トイレから聞こえた鳴き声の主を専門家に尋ねたところ、イエミソサザイのものとわかった)。 しばらくすると、ハチドリらしき鳥が飛んできて目の前で姿を消した。地上から高さ1メートルほどの枝に止まったようだ。でもそこには蜜を吸えそうな花は咲いてないし、ハチドリが休憩場所として止まるにしては低すぎるように見える。
トイレの裏へそっと出て、ハチドリが消えた枝に目をやると、そこに小鉢のような巣があった! 直径は約5センチ。植物の繊維をクモの巣の糸で綴ったもので、地衣類やコケで飾られている。 巣の中には、こげ茶色のハチドリのヒナが2羽。心地よさそうに寝ている様子だった。トイレを使う際は、余計に静かにしようと心得ることにした。
翌朝、ふたたび巣を見に行くと、ハチドリのヒナは一段と大きくなっていた(1ページ目、冒頭の写真)。著しい成長にはビックリだ。三脚を設置して、お昼前までハチドリたちの様子を動画で撮影してみることにした。 最初に映っていたのは、母親が口移しでヒナに食事を与える姿。オシッコを飛ばす瞬間も映っていた。オシッコをする前にモゾモゾする姿に心がモゾモゾさせられる。このあと、ぼくはヒナからオシッコをかけられたのだが、無色透明で、水のようだった。ニオイもしなかった。 さらに翌日の3月31日には、「羽ばたきの練習」も撮影できた! 巣立ちの時期が近づいているのだろう。
それから2日間(4月1日と2日)、ヒナは翼をブルブル震わせたり、くちばしで羽繕いをしたり、舌をチョロチョロ出したり、くちばしをパクパクさせたり、脚でかゆいところをかいたり、オシッコを飛ばしたり、寝たりしていた。 一方で、お母さんハチドリは、巣から5メートルほど離れた木に止まって、時折チュルルルッ、チュルルルッと鳴いていた。ヒナたちの巣立ちを促す声なのだろうか。
4月3日の朝、巣を見に行くと、そこにヒナの姿はなかった。巣立った? とはいえ、まだ成長途上のヒナが、ビュンビュン飛び回って花の蜜を吸っているとは思えない。と、そこへブ~ンブンブン、お母さんハチドリがぼくの周りを飛び始めた。ヒナはまだ、すぐそばにいるのかも。巣の周りを念入りに探すと、いた! 巣から斜め上2メートルほどの枝の上に1羽。
ぼくはすぐにその場を離れ、遠くから観察することにした。巣を離れたヒナのもとへお母さんがやって来て、食事を与えている! そして木々の合間を縫うように飛んでいく。お母さんは、巣を離れたもう1羽のヒナに食事を与えにいったのかもしれない。 夕暮れ時になっても、ヒナは同じ場所にいた。うまく飛び立てるのだろうか。天敵に襲われないだろうか。お母さんのほうは、ヒナから10メートルほど離れた枝に止まっていた(最後の写真)。
ところが翌朝、ヒナの姿は消えていた。少し森の奥へ入った木々の間を、お母さんハチドリがチュルチュルチュルルルと鳴きながら飛び回っている。日々、少しずつ少しずつ森の奥へと入った場所でお母さんの飛び回る声が聞こえていた。 でも数日後、家の近くでふたたびチュルルッ、チュルルッとハチドリの鳴く声が聞こえてきた。探してみると、地上から4メートルほどの枝に尾羽がまだ伸びていないハチドリがいた。あのヒナだろうか。くちばしは、だいぶ伸びていたように見える。そしてすぐに、シュッと森の奥のほうへ飛んでいった。
チュルルッ、チュルルッ。ヒナたちが巣立ってから1週間、家の周りで聞こえていた鳴き声は、今はもう聞こえない。 どんな旅が始まったのだろう?
・・・・・新企画へ
_ Manuel Antonio Costa Rica _
・・・・・・ https://youtu.be/zBrDVQ0WNjg ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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