〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =103= 1月の庭先に咲く花、飛び回る昆虫たち ◆◇
前回紹介し、飼育を始めていたハバチの幼虫たちはその後、どうなったかというと、飼育袋の中で少しずつ姿を消し、シダの根っこの土や朽木の隙間で繭をつくった模様。現在(1月14日)のところ、成虫は出てきていない。無事にサナギになっていることを願いつつ、飼育ネットに霧吹きで水をかけてやる毎日。いつどんな成虫が現れるのか、ドキドキワクワクしている。
一方で、飼育していた別のハバチが今日、羽化して成虫となった(次の写真)。心がハズむ♪ 今回の飼育で、このハバチがマタタビ科の植物で生育することが判明したのだが、これも中南米で初めての記録だ。
さて、モンテベルデの1月は、日本ほどではないが意外と冷える。日中の気温は17~20℃と、低いわけではないけど、風の強い日が続いている。東から西へと分単位で天気が流れ、雨だと思ったら晴れたり曇ったり。風で体温が奪われてしまう。
そんな天候の中、ヒルガオやサルビア、キクの仲間など、さまざまな花が家の隣の庭で咲き始めた。それに合わせて、ハチやチョウなどが蜜を求めて花から花へ飛び回っているのをよく目にする。こんなに強い風の中よく飛ぶな~と感心しつつも、その姿を写真に収めた。
今回は、モンテベルデの風の強いこの季節、庭先で飛び回る昆虫たちの姿をご覧ください。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
Ӂ 怖がらなくて大丈夫、毒蝶を育ててみた Ӂ
モンテベルデの森はにぎやかだ。風の音、木々が揺れる音、鳥たちやセミの声がフォウフォウ、ジーと遠くから聞こえてくる。 でも、そこに鮮やかなチョウの仲間「ドクチョウ」が現れると、ぼくは一瞬にして「音のない視覚だけの世界」へスリップしたような感覚になる。刺激的なオレンジ色の翅を悠々とはためかせて飛ぶその姿に、すっかり圧倒され魅了されてしまうのだ。
今回は、そんなドクチョウの1種で、モンテベルデの家の周りにすむヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌス(Heliconius clysonymus montanus)の生活を紹介しよう。ぼくは最近、生態がまだ詳しく記録されていないこのドクチョウを、卵から育てることにした。(最後には今週のピソちゃんと第150回で紹介したハバチの成虫もどうぞ!)
ドクチョウは早起きでグルメ
森を訪問されているかたたちと一緒に林道を歩いていると、ヒラヒラッとドクチョウが現れることがある。 「あれはドクチョウです」とぼくが言うと、「えっ!毒なんですか?」と一気に緊張が走る。そんなときは「食べない限り大丈夫」と説明することにしている。実際、人が触ってもまったく平気。体内に鳥などが「美味しくない」と感じる成分をもっているだけだ。
ドクチョウはこの「毒成分」のおかげで基本、捕食動物たちの獲物の対象から外れている。だからこそ、鮮やかな翅の模様でその「毒性」をアピールしつつ、ヒラヒラと余裕をもって飛ぶことができるのである。 コスタリカには約30種のドクチョウの仲間が生息していて、そのうちの約20種がモンテベルデで確認されている。ヘリコニウス・クリソニムス・モンタヌス(以下、モンタヌス)は、コスタリカとパナマの雲霧林、標高約800~1800メートルに分布する。ドクチョウ属(Heliconius)の中でも比較的標高の高いところまで生息している種だ。
モンタヌスの朝は早い。たいていのチョウは朝9時ごろから飛び始めるが、モンタヌスは気温がそれほど上がらない7時ごろにも見かける。花から花へと移り渡っていく姿を観察していると、決まった食事コースがあるようにも見えてくる。
モンタヌスが訪れる花は、キク科、アカネ科、イワタバコ科、クマツヅラ科、ラン科とさまざまなグループにまたがるが、花の色はどれもオレンジ色。翅のオレンジ色と何か関係があるのかもしれない。
ドクチョウの特徴のひとつが、その食事にある。一般的なチョウのように花の蜜を吸うだけでなく、なんと花粉も食べるのだ! ただし、食べると言っても、チョウにはアゴや歯はない。どうやって食べるのかと言うと、まずストローのような口(口吻)の中央から根もと辺りに花粉をつけ、ストローを丸めたり伸ばしたりしながら唾液酵素を出すことで、少しずつ吸収するという。
ドクチョウを卵から育ててみたら
ドクチョウのメスは、トケイソウ(パッションフルーツ)の仲間の若い葉や茎、巻きひげ(つる)などに、黄色い卵を産みつける。トケイソウの葉や茎には、シアン化物やアルカロイドが多く含まれている。それを幼虫が食べて体内に蓄えるか、成分を利用して体内で「毒」を再生成し、成虫へ、そして卵へとその成分が受け継がれているようだ。
モンタヌスのいまだ知られざる生態を明らかにするため、卵から飼育することにした。卵の付いた葉を採集していると、黒くなっている卵が見つかった(次の写真)。形はモンタヌスの卵だが、色だけが黒い。ほかの生物に寄生されている可能性が高いので、黒い卵も飼育してみることにした。
黄色い卵からはドクチョウの幼虫が出てきた。一方、黒い卵から出てきたのは、寄生バチのタマゴクロバチだった。 ドクチョウの幼虫は、孵ってからしばらくすると、毛の先に小さな透明の「しずく」のようなものが見え始めた。体に液体が付いていると捕食者が嫌がったりするので、このしずくは、例えばアリから身を守るために分泌されているのかもしれない。
2齢幼虫からは、毛が黒いトゲトゲのようになって、先端にしずくは見られなくなった。飼育を続けて、4齢幼虫が5齢(終齢)に脱皮するところを捉えることができたのでどうぞご覧ください。体長は約22ミリ。 トゲは黒いと思っていたのだが、終齢幼虫のトゲは青光りすることが確認できた。そして、葉以外に硬い茎もガジガジ食べることがわかった。
・・・・・つづく
_ 魅惑の楽園コスタリカ 冒険と感動9日間 _
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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