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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =098=

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〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =098= ヘッドライトが輝く昆虫、ヒカリコメツキ ◆◇

  雨季が始まったモンテベルデ。森は一日中濃い霧で白く覆われていて、夕方から朝までシトシトと小雨が降っている。例年よりも午前中に晴れることが少なく、雨季の終わり、9月から10月のような天候だ。 でも、そんな湿度たっぷりの環境を大喜びで動き回るのが、昆虫たちとぼく!(笑) 今回は、そのなかでも最近よく目にしている昆虫を紹介しよう。

  ヒカリコメツキという甲虫だ。ひっくり返すとパチン!と跳ねて起き上がることで知られるコメツキムシの仲間で、特徴はその名の通り光ること! 中南米に生息し、ホタルや深海生物と同じように生物発光をする。米サウスダコタ州立大学の専門家Paul J. Johnson博士によると、コスタリカに5~6種いるそうだが、どれもよく似ていて同定するのは難しいという。

  午後6時半、日が沈んでモンテベルデの家の周りが暗くなるころ、森や林縁をオレンジ色の光がサーッと飛び始める。ホタルも同じ環境にいるけれど、ホタルの場合は飛ぶスピードが遅く光が点滅しているのに対し、ヒカリコメツキは速くて光が点灯したままなので、暗闇でも区別できる。

 コメツキ-2

  もうひとつ、大きく違うのは光る場所。ホタルはお尻(胴部の先)に1つか2つの発光器があるが、ヒカリコメツキは3カ所。しかも、お尻ではない。

  頭の後ろの胸部に丸い発光器が2つあって、英語で「ヘッドライト」と呼ばれている。目玉が光っているみたいだ。そしてもう1つは腹側、胸とお腹の間にある。ふだんは隠れていて、お腹を反らせたときだけ光っているのが見える。 目のようなヘッドライトは活動中ずっと点灯しているが、腹側の発光器は飛行する直前から飛行中に光る。飛ぶときに温かく燃えるようにワーッと明るく光るので、ぼくはこの発光器を「ジェットエンジン」と呼んでいる。

  ジェットエンジンはなぜ飛んでいるときだけ光るのだろうか。さらに観察していくと、ヒカリコメツキは翅を広げて飛ぶ際に、腹部を少し反らせることがわかった。腹がエビ反り状態になることで発光器が露わになり、ジェットエンジンから光が放たれるわけだ。逆に飛んでいないときはエビ反りにならないのでジェットエンジンは光らない。コメツキムシの前翅は硬くて曲がらないので、翅を閉じたままでは、腹を反らすことができないのである。

  たまに家やラボの前で、窓ガラスに映った自分の光に向かって飛んでいくヒカリコメツキに出会う。懐中電灯の光に反応してやって来ることもある。オス、メスともに光ることなどから考えると、光の役割は仲間の認識や求愛行動と関連しているのだろう。

  ヒカリコメツキは、ホタルたちと共に夕暮れ後の闇に彩りを添え、ワンダーな地球をより神秘的に感じさせてくれる。日本もそろそろホタルの季節なのかな~?

 コメツキ-3

 Ӂ 卵、産んでるやん! Ӂ

 ナナフシa-1

  5月8日、モンテベルデバイオロジカルステーションから森の林道を10分ほど下った谷沿いで、1匹のナナフシを見つけた。黄緑色をしたメスで、オンコトファズマ(Oncotophasma)という属の1種に見えた。 オンコトファズマ属のナナフシはどれも似たり寄ったり、同定するのが難しい。しかも同じ種であっても成虫の大きさや色が違っていたりするので、何よりオスとメスをマッチングさせることが難しい。

  だから、ある種についてオスとメスの組み合わせを確認するには、交尾中のペアに出会ったところを採集するか、メスに卵を産ませ、こつこつと飼育してオスとメスの成虫を得るしかない。前者の場合は採集したそのときに確認できるが、後者の場合、1年はかかる。

  数年前から、ドイツ人研究者のオスカーとフランク(第107回を参照 )と一緒にコスタリカのナナフシの研究をしているので、見つけたナナフシを早速採集し、袋の中で飼育することにした。お腹が大きいので卵を産むに違いない。それらを育てれば、オスとメスを確認できるかもしれない。

  飼育を始めて1週間、2週間、いつ産み落とすかと待ち構えていたが、一向に卵らしきものが見当たらない。餌の植物の葉はモリモリ食べていて、お腹もどんどん大きくなっていくのに・・・。 「産まへんな~」  もしかしたら、まだ交尾をしていないのか? それともヤドリバエやニクバエに寄生されていて、お腹の中でハエの幼虫たちが育っているのか? そんな想定をしつつ3週間が過ぎた5月31日のことだ。

 「どうもおかしい」と思いながら、葉をモリモリ食べているメスを見ていると、お腹の先端の交尾器のところに濃い茶色をした細長い糞がくっついているのに気付いた(上の写真)。  食べ過ぎで排便の調子が良くないのかな?

  いや、もしかしたら、糞そっくりの細長い卵?  そうかも知れない! 飼育袋の中にたまっている糞を器に全部出して確認してみることにした。 糞をひとつずつ、指で優しく潰していく。 すると普通の糞は粉々になるのだが、少し濃い色の糞を潰してみると・・・

  プチッ! 黄色っぽい液が出てきた。ぼくはハッ!とした。脳の中の霧が一瞬にして晴れた。卵だ! 「産んでるやん!!!」

  ナナフシの卵が、タネや糞のような形をしていることは知っていた。これまでも第33回で紹介したように「楕円形で筋模様が入った」オンコトファズマの卵は見たことがある。だから、糞の中に紛れていたって「きちんと見ていれば、ナナフシの卵は区別できるだろう」と思っていた。ところが今回はそんな思い込みの上を行っていた。 気付かなかった要因は、まだある。ナナフシの卵で細長いものが、ぼくにとって初めてだったこと、そして、飼育袋の中の湿り気で糞の色が濃くなって、卵の色に似ていたことだ。

  今回の飼育で、触ってみないとわからないぐらいの卵があることを教えられた。これからは、さらに慎重に、顕微鏡できちんと確認したほうがよさそうだ。今はようやく肉眼で、今回の卵を見分けることができるようになった。常に精進せねばということだろう。

  このメスは、1日に2個ほどの卵を産んでいる。計算すると、卵に気付くまでの3週間の飼育中、40個ほどの卵を産んでおり、ぼくはそれらをすべて、糞と一緒に家の前の草むらへ捨ててしまったことになる。 まあでも、いつか家の前でも卵から幼虫が孵って、森の中で元気に育ってくれる。そうなることを願うことにしよう。

  オンコトファズマ属のナナフシについて、友人のオスカー(Oskar Conle)に教えてもらいました。ありがとうございます!

 ナナフシa-2

・・・・・つづく

 

_ Costa Rica diving at Guanacaste Coast Pacific _

 ・・・・・・ https://youtu.be/vKduIggPd38 ・・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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