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Channel: 【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》
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「バックマン」と呼ばれる西田賢司 =078=

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〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇

= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =

【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】

☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠

曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』

◇◆ =078= 日本とコスタリカの変形菌写真館 ◆◇

 前回の変形菌(粘菌)の回がかなり好評だったようなので、今回も和歌山県での日本変形菌研究会の合宿で撮影した変形菌の写真をご覧いただきたい。 最終ページでは、コスタリカで撮影した変形菌も、どん!と紹介します。

変形菌-2

  ぼくが変形菌に惹かれる理由は、その風変わりな生態に加え、その小ささと芸術性あふれる姿かたちにある。 小さくてほとんど目に映らない「地味」な世界の中でも、変形菌には、ハッとさせられる「美」が凝縮されている。 だからぼくは、どうしても写真を撮りたくなってしまうのである。

変形菌-3

  和歌山の合宿では、そうそう出会えないアオウツボホコリを含め、全部で45種ほどの変形菌が見つかった。 これら変形菌の子実体の周りには、トビムシやアリ、キノコバエ、キノコムシなど、これまた小さくて「地味」な生きものたちがやってくる。 子実体の合間をコソコソ行き来していたり、モゾモゾと子実体そのものを動かしていたりと、こちらもぼくの写真ゴコロをくすぐる。

変形菌-3

  夜、合宿所では、その日採集してきた変形菌を持ち寄って観察会が開かれた。 みなさんが顕微鏡などで観察しているところにぼくもおじゃまし、子実体の写真を撮らせてもらっていたときのこと。 部屋の一角でちょっとした悲鳴が聞こえた。 そしてしばらくすると、ぼくに声がかかった。「変形菌を食べる昆虫の写真を撮ってみませんか? おそらくマルヒメキノコムシの幼虫です」

変形菌-5

 「うぉ~ぜひ!!」  わくわくしながら変形菌の子実体が生えている木の皮を受け取る。 すばやく動く微小な幼虫をカメラで追いかけていると、また近くで「キャー」と悲鳴が・・・  たび重なる悲鳴の原因は、どうやら変形菌についた小さな虫たちにあるようだった。 それにしてもなぜ?  実はこれらの虫たちは、標本にする大切な変形菌の子実体を食い荒らす、変形菌研究者にとっていわば「敵」とのこと。 放っておくと標本となる子実体をアッと言う間にボロボロにしてしまうので、いつもならすぐに駆除するそうだ。

変形菌-6

  なるほどと納得する一方で、ぼくはこうした小さな虫たちの生態や行動に興味がわいていた。 写真を撮りながら観察していると、小さな幼虫たちが数匹、変形菌のあちこちで動き回っている。 「おっ! 今度は、胞子を食べてるやん!」  ぼくはやはり虫の立場から変形菌を見ていて、大事な標本とは思いつつも「美味しい餌、心地よい住処」という感覚が上回ってしまうようだ。 変形菌研究者の方々とのこうした感覚の違いもオモシロイ。

変形菌-7

  変形菌という違う世界を探検させてもらった昆虫学者は、たくさんの違ったいい刺激をもらいました! 変形菌の和名の最後につく「ホコリ」は、ホコリのような胞子の粉を指しているのだろう。 どんな小さな生きものも、それぞれの「誇り」を持って生きている。 変形菌の場合、さらに「ホコリ」という名前と胞子を授かっている。 変形菌の同定と情報の多くは松本淳先生と出川洋介先生より頂戴しました。 この回の監修は松本淳先生にお願いしました。

変形菌-8

 Ӂ 「森の宝石」モルフォチョウがやって来た! Ӂ

チョウ-1

  コスタリカは今年、エルニーニョ現象の影響で天候不順が続いている。 カリブ海(大西洋)側は雨が多く、太平洋側は乾燥が激しい。 ここモンテベルデの太平洋側も、雨季の終盤で例年なら雨が一番よく降る時期なのだが、今年は雨が少ない。 そのせいか、森を歩くと季節外れの昆虫たちに出会う。 テントウムシダマシが集まった塊(前記)や、コウモリのように集団で「寝床」につくチョウ(前記)など、どちらも乾季に目にするものだ。 不思議さを感じられずにはいられない。

  最近になってやっと雨らしい雨が降り始め、「森の宝石」モルフォチョウがたくさん家の周りを舞い始めた。 3年続けての登場だ。 家の前をスーッ、ヒラヒラ、ホワッホワッホワッと青い輝きを放ちながら、優雅かつ予想不可能な複雑な動きで飛んでいく。 このモルフォチョウは、ヘレノールモルフォ(Morpho helenor)と呼ばれる、コスタリカで一番よく目にする種。 テレビなどで取り上げられたり、研究対象にされたりすることも多い。

チョウ-2

  ただしこのチョウは、常に青く輝いて見えるわけではない。青いのは翅の表側で、それが見えるのは翅を広げたときだけ。 葉や地面などにとまると、たいてい翅は閉じられている。 なので輝く青は見えないのである。翅の裏側はというと、目玉模様(眼状紋)が付いた枯れ葉のような色合いをしていて表に比べると地味だ。

  先日も、玄関を開けて数歩足を進ませると、遠くの倒木の上に青く輝くものが見えた。翅を広げてとまっているモルフォチョウだ。撮影せねば!  急いでカメラを取ってきて、ズームを入れて撮影したのが上の写真。 こんどはもっと近くで撮ろうと数メートルほど進むと、木々が数本倒れて少し開けた場所をモルフォチョウが優雅に飛んでいた。 ところがカメラを構えようすると、突然姿が見えなくなった。どこかに舞い降りたのか?

チョウ-3

  見回すと、こんなところ(下の写真)に紛れ込んでいた。 これは地味だ。 わかりにくい! 日が照り始めると、こんどは倒木の上に止まり、翅を広げ、しばらく日向ぼっこをしていた。 太陽光を翅いっぱいに浴びて、体温を上げ、活動するためのエネルギーを蓄えているのだろう。 と思っていたら、突然パタッと翅を閉じた。またもや姿は目立たなくなった(下)。

  そこへモルフォチョウがもう1匹やって来て、追いかけ合いが始まった。 2匹が出会うと、よく追いかけ合いをしているところを目にする。 オス同士が出会うと、飛行スピードが増し、絡み合ったり、ジェットコースターのような激しい舞いになったりする。 一方、オスとメスが出会ったときは、オスがメスの後を滑らかに追う感じだ(次の写真)。

  こんな観察が手軽に家の周りでできるのには、理由がある。 バイオロジカルステーションの庭に生えているグアバの果実が熟して地面に落ち、甘い香りを放っている。 モルフォチョウたちは、この香りに引き寄せられるのにちがいない。 そこで、熟して落ちている実を割って、モルフォチョウの飛行経路近くの地面に置いてみた。 すると、早速やって来た! モルフォチョウは警戒心が強いので、汁を吸うのに夢中になっているときが近寄れるチャンスだ。 物音を立てずに、そ~っと1メートルぐらいまで・・・。

チョウ-4

  でも食事中は翅を閉じていたため、モルフォブルーをじっくり間近に観察することはできなかった。 たま~に翅をパッと一瞬広げるくらいだ。 モルフォブルーはゆっくり拝めない・・・だからなのか、コスタリカで昔から販売されている観光客向けの絵葉書の1枚に、翅を広げたヘレノールモルフォの写真があるのだが、それは針の刺さった標本を葉の上にのせて撮ったものなのだ(笑)。

 動画: 急に飛び立ち不規則な舞いを披露するモルフォチョウ(12秒)   https://youtu.be/5VslN9N3WCE

= モルフォチョウにとって、敵から逃れるための究極の飛行技なのだろう。 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ =

チョウ-5

ぴそ

・・・・・つづく

_ Manuel Antonio Costa Rica _

・・・・・・ https://youtu.be/zBrDVQ0WNjg ・・・・・・


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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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