〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =077= 下から見るとミミズク、上から見ると枯れ枝、その正体は ◆◇
上の写真、枝にとまったミミズクに見えないだろうか。 正体は、ガだ。 コスタリカでは、興味深い「顔」をしたガをしばしば目にする。 まるでほかの生きもののようで、ぼくはいつも、いろいろと想像を膨らませている。 ぼくの印象に残った、生態もちょっとヘンなガの「顔」をいくつか紹介しよう。
まずは、前回でお伝えした、後ろ向きに歩くトカゲに似た幼虫。ニスタレアというシャチホコガの一種で、お尻にトカゲのような顔がついている。 この幼虫、成虫になってもヘンだった。 なんと、「枯れた枝」になるのだ。 写真は、枝にとまっているところを斜め上から見たところ。 頭部と胸部を横から見るとこんな感じだ。
眼の部分を毛のような鱗粉で隠し、頭部の上から突き出た部分が、枯れ枝が折れたような雰囲気を上手くかもしだしている。 そして、この「枝が折れた部分」を正面から見ると、鳥のミミズクのように見える。 風が吹いていて、眼を隠すための毛も風にあおられて、複眼があらわになっている。 眼を毛で隠すときは、頭と胸の部分をクイクイクイクイっと動かして、毛を整える感じだ。
さて、蛾7の顔 色々………
Ӂ 変形菌を見る目と、虫を見る目 Ӂ
9月15日の夜中、日本からコスタリカ・モンテベルデに到着した。 小雨と虫の音が風に舞い、涼しく心地よい。 日本の夏は暑かった。 そんな帰国中に日本変形菌研究会の夏季合宿に参加したときの出来事を紹介しよう。
変形菌が好きなぼくは、そんな夏季合宿たるものがあると知り、新たな驚きや発見があるかもしれないとご一緒させてもらうことにした。 7月下旬、場所は和歌山県田辺市、博物学者で変形菌も研究した南方熊楠が半生を過ごした所だ。
変形菌は粘菌(ねんきん)とも呼ばれていて、変形体というアメーバのような性質と、子実体(しじつたい)というキノコのような性質の「2面性」をもった生物である。 枯れ木や朽木、落ち葉の上などで見つかる。 変形体は大きなアメーバのように移動しながらバクテリアや菌類などを摂り込んでいく。 微生物の捕食者だ。 いっぽう最初の写真のキノコのようなものが子実体で、胞子をたくわえて繁殖の役割を果たす。
大きさは、ほんの数ミリのものがほとんどだ。 さて、いよいよ採集。 研究会の皆さんは、釣具入れや大工道具入れのようなボックスを片手に、林道に沿った日陰の少し湿った場所を行く。 適当な場所が見つかると、そこに座り込んで変形菌を採取する。 小さなナイフやヘラのような道具を使い、生えている木々の表皮と共にそぎ取って、ボックスに丁寧に入れていく。
昆虫採集に独自の道具やスタイルがあるように、変形菌採集にも特有の道具やスタイルがあるわけだ。 ところが、研究会のみなさんは次々と変形菌を見つけていくのに、ぼくはゼロ。見つけようと必死になるけれど、見つからない!! どういうことや?!
そしてやっと目に入った変形菌が、次の写真。 赤で囲んであるのが比較的大きなオオムラサキホコリという種で、大きさは2センチほど。黄色で囲んだ部分も同じものだと思っていたら、じつはヤリミダレホコリという別の種ということだった(汗)。 あと、青い丸のところにシロモジホコリという種が生えているということを粘菌の本の著者の松本淳先生に教えてもらった。 ぼくには見えていなかった。
一方で、皆には見えないが、ぼくに見えるものもあった。 野外で散策中、研究員の方が変形菌の生えている太い枝を見せてくれた。 「あ、ここに幼虫がいますね!」 ぼくは昆虫の幼虫がいることに気づいた。 ガの幼虫だ。 コケガっぽい。]
この幼虫、いろんな角度から観察したり写真を撮ったりしていると、どことなく変形菌の子実体に見えてきた。 そこでその晩、変形菌に詳しい研究員の方に“幼虫であることを言わずに”写真を見てもらった。 「ムラサキホコリの仲間(変形菌)ですね」 「変形菌に見えますか? やっぱり! でもじつは今日見つけたガの幼虫の毛の部分なんです」
「えー、そっくりだ!」
変形菌の専門家でも一見しただけではわからないくらい、そっくりな昆虫がいることに、ぼくもビックリ。 同じ場所や同じものを見ていても、変形菌を見る目と虫を見る目は、見ているもの、見えているものが違うことを強烈に実感した夏だった。
尚、変形菌の同定は、松本淳先生と出川洋介先生にお願いしました。 合宿では、日本変形菌研究会と南方熊楠顕彰会の皆様にお世話になりました。
日本からモンテベルデに戻った9月15日の夜中、ぼくはスーツケースを抱えながら、さっそく第102回で紹介したあのコケに擬態したナナフシを探してみた。 あたりは真っ暗で静かだ。 いた~! いつもの場所に1匹のメスが小さな携帯ライトの明かりに浮かびあがった。 約2カ月ぶりの再会だ。 以前より一回り大きくなっているように見える。
でも見つかったのは2匹いたうちの1匹だけ。 もう1匹が見つからない。 1週間探し続けても現れず、いなくなるのも野生の摂理と受け止めていた矢先の9月23日。 「おった~~~~~~~~!!!」 2匹目が見つかった。 この1週間どこにいたのか? どこかへ行っていたのか? 探し方がわるかったのか?
嬉しくなって、写真を撮って眺めていると、1匹がもう1匹に近づいていって、静止。 そこには、「マル(丸)」のような「ハート」のようなかたちが出来上がっていた。 「マル」は「大丈夫」で、「ハート」は「心配してくれてありがとう」の意味なのかもしれない。
・・・・・つづく
_ Manuel Antonio Costa Rica _
・・・・・・ https://youtu.be/zBrDVQ0WNjg ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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