〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =073= スベースロボット参上!? ◆◇
昨年のちょうど今頃、2014年5月17日のこと。 灯火採集の光にやってきた昆虫の中に、オレンジと黒の小さな姿を見つけた。 体格のわりには、脚が太く長い! 静止している姿は映画やアニメに登場するスペースロボットのようだ。
採集して調べてみると、デガシラバエの仲間ということがわかった。 デガシラバエは、そう出会えるハエでない。 その名前の由来は、「出会い頭」でも、「出がらし」でもなく「出頭蝿」。頭部の額に当たる部分(前方上)が出ていて、そこから触角が突き出しているからだろう。
でもこのハエ、ぼくには「出会い頭」バエのイメージが強い。 理由は、そのハエの生態にある。ミバエ上科という植物食のハエのグループのひとつなのだが、デガシラバエはコガネムシの成虫に寄生するという一風変わった生きかたをしている。
デガシラバエのメスは、飛んでいる最中のコガネムシの背中(胴部の背面)に卵を産みつけるという。 翅を広げて露(あらわ)になった背中に産卵するわけだ。
おそらくアクロバット的な動きでやりこなすのだろう。 コガネムシはデガシラバエに出会い頭にやられるというわけだ。デガシラバエの英名はScarab-killing fliesで、コガネムシ殺しバエとでもいったところ。「悪役」が似合いそうなその生態と姿かたちではあるが、コガネムシの数を制御する大切な役割を担っているのである。
デガシラバエは世界中に分布していて、現在およそ370種が記載されている。 飼育された例はあまりなく、デガシラバエの多様性が高い熱帯地方でのその生態は、ほとんどわかっていないそうだ。
Ӂ ホンジュラスでジャガー調査を手伝ってみた Ӂ
昆虫中心生活の連載は、おかげさまで5年目に突入しました。 いつもお世話になってます♪ これからもどうぞヨロシクお願いします! さて今回は中米のホンジュラスからお届けします。
2015年4月22日、やってきたのはコスタリカのモンテベルデから北へ約650キロメートル、カリブ海に面したホンジュラス北部のラ・セイバという港町(人口は20万)。ここから少し山間へ入ったピコ・ボニート国立公園周辺で、旧友のジャガー調査の手伝いだ。
ぼくがコスタリカ大学に在籍していたころの旧友、ホンジュラス出身のフランクリン・カスタニェーダは、2009年から動物保護団体パンセラ(Panthera, Inc.*)のジャガープログラムの仕事をしている。ジャガーが農地や果樹園、住宅地など人の営みのある環境をどれほど利用しているかを踏まえ、その移動範囲と通り道(回廊)について調べているのだ。
ジャガーは中米から南米にかけて広い範囲に生息しているが、その生息地は各地に点々と存在していて、それらを結ぶ「回廊」の認識や維持、再生プロジェクトが各地で進められている。今回の調査では、定点で自動撮影するカメラを使ってジャガーがどういう場所を通って移動しているのかを調べることがメインになる。
さっそくピコ・ボニート国立公園とその周りにある果樹園一帯で調査開始! 風がほとんどなく、ムッとしていて、汗がじわじわと出てくる環境。下着などが知らないうちに汗でぬれている。 夕方前、少し涼しくなってから国立公園へと向かう林道沿いで定点自動(センサー)カメラを設置し始めた。
ジャガーの調査とはいえ、歩いていると、どうしても昆虫や植物に目が行く。見たことのない虫こぶもあれば、見たことのあるようなツノゼミも(下)。 知っている植物も生えていたりするのだが、似ているようで違う種も生えている。脳がひっきりなしに反応し、理解しようとして頭の回転が高まる。耳慣れた虫たちの声や音は、ここちよく胸にしみるのだけど、聞いたことのないものには胸が躍る。
カメラの設置に同行していて、一つの疑問が浮かんだ。 ジャガーが通りそうもないのに、なぜ人が通る道にカメラを設置するのか?」 フランクリンに聞いてみた。 「ジャガーは長距離を移動するので歩きやすい場所を選ぶ。特にオスは林道を好んで歩くので林道沿いに定点カメラをしかけるんだ」。一方「メスは警戒心が強く、人が通る林道はあまり歩かない」とのこと。なるほど!
さらにフランクリンはこう教えてくれた。「パイナップルやカカオ園の合間を縫うように細長い森がかろうじて残っている。ジャガーは山手の森から離れた低地の森へと移動する際に、こういった場所を利用しているのか?ということを今、重点的に調査しているんだ」
フランクリンの話は続く。「いろんな意味でジャガーの調査で危険なのはジャガーではなく人間。ジャガーは人を警戒し、避けて、襲わないが、人は人を襲うことがある。また設置したカメラが盗まれることもあるので、カメラを設置する場所を慎重に決める必要があるんだ」
森の捕食動物の頂点ともいえるジャガー。この動物が豊かな森は、ふつう豊かな生態系が広がっている。ジャガーは豊かな生態系を「見守る役割」を担っていて、その象徴とも言えるだろう。 しかし、近年ジャガーの密猟、ジャガーが捕食する野生動物たちの密猟、そして生息環境の破壊などが原因でジャガーの数が減ってきている。
民家の近くでは、ジャガーは牛や馬、羊などの家畜を襲うので住民たちとの問題が絶えないそうだ。でもこれまでの調査や研究で、どのようにすれば家畜をジャガーに襲われないようにできるかがわかってきているので、現地住民とのコミュニケーションと和解、そして教育が重要な鍵を握る。 「ジャガープログラムにおけるぼくの仕事の半分は、情報を人々から聞いたり、話をして人との繋がりを強化したり、政府と住民の間の対応の仲を持ったりすること」とフランクリンは言う。
ジャガーの通る道と人口20万の大きな町ラ・セイバが隣り合わせにあるユニークな場所。そこでの調査結果は、私たち人間にさまざまな問いを投げかけてくれることだろう。 ジャガーに直接は出会えなかったけど、ジャガーが歩く道を歩くことが出来たことで、人生にまた一段と熱が加わったような気がする。
・・・・・つづく
_ Oropendola nests.MOV _
・・・・・・ https://youtu.be/LtwEH60dWzg ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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