〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =065= おしゃれゾウムシは、ダニで着飾る」 ◆◇
とにかく、よく出会うゾウムシがいる。
クチブトゾウムシの仲間だ。ゾウムシの中でもっとも種数が多く、多様性が高いグループで、ゾウというよりもハナグマのピソちゃん(右)のような「鼻」(口吻)をしている。
特徴は、この口吻が太く短いこと、そして色鮮やかな種が多いこと。体長はだいたいが10 mm程度で、ゾウムシの中でも大きめである。 昼間、森の開けた場所で、植物の上にいるのをよく見かける。
ご覧のとおり、その姿はたいへん目立つ。こんなふうに、クチブトゾウムシが鮮やかな色や模様をもつ秘密は、体表の「鱗片(鱗のようなもの)」にある。拡大して見てみると、ラメ箔(粉)のような鱗片がぴったりと付いている。
この鱗片ひとつの大きさは約0.05 mm。チョウやガの鱗粉ほど、はがれやすくはないが、そぐように削ると、魚の鱗が取れるような感じではがれる。
写真のクチブトゾウムシのメタリックグリーンの鱗片を少しはがしてみた。すると、はがれた鱗片は、半透明でパールのような輝きになった。魚の鱗を思い出させる。
写真のように、クチブトゾウムシは赤いビーズのようなもので着飾っていることもある。
実はこれ、タカラダニというダニの仲間の幼虫で、昆虫などに寄生している。まるでアクセサリーのごとくクチブトゾウムシたちを豊かに彩るのである。
下の写真はクチブトゾウムシではないが、目の下から胸のあたりにかけてびっしりとダニが張りついている。もうここまでくると、アクセサリーというレベルを超えて、衣装というところだろうか・・・体の模様を変えてしまうまでになっている。
クチブトゾウムシの一種のメスが産卵をしているところに出会った。
2枚の異なる植物の葉の間に、産卵管を差し込んでいる。初めて見る光景だったので撮影したときには何のことやらよくわからなかったが、調べてみると、クチブトゾウムシのメスは、鼻(口吻)を使って植物に穴を開けて産卵するのではなく、葉の表面や土の中に産卵することがわかった。
中の卵のようすを見ようと、くっついた葉を開けようとしたが、強力接着剤のようなものでくっついていて開かない!
慎重に開けないと、葉自体が破れそうだ。解剖用のハサミを使い、接着部分にそってゆっくりと開けていった。 葉の間には、ジャスミンライスのような白い卵がたくさん。
葉の上の卵から孵った幼虫たちは、地面に落ちて、土の中に潜り、植物の根を食べるとのこと。他のゾウムシの仲間に比べると、クチブトゾウムシは特定の植物だけを好んで食べるわけではないようだ。
上の卵を飼育していると、約2週間後に幼虫が孵った。7匹がくっついてひと塊りになっているところを撮影(下の写真)。1匹の大きさは1.8 mm、植物のある土の場所に放してやった。
次のページに、鱗片やダニでさまざまに着飾ったクチブトゾウムシの仲間を紹介しよう。派手好きもいれば、シックな装いのゾウムシもいる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
最近、ハナグマのピソちゃんをあまり見かけなくなった。 たぶん、ここのバイオロジカルステーションに滞在したり、出入りしたりする学生たちの数が増えたからだろう。 その数、50人以上!
人の気配を常に感じるため、ピソちゃんは建物から少し遠ざかって活動しているのかもしれない。 写真は、2カ月ほどまえ、学生たちがいなかった時に、ラボの横の階段を上っていくオスのピソちゃん。
気づかれないように、窓ガラス越しに隠れて撮影した。 でも、異変を感じたピソちゃん。置物のようにじっとして、こちらに神経を集中させているようす。この状態が1分以上続いた。 カメラだけをラボの壁の端から出して撮影。 こちらに警戒している。 ピソちゃんは、野生動物なのである。
=参考資料・文献=
コスタリカの歴史概要・2/3
独立
1789年にフランス革命が起こり、ヨーロッパの政情が不安定になるとその影響はインディアス植民地にも及んだ。1808年にナポレオンのフランス軍がスペイン本国に進駐、国王フェルナンド7世を退位させ、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの兄ジョゼフ・ボナパルトがスペイン王ホセ1世に即位すると、スペインでは反フランス暴動がやがてスペイン独立戦争へと発展し、インディアス植民地は偽王への忠誠を拒否した。
その後、各地のクリオーリョ達がラテンアメリカ解放のために立ち上がり、メキシコでミゲル・イダルゴとホセ・マリア・モレーロスらによって、南米大陸でシモン・ボリーバルとホセ・デ・サン・マルティンらによって解放戦争が続けられ、多くの共和国が独立を果たすと、中米でも1821年9月15日にグアテマラ総監領は中央アメリカ連合州として独立した。この国家は1821年9月16日に独立したアグスティン・デ・イトゥルビデ皇帝の第一次メキシコ帝国により、1822年に他の中米諸国と共に併合された
しかし、1823年のメキシコ帝国の崩壊に伴ってチアパス州を除く旧グアテマラ総監領の五州は再び中央アメリカ連邦として独立した。コスタリカ州代表だったフアン・モラ・フェルナンデス(スペイン語版、英語版)は連邦への積極的な加盟を勧めたが、この過程の中で、それまでコスタリカの中心だったカルタゴが内戦の末にサン・ホセ軍に敗れたため、以降サン・ホセがコスタリカの中心となった。連邦においてはエル・サルバドル出身のマヌエル・ホセ・アルセ(スペイン語版、英語版)が中米連邦初代大統領となるが、自由主義者のフランシスコ・モラサンをはじめとするエル・サルバドル派と、保守主義者のラファエル・カレーラをはじめとするグアテマラ派の内戦の末に、1838年に諸州が独立を宣言して中米連邦は崩壊。
・・・・・つづく
_ Costa Rica diving at Guanacaste Coast Pacific _
・・・・・・https://youtu.be/vKduIggPd38 ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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