〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =056= ツノゼミの名前が判るまで、研究者たちは熱く語り合う ◆◇
日本は梅雨まっただ中とのこと、雨雨雨だそうだが、ここコスタリカのモンテベルデにも雨の季節がやってきた。おとといから雷がゴロゴロ、午後から夜にかけては雨が降るようになった。湿度はグンっと上がり、空気が少し重い。
この時期は出没する昆虫が増え、ぼくが観察や採集、飼育に追われるようになることは前回お伝えした通り。同時にそれは、採集した昆虫について調べる時間が増えることも意味している。
たとえば、連載で昆虫を紹介するとき、ぼくはなるべくその種の名前(学名)を載せることを心がけている。もちろん、見ればすぐに名前がわかるものもあるけれど、図鑑やネットでは調べきれないものがほとんどだ。まだ名前のない新種ということも、ごく普通のこと。
そんなときぼくは、世界のあちこちにいるそれぞれの昆虫の専門家に教えてもらうことにしている。 ここ1カ月ほど、ツノゼミ研究者たちとのやりとりが熱かった。
発端は、もう40年以上もツノゼミの体系学を研究されているアメリカ、ノースカロライナ州立大学のデイツ博士に、最近採ったツノゼミの写真を送ったことだった。
多様な熱帯のツノゼミを写真だけで同定することは困難なので、デイツ博士は、他のツノゼミの分類学者4人にぼくのメールを転送した。そして、あーでもない、こーでもないと、みんなのやりとりが始まった。
「おお~なんと美しい!スミリア属のツノゼミに見える」
「すげえ!たしかにスミリアだろうな」
「いや、アンティアンセじゃないのか」とそれぞれの意見が飛び交う。
「こんな2色のアンティアンセを見たことがあるのか?」
「ヘミカルディアクス・サウンデルスィは、どうだ?」
「この本のヘミカルディアクスのページを確認してみるのがいいぞ」
まるで暗号で会話しているみたいだ。 議論は、よく似たほかのツノゼミ写真も加わって、さらに沸騰する。
「これら2種類の写真は同じ種だろうね」
「Kenji、この2種がオスかメスかを教えてくれないか? 同種かどうか頭がこんがらがった」
「交尾器の形が違うので、それぞれ別の種だと思います」(ぼく)
こんなふうに1カ月でツノゼミチーム5人+ぼくの間で102のメールのやり取りがあり、この2種に関しては、「ヘミカルディアクス・サウンデルスィと、ヘミカルディアクス・サウンデルスィに近い種であろう」という結論にたどり着いた。
驚いたことに、ヘミカルディアクス・サウンデルスィはこれまで世界に一つだけ、オスの標本しかなかったそうだ。ぼくがオスとメスの2匹を採集したので、全部で標本が3つとなった。
そんなわけで、みなさんには単なる呪文にしか聞こえないかもしれませんが、写真のキャプションについている昆虫の名前には、研究者たちによるこんな白熱した舞台裏があったりするということを、心の隅に留めておいていただけると嬉しいです。
「ツノゼミチーム」のLewis Deitz博士, Stuart Mckamey博士, Albino Sakakibara博士、Chris Dietrich 博士、Matthew Wallace博士には、大変お世話になっています。心より感謝を申し上げます。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・・・つづく
_ 夏のコスタリカ _
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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