〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =055= モヒカンの蛾は、忘却のかなたへ ◆◇
ひたすら昆虫と対峙するハードな日々が相変わらず続いている。虫たちの新鮮な刺激で毎日脳がパンパンだ。今回は、そんなパンパンな、ある日のお話。
その日、ぼくは飼育中のカメノコハムシの餌を採るために家を出たのだが、ほんの7~8歩のところにあるサトイモ科の植物の大きな葉の上に、落ち葉のように見える蛾がちょこんとのっかっているのを見つけた。
よく見ると「ヘアスタイル」が面白い! モヒカン?(上の写真)
まずは近寄って撮影、それからよく調べるために採集しようと思っていると、モヒカン蛾がいる葉の左下のほうで、何かが動いているのが見えた。 ハエだ。それもどこかで見たことのあるような・・・。もしかしたら、7年前に逃げられたあの「謎となったミバエ」では!
7年前、ぼくはこのミバエを育てたことがある。うかつにも写真を撮影中、新種であろうこのハエに逃げられてしまった。オトハプスというキク科の植物の新芽に虫こぶをつくって育つ、ということまではわかったが、残念にも実物がないため、それ以上のことは謎のまま。新種かどうかさえ証明できないままになっていた。
以降、たびたび探しても見つからなかったあのミバエ(たぶん)が、目の前にいる。 産卵場所を探しているようだ。
鼓動が高鳴るなか、じっと観察していると、ミバエはなんとオトパプスの新芽にたどり着き、産卵し始めた。「産卵が終わったら確保せな!」
どこかへ飛んで行かないかとヒヤヒヤしながら、別のカメラと虫捕り網を持ってきて産卵のようすを撮影、観察し続けた。 と、こんどは背後の木々にノドジロオマキザルの群れがやって来た。近い!
ノドジロオマキザルは、いつかこの連載で紹介したいと思っていた動物なので、写真撮影の絶好のチャンス到来である。しかし、目の前のミバエの産卵行動はまだ続いている。後ろ髪をひかれつつも、ミバエを観察していると、さらにこんどは視界の右斜め前にある3メートルほどの茂みの上を、青く輝くフタオチョウが飛び始めた。 産卵しそうな雰囲気だ。
「これは卵を産みつける場所を確認しないと!」
卵を採集できれば、飼育してフタオチョウの生態をより詳しく調べることができる。ミバエの観察を続けながら、横目でチョウの行方も追い続ける。脳はもう破裂寸前だ。
「産卵した! 場所はだいたいあそこらへん。後で探して採集するべ」と心にとめる。 と、間もなくミバエのメスが産卵を終えて、歩き始めた。網をサッとかぶせ、確保。サルたちはすでにどこかへ行ってしまっていたけれど、さきほど目途をつけた場所でフタオチョウの卵を採集できた。
ほっと一安心。部屋に戻って採集した昆虫のことを調べていたとき、「モヒカンの蛾」のことをすっかり忘れていたことに気づいた。慌てて外へ飛び出してみたが、もうそこにはいなかった。
がぼん! わちゃ~。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 今週のピソちゃん と コスタリカの「桜」☆ ☆ ☆ ☆ ☆
=参考資料・文献=
ノドジロオマキザル
オマキザル科 (オマキザルか、Cebidae) は、霊長目(サル目)の科」の1つ。中南米に棲息するサルのグループである広鼻」サル類(新世界ザル)を構成する4つの科の1つである。マーモセット(キヌザル)、タマリン、フサオマキザル、リスザルの仲間からなる。南アメリカ・中央アメリカの熱帯・亜熱帯地域に広く分布する。
本科に属するサルは樹上性であり、地上に下りることはめったにない。一般的に小型のサルであり、頭胴長17-19cm・体重120-190gのピグミーマーモセットから、体長33-56cm・体重2.5-3.9kgのフサオマキザまでを含む。形態も色彩もかなり多様であるが、いずれも新世界ザルに典型的な広く平らな鼻をもつ点では共通している。
雑食性であり、ほとんどは果実食および昆虫」食だが、種によって餌とするものの割合は大きく異なる。歯式は 2.1.3.2-3/2.1.3.2-3 。
メスは、種によって異なるが、130-170日の妊娠期を経て、1-2頭の子を生む。社会的な動物であり、5-40頭の成獣が群れを作るが、典型的には、小型の種の方がより大きな群れを作る。一般的には昼行性」である。
・・・・・つづく
_ コスタリカ コルコバード Corcovado Costa Rica _
・・・・・・https://youtu.be/Z0uPzRKch6Q ・・・・・・
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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