〇◎ “命のことを知らずして、命の大切さは理解できない” ◎〇
= 探検的調査を実践する “探検昆虫学者” 西田賢司 =
【この企画はWebナショジオ_“「コスタリカ 昆虫中心生活」” に追記・補講し、転載した】
☠ 中米コスタリカで新種の昆虫を見つけまくる男! 「バックマン」 ☠
曰く 『昆虫は、僕たちに自然の変化を教えてくれる一番身近な存在です』
◇◆ =035= 帰れない?大雨で道路封鎖の国立公園 ◆◇
昨年11月の話。
ドイツのナナフシ専門家オスカーさんたちがコスタリカにやってきたので、一緒にナナフシの野外調査に出かけた。場所は首都サンホセ(標高1000 m)から1時間ほどにある標高500mの熱帯雨林、ブラウリオ・カリージョ国立公園。この公園では以前、珍しいナナフシが採集されたという記録がある。
コスタリカはカリブ海と太平洋に挟まれた国だが、中央の盆地を隔ててカリブ海側と太平洋側では気候がずいぶん違っている。太平洋側に比べ、ブラウリオ・カリージョ国立公園のあるカリブ海側は雨が多く、降り方も気まぐれというか、予測不能なのだ。
調査の最終日、その雨の洗礼を受けた。
ナナフシの多くは夜行性なので、調査は夜まで続けるのだが、その日は暗くなるにつれ、どんどん雨が強くなってきた。ヘッドランプの明かりは雨に照り返し、視界が悪い。ナナフシは見つからず、登山靴の中もびしょびしょになったので、早めに調査を切り上げることにした。
車に荷物を積んでいると、国立公園のレンジャーがやってきた。
「雨のために道路が封鎖されている」と言う。
もしかして帰れないのかと思ったが、話を聞くとぼくたちは封鎖区間の中にいるため、そこから出ることは可能だという。「土砂崩れの危険があるので道路両側の崖から離れ、車線をまたいだ中央を運転するように」とのこと。
川のように雨が流れる対向車のないジャングルの道を、慎重に走った。車のライトに映される雨、風、霧のうねり。道路沿いの崖では雨が滝のように落ち、あちこちで小規模の土砂崩れが起き、木々が倒れていた。それは不思議な体験だった。
しばらくして封鎖区間を出ると、道路の開通を待つ車両が延々列をなしていた。
1週間の調査で15種31匹のナナフシを採集、そのうち3種が新種だった。結果はまずまずだったけれど、最終日にスリル満点の忘れることのできない体験ができたので、満足。
Ӂ 新種のナナフシは何を食べるのか? Ӂ
最近、ぼくは生物多種多様性研究所(INBio)に通って、ナナフシの標本撮影を続けている。ドイツのナナフシ専門家オスカー・コンレをリーダーに、『コスタリカのナナフシ』を本にまとめようというプロジェクトが始まったからだ。
先週、家の前で、これまで見たことがないナナフシを見つけた。昆虫を飼育している袋にくっついていたのだ。さっそく採集し、写真をオスカーに送ると、すぐに返事が来た。
「すばらしい! ダマシプス属の新種だ! メスでお腹が大きいので、卵を産むだろう。卵を産んでもらうために飼育をお願いするぞ!」 おお、やった!
「でもダマシプス属のナナフシは何を食べるのか未だわかっていないんだ。あらゆる植物を与えてみるしかないな。例えばブナ科やノボタン科の植物を・・・・・・」 え・・・。
ということで、家の前にあるさまざまな植物の葉や花を与えてみた。ブナ科2種、ノボタン科1種、キク科1種、ヤブコウジ科1種、フトモモ科1種、アオイ科1種などなど。でも袋の中をのぞくと、どれも口にしようとしないし、口にしていない。
ところが2日後。この新種のナナフシが飼育袋の中に茶色い卵を産みつけていた(下の写真)。よく見ると、なんとなく見覚えがあるような。
「鳥の糞の中から見つかるヤドリギの種子に似ている?」
「もしかするとこの卵、ヤドリギの種子に擬態しているのでは?」と思い、家の前のマメ科の木に宿っている(寄生している)ヤドリギを与えてみることにした。
高枝切りバサミで届かず、椅子を持ってきても届かず、はしごを使って15分! 死闘の末、ようやくひと枝手に入れた。
さっそくナナフシに与えてみると、すぐにムシャムシャと食べ始めた。
よっしゃ~!
=参考資料・文献=
ナナフシ
ナナフシ(七節、竹節虫)は、関足動物昆虫網ナナフシ目に属する昆虫の総称。 草食性の昆虫で、木の枝に擬態した姿が特徴的。「七節」の「七」は単に「たくさん」という程度の意味で、実際に体節を正しく7つもっているわけではない。また、「竹節虫」は中国語由来の表記である。ナナフシ目の学名の "Phasmatodea" は「異様なもの」を意味する phasma と、高次の分類群を示す odea を合わせたもので[3]、学名についてはこの他に "Phasmida" とする場合もある。 熱帯から温帯に分布する。
細長い体で、その姿は葉や枝などの植物体に擬態している。また、硬い卵殻に覆われた卵も植物の種子に似ている。 体長は数cmから50cmを超えるものまでさまざま。 基本的に両性生殖だが、ナナフシモドキなどは単為生殖を行い、オスが非常に稀である。
退化の程度は様々で、雌雄とも完全な飛翔能力を有するものから、オスのみ飛翔能力を有するもの、雌雄とも完全に無翅のものまである。 翅や飛翔能力を失ったものが多い。 コノハムシのメスのように、上翅を有するものの飛翔能力は失われている例もある。
防御手段の一つとして、敵に襲われた際に脚を自ら切り離す自切を行う種が多い。 失われた脚は、自切が若齡幼虫時に行われたものであれば、脱皮とともに再生していくが、成長段階の終わりに近い時期の自切ほど再生され難く、終齡幼虫・成虫での自切は再生されない。
ナナフシは自重の40倍の重量を運搬することができ、従来は自重の1/20程度の重さしか運べなかった産業用ロボットを改良するため工科ミュンヘン大学などで幅広く研究され、ナナフシモデルと呼ばれる6脚ロボットが開発されている。
・・・・・つづく
◇◆ 風にゆらゆらと揺れる枯れ葉のようなカマキリ ◆◇
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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